神ゲー気味。『龍が如く7 光と闇の行方』レビュー!!

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始めに

始めに

 外伝や新作発表で、『龍が如く』が盛り上がっていますね。ここで、今回は『龍が如く7 光と闇の行方』の感想を書いていきたいと思います。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
874884優(39)

ゲームフィクション

あらすじ

関東最大の極道組織「東城会」の三次団体「荒川組」に所属する「春日一番」は、組長の荒川真澄から若頭の沢城丈の殺人の罪を被るように頼まれ、尊敬する親父のために出頭します。

 時は経ち、2019年。ついに出所しますが、出迎える者は誰一人いませんでした。そして荒川真澄の変節について知り…。

アラン=ドワン風の活劇。超越主義、ピカレスクロマン。チャンピオン文化

 『龍が如く』というシリーズ(0,1[].2[極2].3.4.5.6.7.8.見参.維新[維新極].北斗.7外伝)は独特な遍歴を辿ったシリーズです。一作目は『不夜城』で知られる馳星周が監修に入るなど、フレンチノワール、香港ノワール風のウェットなムードと心理劇が特徴でした。けれども規制の都合もあるからか、桐生一馬という存在は一般的なノワール映画の主人公のような不道徳な存在ではなく、むしろ任侠映画の主人公のような、正義を宿した理想主義的なアウトローでした。

 シリーズも二作目以降になるともっとノワール映画的なテイストは薄れ、次第にチャンピオンの格闘漫画、不良漫画(高橋ヒロシ『クローズ』など)のような物語になっていきました。男同士の熱い拳のぶつけ合いのコミュニケーションの中で、桐生と対峙する強敵たちも自己物語を洗練させていきます。一作目の桐生と錦山の関係のような、行間で友愛と裏切りのドラマを展開するような要素は薄れ、もっと直感的にわかりやすい心理を展開するサスペンスになっていきます。

 本作品もフレンチノワール要素は希薄で、むしろハリウッドにおけるアラン=ドワンの剣戟映画のような、グッドバッドボーイのピカレスク喜劇になっています。春日一番という男の魅力に感化され、導かれた者たちの成長と成り上がりのドラマが描かれます。涙あり笑いありの極上のスクリューボールコメディになっています。ちょっと『ザ=プレデター』を連想します。

主人公交代に成功

 このシリーズ(0,1[].2[極2].3.4.5.6.7.8.見参.維新[維新極].北斗.7外伝)の欠点の一つが、桐生一馬というキャラクターを無理やり主人公として続投したため、その行動が矛盾と優柔不断さを感じさせるものとなってしまっていた点です。1の時点で桐生と因縁のあるキャラクターがあらかた死んだため、桐生のドラマを続けていくことがシリーズが進むたびにどんどん辛いものとなっていったのを感じましたし、6での幕引きも首を捻る形のものでした。

 なので今回の主人公交代は大成功でした。なんなら今後も1~3作おきに主人公を交代させ、旧作キャラをサブキャラクターとして登場させるのがいいのかもです。春日一番はの品田に似た、愉快で魅力あふれるキャラクターです。

ゲームメカニクスについて

戦闘

コマンド式RPG,リアルタイムアクション(移動,エリア),デリバリーヘルプ

 今回、『龍が如く』シリーズ(0,1[].2[極2].3.4.5.6.7.8.見参.維新[維新極].北斗.7外伝)としては異例の、コマンドRPGシステムが取り入れられました。従来はリアルタイムのアクションゲームですが、今回はコマンド式ターン制の戦闘になりました。ただDQシリーズの1ターンにそれぞれのユニットが1回行動するタイプのターン制ではなく、FF10のCTBのような、ユニットの素早さなどに応じたターンの回る頻度があり、その中でコマンドを入力するデザインです。ターン制に関してはATBのようなリアルタイム要素はありません。

 戦闘に関しては、従来作品を思わせるコミカルで派手で機知にとんだ演出が光る点では楽しいものになっています。デリバリーヘルプという、所持金を消費して一回の戦闘で一度しか使用できない強力なアクションが発動でき、ファンサービスに満ちた演出が見れます。これまでの戦闘の楽しさを、うまく別ジャンルに落とし込んでいるという点ではMHSシリーズ(1.2)、『ドラゴンクエストヒーローズ』(1.2)シリーズ、P5Sを連想します。

ゲームテンポと戦略性

 けれども、ゲームメカニクスのデザインとして優れているかというと、首を捻ります。この作品ではリアルタイムのアクションが戦闘に取り入れられています。そう聞くとFFⅬR、7リメイクシリーズ(1.2.3)を連想させますが、そんなに洗練されたものではありません。コマンド選択受付中も、つねに各ユニットが動き回っているのですが、うまくそれにタイミングを合わせて自動車などの地形ギミックや仲間ユニットのそばに攻撃で敵ユニットを吹っ飛ばして移動させられると、追加のダメージが入ります。またタイミングよくガードボタンを押すとジャストガードになってダメージが減少します。

 しかしこうしたギミックをとりいれたことにより、一回一回の戦闘が煩雑でテンポの悪いものになっています。印象として『シャドウハーツ』シリーズ、『ブレイブリーデフォルト』シリーズ(1.second.)、『オクトパストラベラー』(2では改善)と近いです。攻撃動作の前後に移動を挟むため、戦闘に時間がかかります。またユニットが地形にはまってなかなか攻撃動作にうつれない(数秒後ワープするものの)ことすらままあります。しかも、このリアルタイムアクションによる追加ダメージなどは微々たるものなので、ジャストガード以外はほぼ形骸化しています。実質劣化『スーパーマリオRPG』(2023リメイク)です。

8では改善します。

ジョブ、属性じゃんけんはアンバランス

 戦闘テンポに加えて、大味だと感じるのがジョブ、属性じゃんけんのアンバランスさです

 この作品ではハローワークという施設でユニットごとにジョブを選択し、ジョブごとのレベルを上げることでパラメーターが強化されたりスキルが追加されます(本当にDQ3.FF3.FF5のような感じ)。けれども各ジョブに強さにムラがあり、能力補正のためにレベルを上げたら産廃になる職種が多いです。

 また、物理・魔法に属性相性があるのですが、後半のエネミーユニットの耐性がかなり強いせいで物理ダメージが入りにくいことが多く、これもジョブ選びの幅を狭め(魔法が強い)ます。せっかくアクションの演出に凝っているのに、終盤の敵に対して有効になるスキルが限定されていて、同じ技ばかり使うことになります。

 戦闘に関してまとめると、演出としては満点、ゲームメカニクスのデザインとしては30点くらいです。スーパーファイナルミレニアムタワーを攻略したら、周回する意欲は起こりません。

探索

会社経営(ワーカープレイスメント、デッキデザイン、属性じゃんけん)

 サブイベント、サイドストーリーは今回も大ボリュームで遊びに満ちています。メインのサイドストーリーは会社経営で、これはの不動産経営のマイナーチェンジ版になっています。

 今回は、施設への従業員ユニットのワーカープレイスメント要素によるエコノミー要素に加えて、株主総会というデッキビルドとじゃんけん要素を組み合わせたゲームが用意されています。これはプレイヤーが従業員ユニット数体でデッキを構成し、敵ユニットの総会屋らに反論し、説得率を50%以上で時間制限を乗り切るか、全員の説得に成功すればクリアになります。敵ユニットの攻撃には属性があり、それにあった従業員ユニットで反論する必要があるほか、反論によってゲージを消費するためそのリソースのエコノミー要素が重要になります。深い遊びはないですが、演出が楽しく遊びやすいです。

 全体的にミニゲームは、ぼちぼちの遊びの深さと、高い演出力を保っています。

フィールドのアドベンチャー要素

 今回の主な舞台は伊勢崎異人町で、フィールドの規模と不確実情報の探索の楽しさは健在です。けれども先述の戦闘テンポの悪さ、エンカウント率の高さが玉に瑕です。また、フィールドを歩いているとまれに車にひかれてダメージを受け硬直するため、最初の1、2回は笑えるけど段々イライラします。せっかくエリア間のワープが任意の地点から可能になり、移動のストレスが減ったのに、この仕様は残念です。

総評

魅力あふれるストーリー!戦闘はいまいち…

 涙あり笑いありの素晴らしいシナリオと圧倒的なボリュームで楽しませてくれます。ただ戦闘に関してはクオリティが低く、マイナーチェンジで化けるポテンシャルを抱えた要素も見受けられないので、今後に不安もあります。春日に関しても、続投し続けたら桐生の二の舞になりそうです。

 

 

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