クソゲーではないがシナリオはひどい。『The Last Of Us PartⅡ』レビュー!

ソニー
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始めに

始めに

 今日は世紀の問題作『The Last Of Us PartⅡ』のレビューを書いていきます。少し批判が多くなってしまっているし、ネタバレもあるので気になる方は読み飛ばしてください。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
795651良(34)

ゲームフィクション

あらすじ

 前作より5年後。主人公エリーはトミー夫妻の管理する「ジャクソン」で、トミーの兄・ジョエルと暮らしていました。しかしエリーとジョエルの間には、過去のある事件を理由に亀裂が入っていました。そんな中、ジョエルに忍び寄る復讐の魔の手が…。

登場人物

・エリー=ウィリアムズ:主人公。過去にジョエルが自分を助けるために犯した罪を知り、苦悩する。

・アビゲイル=アンダーソン:もう一人の主人公。過去にジョエルに家族を殺される。

テーマ

 作品のテーマは「赦し」と「復讐」です。それをエリーとアビーという二人を焦点化人物、プレイアブルキャラクターとすることで描いています。アビーというエリーの復讐のターゲットに焦点を当てることで、その伝記的生をプレイヤーは知り、倫理的配慮の契機としての他者の生の存在を確認します。

ぐだぐだすぎるアビー編以降の展開

 というコンセプトですが、世間的にアビーに共感できるという声は少ないです。私もアビーという主人公は嫌いではないですが、アビー編以降のシナリオは確かに程度が低く、アビーに対して愛着を感じるのは困難です。とにかく本当にグダグダで、とってつけたような感じが否めません

 細かく挙げていくとキリがないので絞りますが、具体的に特にひどいと思ったのが、“救命キットを取りに行くだけのために”グラウンドゼロと呼ばれる初めての感染者がいた危険地帯を探索する展開で、謎のボスクリーチャー・ラットキングを倒して、キット一つを持ち帰る不可解な展開はシュールな笑いを誘うところがありました。アビー編以降は一事が万事こんな感じで、没案を無理やりパッチワークしたみたいな煮え切らない、もたもたした展開が続き、遊んでいてかなり退屈です。また、終盤にサンタバーバラ編というエピソードがあって、エリー操作でアビーへの復讐に向かうのですが、最後にいきなり浜辺で『龍が如く』シリーズ(0,1[].2[極2].3.4.5.6.7.8.見参.維新)みたいな殴り合いになり、本当にアホ臭すぎて笑いました。

 FF15みたいな感じでリソースのレベルはハイクオリティなのですが、開発が難航した煽りをモロに喰らっています。

ゲームメカニクスについて

TPSとしての完成度は上上

  このゲームはTPSとなっています。前作のマイナーチェンジ版で、道中にある資源を回収しながら装備をやりくりするエコノミー要素が演出するサバイバル感はたまりません。ただ、大きな遊びの変化や挑戦のようなものはないのでそこは物足りないかもしれないです。また、エリーとアビーという二人のプレイアブルキャラクターも、ほぼできることに違いはないのでそこも少し残念です。

テーマと食い違うTPSとしての快楽や、ノーキルの困難さと不毛さ

 このゲームで一番違和感を覚えるのは、それぞれの主人公の「赦し」がテーマであるのにMGSシリーズ(1.2.3.4.5)と違ってノーキルにリターンがないとか、『ファイアーエムブレム 風花雪月』などと違ってナラティブチョイスなどによる分岐がないとか、「遊び」の部分で「赦し」を体験できないことです。ノーキルも本当に廃人向けの縛りです。

 また、敵NPCも一人一人名前や個性があるなど、殺す際にはかなり痛々しく、プレイヤーの心を苦しめるのですが、このせいでストーリー後半の珍妙さに目を瞑って、TPSとしてカジュアルに楽しもうとするアプローチが阻害されています。また、スキップできないイベントの多さもあり、リプレイ性にも問題があります。全体的に陰惨で陰鬱な展開ばかりで、繰り返しプレイしたいという気持ちが起こらないのです。なので、ストーリーに目を瞑っても、TPSとして楽しくないのです。印象として『トゥームレイダー』(2013)に近いです。

 個人的に、プレイヤーに殺すか許すかの選択の余地を諸々の局面で与えて、それによる分岐などで作品のテーマを実感したかったと思います。アビーを許すか許さないかも、プレイヤーの責任に委ねて、他者の命の重みを感じたかったです。

総評

TPSのシステムのデザインは完璧!けれどもストーリーや遊びの物足りなさ…

 TPSとしてのシステムデザインは完成度が高いのですが、後半のストーリーのクオリティと、テーマと食い違う、「復讐と赦し」をめぐってプレイヤーの選択の余地の少ない遊びの物足りなさに違和感を感じます。

関連作品、関連おすすめ作品

・新井英樹『ザ=ワールド=イズ=マイン』、黒澤明『影武者』:倫理的配慮、規範の根拠、起源としての他者、その伝記的生。

・『バイオハザード リベレーションズ2』,サイコブレイクシリーズ(1.2)資源のエコノミー要素のあるシューター。

・『Days Gone』『ウォーキング・デッド』(1.2)『Dying Light』シリーズ(1.2):リアリズムベースのゾンビSF。

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