神ゲーでもクソゲーでもない良ゲー!『サイバーパンク2077』レビュー!!

スパイクチュンソフト
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始めに

始めに

 もうすぐDLCが発売される『サイバーパンク2077』です。ここで、今回はそんな作品についてレビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
883873優(37)
  • 戦闘のクオリティ
  • ハイクオリティなゲームリソース
  • 節々に迷走を感じる
  • TPS視点、周回すらない
  • 分岐も少ない

ゲームフィクションについて

あらすじ

 主人公・Vの設定をプレイヤーが決定するところから始まります。Vのライフパス(出自)によって微妙な違いはありますが、いずれにせよジャッキーとコンビを組みます。ある時Vとジャッキーは「Relic」と呼ばれる特殊なインプラントに関わり、それを巡る争いでジャッキーは死亡します。同時に瀕死となったVは、取引の品物に記録されていた人格データがVの意識の中に居座るようになります。それは半世紀前の抗争で死んだテロリスト、ジョニーでした。

世界観はベタなサイバーパンクでありつつ、オープンワールドジャンルでそれを展開したことに新鮮な驚きが

 世界観はいっそ懐メロめいた古き良きサイバーパンクジャンル(『ブレードランナー』、『マトリックス』シリーズ[1.2.3])の様式を備えるもので、電脳といったモチーフやノワールの様式が伺えます。けれどもそれをオープンワールドというジャンルで展開したところに新鮮な驚きがあり、その点『キングダムカム=デリバランス』と近いです。

ストーリーはベタでテンポが悪い

 ストーリーは序盤は引き込まれたのですが、中盤にジョニーが出てきてからプレイヤーの動機が散漫になり、テンポが悪くなって退屈しました。また、ストーリーがほぼ一本道でエンディングくらいしか分岐がないのもがっかりでした。キャラクリあるのに一人称だからあんまり意味がないのも勿体無いです(『ファークライ5』みたいな感じ)。

 印象としては、『ウィッチャー3』はもともとかっちりした原作、原案のフォーマットがあってチームの開発力が特定のコンセプトを志向しつつまとまった一方、本作の原作はテーブルトークRPGでほとんど原案くらいの感じのせいで、スタッフが方向性を見失った時期が多かった結果散漫になってしまったのかなと思います

ゲームメカニクスについて

オープンワールド、探索

 この作品はオープンワールドになっています。およそマップ全体が3Dでデザインされ、ビジュアルの作り込みはすごいです。サブイベントも充実しており、かなりのクオリティで作られていて、飽きさせません。またマップに散りばめられたテクストも世界観を補完し、読み応えがあります。

 ただ、個人的には全体的に『ウィッチャー3』の方がオープンワールドアドベンチャーとしては面白かったです。まず、主人公のVが一人称視点でキャラクリありというのもあって、キャラクターとしての輪郭がぼやけていて、魅力に欠きます。あと『L.A.ノワール』『ファイナルファンタジーⅩⅤ』とちょっと近いのですが、気合入れすぎて制作過程に迷走があったことを顕著に感じさせるつくりで、ストーリーもサブストーリーも興奮は序盤がピークで、尻すぼみな印象がします。キャラクターの掘り下げもピンとこなくて、最初の期待がどんどん萎んでいきました。エブリンなど、消化不良のままフェードアウトするキャラクターも多いです。

 できることもそれほどバリエーションはなくかつ単調で『アサシンクリード オリジン』『アサシンクリード オデッセイ』とかと大差ないです。

戦闘(FPS,デッキビルド)

 戦闘に関していうと、大味でスキルも極端な壊れスキルと産廃スキルが混在していた『ウィッチャー3』と比べるとかなり有効なアプローチが増えて楽しく遊べるようになっています。ビルドを組む楽しみも『ウィッチャー3』より上です。ステルスも近接も銃もハッキングも、それぞれ強みがあります。ハッキングが飛び抜けて強く、あとは横並びでどれに特化してもそこそこ戦えるようになっています。FPS要素に関してはかなり手堅く、けれども無難に作った印象で、完成度は高いです。

 今作ではサイバーウェアという装備があり、それによってアクションのモーションを追加、強化、パラメーターを強化できます。これも結構自由度があって楽しいです。

未完成というか失敗作というか…

 戦闘は面白いんですけど、なんというか個人的には『ウィッチャー3』と比べて、そんなに遊んでいてワクワクしなかったです。ストーリーもシステムも、最初の期待を裏切るようなこじんまりした形に落ち着いていて、圧倒される部分が少なかったです。サイバーパンクというジャンルが好きで、その世界をオープンワールドで遊びたい人ならフィールドを歩いているだけで楽しいのでしょうが、個人的には前作『ウィッチャー3』や『レッド=デッド=リデンプション2』などの方が、戦闘はともかくずっとアドベンチャーゲームとしては世界に浸る快楽を感じました。やっぱりストーリー、キャラクターの重厚さ、魅力に負うところが大きかった気がします。

総評

FPSとしての完成度は高いがアドベンチャーとしては

 FPSとして戦闘は楽しくデザインされていたのですが、アドベンチャーとしての魅力は『ウィッチャー3』に劣っていて、ストーリーもキャラクターも相対的に弱く、結構やることも単調です。神ゲー未満、良ゲー以上なのですが、期待値を上げすぎてしまいました。

関連作品、関連おすすめ作品

・『マスエフェクト』シリーズ(1.2.3)、『バルダーズ=ゲート3』:インタラクティブ性の強いストーリー

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