斬新で佳作だがクソゲー要素が多い。『キングダムカム=デリバランス』レビュー!!

ウォーホーススタジオ
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始めに

始めに

 今日は『キングダムカムデリバランス』についてレビューを書いていきます。『ダンガンロンパ』シリーズ(1.2.3)(トリロジーパック)同様、ゲームメカニクスのデザインでは新規性はなくても、ゲームフィクション部分の斬新さが光るゲームです。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
54781良(33)

ゲームフィクションについて

あらすじ

ボヘミア王国はチャールズ4世、神聖ローマ皇帝によって統治され、黄金時代を迎えていました。 しかし皇帝チャールズ4世の死をきっかけに、王国は暗黒時代に突入します。 ハンガリー国王ジギスムント (神聖ローマ皇帝)の命令により、クマン人の傭兵たちは主人公・ヘンリーが住むスカリッツ村を襲撃し…。

ありそうでなかった歴史劇ゲーム

 このゲームの特徴はなんといっても時代や舞台設定の真新しさです。中世チェコを舞台にする歴史劇ゲームというのはなかなか類例が見当たりません。歴史劇オープンワールドとしての作風が近いシリーズとしてソード&サンダル風味の『アサシンクリード』シリーズ(Or.OD.Va)などがありますが、あれよりもっとリアリズム寄りの設定です。主人公は超人ではなく一介の鍛冶屋の息子で、現実的なパラメーター、アクションが割り振られています。けれども成長するとかなり強くなり、また出生の秘密も明らかになるなど、ただの非力な一般市民というわけでもありません。シェイクスピアや大デュマの歴史劇のような、あくまでも稗史、伝奇風のデザインです。ストーリーも、なかなかにドラマティックな内容で、先が気になります。

 ややテクスチャやテクスト、音声のリソース不足は感じるものの、おおむね上々のグラフィック、演出で、中世の社会風俗が生き生きと再現されています。名有りNPCがモブキャラの音声で喋るとか、至らない点も感じるのですが、遊んでいて楽しいと感じられる世界設定です。キャラクターも一人一人が魅力的にデザインされています。イベントも豊富で楽しく、ボリューミーです。

水増し気味でお使い要素強めなシナリオ

 世界観やシナリオはおおむね良好なのですが、シナリオは未完結でちょっと引き伸ばし感やお使い要素が強めな印象です。そのせいで尻切れとんぼな印象がしてしまっています。できれば一作で完結してほしかったです。

ゲームメカニクスのデザイン

FPSのオープンワールド

総評

 この作品はFPSのオープンワールドゲームです。3D空間がおよそシームレスに繋がっていて、その中にさまざまなイベントやアイテムなどの隠し情報が忍ばされています。『The Elder Scrolls』や『Fallout』シリーズ(1.2.3.4)と近いでしょうか。けれどもそうしたゲームと比べて、この作品はゲームメカニクスのデザインの部分で革新的な要素があるわけではなく、また攻略の自由度も割合低いです。ストーリーの展開は、サブイベントでナラティブチョイスなどによる分岐があるだけで、本編には分岐はほとんどありません。その点『ウィッチャー3 ワイルドハント』と近いです。悪人プレイもできますが、主人公の本編での性格的にかなり違和感が残ります。

移動

 本作のファストトラベルは高速移動に近いもので、うっかり松明を持たずにファストトラベル中に夜の街を通ると逮捕されるなど、かなり使いづらいです。

 『ドラゴンズドグマ』シリーズ(1{DA}.2)みたいなデザインで、でそこから派生するイベントも面白いですが、調整不足です。

育成とデッキビルド、戦闘

育成

 成長要素も、かなり自由度が低いです。このゲームの成長要素はメインレベルに加えて、それぞれのアビリティ(武器種、鍵開けetc)ごとにレベルがあって、特定のアクションに成功すると、アビリティのレベルが上がっていき、アビリティポイントを使ってスキルを開拓していきます。レベル上昇で得られるアビリティポイントの配分に悩むことはなく、鍛えればなんでもできるようになるため、ビルドデザインの楽しさはありません。それとアビリティごとのレベル上げも、難易度や作業量に偏りが目立ち、作業感も強めです。

 成長要素に自由度がなく退屈なのに二週目にパラメーターを引き継げないため、それもやる気を削ぎます。

戦闘

 戦闘は奥が深いようでいてそうでもなく、また煩雑で大味です。

 構え時に向きやタイミングを調整しながら剣戟で戦うのですが、まあ可もなく不可もなくみたいな感じで、カウンターやクリンチ主体で敵を圧倒する楽しさはありますが、武器種含め有効なアプローチが少なく、だんだん作業になってきます。あと敵に囲まれるとかなりレベルを上げても上位の敵だと負ける可能性が高いです。

その他 

二周目

 成長要素に自由度がなく退屈なのに二週目にパラメーターを引き継げないため、それもやる気を削ぎます。しかも二週目は高難易度モードが追加されるのですが、それも目的地とかゲームメカニクスのパラメーターが表示されなくなるとか、一部NPCの無敵が解除されてメインクエストが進行不能になるリスクが発生しているとか、単純に面倒臭いだけの投げやりな調整です。

DLC

 DLCで領地経営があり、領主として主人公が街を経営する要素が追加されましたが、これもただ資金を集めてくるだけの作業で見返りもなく、退屈です

 

総評

題材の新規性により唯一無二のゲームではあるが、荒削り

 ゲームフィクション部分の斬新さによって唯一無二のゲームではあるのですが、いかんせん遊びにくく、またオープンワールドとしても淡白で大味です。

 全体的にこのゲームはオープンワールドとしては水準が低く、ベセスダの作品と比べると、遊べる内容ではあっても貧相な仕上がりです。しかも全体的な調整不足を「リアルな中世」としての合理的デザインみたいなところへ逃げている部分もあり、そこもいただけません。

 けれどもやっぱりどうしようもなく魅力的な、不思議なゲームです。

関連作品、関連おすすめ作品

・『プレイグテイル』シリーズ(1.2):重厚な歴史劇

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