神ゲーのポテンシャルもある。『DEATH STRANDING』レビュー!!

コジマプロダクション
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始めに

始めに

 本作品は、『メタルギアソリッド』シリーズ(1.2.3.4.5)で知られる小島秀夫監督の独立後第一作目のゲームです。今回は、そんな作品についてレビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
974772優(36)

ゲームフィクションについて

あらすじ

 輸送や物流、双方向情報通信技術が過渡期にあり、ネットワークで繋がっても「綻び」が生じるなか、安全を守るため人を隔てる壁を国境に建てる公約を掲げたアメリカ合衆国大統領の就任後に、世界的な怪異が発生します。

 空には奇妙な虹が架り、地表では滲み出たタールが湖を形成して人工物を飲み込みます。特殊な雲は従来の通信インフラなどを破壊し、急激に経年を促進させる時雨を地上に振りまきます。時雨の降る地域にはあの世からBTと呼ばれる存在が現れ、人間を取り込みます。BTに取り込まれた人体は対消滅による爆発を起こします。人々はこの怪異を「デス・ストランディング」と呼びました。

 生存者は地下シェルターに避難し国と人は分断され、合衆国は崩壊しまず。そんな中、有志らの手により最低限のライフラインは確保されていました。しかし武装過激派や、遺体による対消滅と流通網を利用し小型核爆弾を用いたテロ行為が頻発。再び人々は孤立と分断の危機に晒される事になります。

 サム・ストランドは、10年前に発生した爆発事件において、「帰還者」の特性のおかげで唯一生還します。しかし、同事件で妻ルーシーと出産間近だった娘ルイーズを同時に失った上に、テロ関与の疑いをかけられます。育て親である大統領と関係を断ち、ブリッジズ社からも独立、フリーランスの配達人となります。

 10年後、サムは「ブリッジズ」の依頼を受け、養母のブリジット=ストランドUCA大統領に再会します。彼女は今際の際、サムに「世界を繋ぐ」事を懇願、直後に亡くなります。サムは、ブリジット亡き後の合衆国大統領後継者であり合衆国西海岸で囚われたアメリを救出し、全ての「結び目」を繋ぐため、単独での第2次遠征隊「サム=ポーター=ブリッジズ」として、ダイハードマンUCA長官と東から西へ横断する正式依頼の契約を結びます。

『ブレードランナー』的なテクノワール、ロードムービー、存在論的ドラマ

 この作品は『スナッチャー』などの小島秀夫監督の初期作品から共通する、SFとノワールの混合的なテクノワールで、たとえばリドリー=スコット監督『ブレードランナー』のようなジャンルとなっています。

 またヴェンダース監督の作品(『パリ、テキサス』)を思わせるロードムービーとなっています。主人公・サムは配達というグランドツアー的行為を通じて異なる他者と交わり、自己物語を洗練させていきます。また他者と他者とを繋げるプロセスの中で、自己の存在をめぐるルーツを知り、自己の存在論的定義を洗練させていきます。

 そうした実存的ドラマを展開するテクノワールという意味で、『メタルギアソリッド』シリーズ(1.2.3.4.5)とは、ゲームメカニクスのデザインにおいてやや断絶していても、テーマとしてはなんらかのつながりを見出せます。ストーリー、世界観はなかなか独創的かつ魅力的で、引き込まれます。

良くも悪くも小島ゲーなムービー周り

 良くも悪くも演出周りはいつもの小島秀夫で、アンバランスなぐらいムービーシーンが多く、またプレイヤーの考察を強いるような内容となっています。ゲームテンポの悪化を招いているのは事実で、賛否別れる要素でしょう。

ゲームメカニクスについて

オープンワールド

ウォーキングシミュレーター

 この作品はウォーキングシュミレーター的遊びをオープンワールドに取り入れたという点が発明でした。スタート地点から目的地まで、依頼品を運送するのですが、それにあたってマップをよく観察して環境に合ったルートや装備、乗り物をデザインし、移動します。

 オープンワールドで、3D空間がシームレスに繋がった空間デザインではありますが、NPCは皆無と言っていいほどマップにはおらず、イベントテクストもマップに散りばめられているわけではありません。けれども基本的なゲーム部分は斬新だしそれなりに奥深いです。またマップもすごく作り込まれていて、ブレワイなどに見劣りせず、荒野でありながら美しいです。MGS5とは雲泥の差です。

クラフト

 また、資源を回収することでそのリソースから施設、アイテムを建設、設計することができ、それによって地形を変化させられたりするので、有利に立ち回れます。

 加えて、クラフトするとNPCや他のプレイヤーからいいね(経験値)が貰えるなど、そのリターンが嬉しくかつハートフルな演出が設定されており、『大神』[絶景版]を連想します

 ただクラフトでルートを開拓すると(国道、ジップラインで顕著)移動が単調になるという致命的な欠点もあります。

戦闘とリソース収集

 このゲームのゲームメカニクスのデザインは、それなりの水準なのですが、けれどもやっぱり粗が目立ち、遊びとしては物足りないし、煩雑さと単調さが目立ちます。一番苦痛なのが戦闘です。戦闘を避けるべきものとしていて、あえてのデザインなのかもしれないですが、それにしても単調で大味です。敵NPCもミールとBTしかおらず、こちらにできるアプローチもごく限定的で、かつそれで簡単に捌けます。なので戦闘がかなり苦痛です。

 また資源の管理、クラフト要素が面倒です。資源の収集のために単調な戦闘を何度もこなす必要があり、億劫です。このあたりMGS5のマザーベース管理から改善がみられません。

 このゲームは、なんというか叩き台としてはすごく優れたゲームで、マイナーチェンジで化けそうなポテンシャルを秘めていると感じますが、まだ発展途上というか、遊びの部分ではかなり弱いと思っています。ステルス要素、クラフト要素、ランダムイベントの増強などによるオープンワールドのブラッシュアップなど、もう少し遊びが追加されたら、かなりいいゲームデザインになりそうです。

総評

佳作だがまだ発展途上

 新しいスタイルのオープンワールドで、独創的かつ完成度も低くないものの、まだまだ遊びの部分が物足らない印象です。とはいえ要チェックです。

関連作品、関連おすすめ作品 

・『Road96』『ファイナルファンタジーXV』:ロードムービーの影響が顕著なゲーム。

・『Dying Light』シリーズ(1.2):ルートデザインのオープンワールド。

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