神ゲー。『ペルソナ5 ザ=ロイヤル』レビュー!!

アトラス
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始めに

始めに

 最近新作発表が話題になっていますね。今回は『ペルソナ5 ザ=ロイヤル』についてレビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
84884優(40)

ゲームフィクションについて

あらすじ

 世間では「精神暴走事件」と呼ばれる謎の事件が起こっていました。加害者は突然危険行動に出てしまうのに、その前後の記憶を失ってしまうのです。
 主人公は、泥酔した中年男性にからまれている女性を救ったことで、男から傷害事件として訴えられます。冤罪で有罪判決が下され、退学。2年生の春から、東京の純喫茶「ルブラン」の店長・佐倉惣治郎による保護観察の下で、都内の「秀尽学園」へ転入します。

学園ジュヴナイルの名作

 本作品は学園ジュブナイルとなっております。ペルソナというジョジョシリーズ(1.2.3.4.5.6.7.8)のスタンドのような存在を召喚し、戦います。けれどもジョジョと違って、ペルソナを召喚できるのは、認知の世界においてだけです。

 この作品において、認知の世界と呼ばれる、ユングの精神分析を踏まえたパラレルワールドが存在しています。主人公たちは「心の怪盗団」を名乗り、『ねじまき鳥クロニクル』よろしく大衆の心を操る悪党を、認知の世界に干渉して裁いていきます。

圧倒的な演出、絵作り

 この作品は、シリーズの3(P),4(G)と比べて、ゲームメカニクスの部分で特別新しい要素があるわけではないのですが、それでもこの作品が心を捉えるのは、圧倒的な絵作り、演出です。まずアシッドジャズ調の楽曲も素晴らしく、作品のムードを盛り上げてくれます。キャラクターたちの3Dアニメーションも愛らしく、カットイン演出は一々かっこいいです。そうした点では『Ghost Of Tsushima』などと近いかもしれません。ゲームメカニクスの革新性より演出が各品の肝です。

 シリーズの伝統を踏まえつつひたすらにシナリオや音楽、演出にこだわり抜いたという点ではDQ11(S)などと重なります。

シナリオの瑕疵

 この作品では引っかかるところがあります。それはシナリオです。どういうことかと言いますと、主人公たちが悪人たちの認知の世界に干渉して、行動変容を促していくのですが、それが洗脳としか映らないのです。

 前作P4(G)や続編『ペルソナ5 スクランブル ザ ファントム ストライカーズ』ではこうした違和感は解消されています。それがなぜかというと、この二作においては認知の世界に干渉されて自己物語を洗練させ行動を変容するキャラクターたちの、主体性や自由、そして幸福が尊重されており、それが説得力を持って描かれているからです。この二作では、各々のキャラクターが自身のシャドウ(抑圧された欲求)と向き合い、本来の自分を取り戻し、再生するプロセスが描かれていて、それを認知行動療法のメタファーとして読み取れます。一方で、本作にそれは全くなく、悪党たちはただ行動を変容し、贖罪する様が描かれるだけで、そこへ至る心理的プロセスや、当人の自由や幸福、主体性は描写されていません。

 しかもこの欠陥は完全版である本作においても、何か追加シナリオでフォローが入るわけではありません。追加キャラやシナリオは水準が高いだけに勿体無いです。他者の自由に介入し、侵害したところで相手の幸福を実現しようとするキャラクターとの戦いが追加シナリオでは描かれるため、余計にもやもやします。

ゲームメカニクスについて

時間制限付きのアドベンチャー、ギャルゲー(好感度上げ、ナラティブチョイス)要素

 本作品はシリーズ3(P),4(G)作目と共通して、カレンダー制という、タイムリミット付きのアドベンチャー要素が設定されています。一日に活動できる枠が2〜3個あり、その中ではリアルタイムの時間リミットはないものの、ダンジョン探索、NPCとの交流など特定のアクションは時間の単位ユニットを消費します。限られた枠の中で最短でダンジョンを攻略し、NPCと交流してナラティブチョイスに成功してなるべく短期で好感度を上げていくことが求められます。

 この作品はNPCとの交流によってアルカナレベルというものを上昇させられます。このアルカナレベルの上昇によって、新たなアクションが可能になったり、仲間NPCの能力に補正がかかったり、ペルソナ合体にプラス補正が掛かります。

ペルソナ合体、プレスターン、バトンタッチ

 本作品は主人公のみペルソナのユニットを持つことができます。主人公はペルソナユニットを合体によって消費し、スキルを継承させて新しいペルソナユニットを生成できます。

 そうしてペルソナを強化して戦闘に臨みます。戦闘はプレスターン制で、弱点ヒット、クリティカルヒットなどに成功すると、アクショントークンが増え、もう一度行動できます。今作ではバトンタッチというシステムがあり、アクショントークンを増やせたあと、別の仲間NPCに能力の上方補正を与えつつターンを譲れます。プレイヤーのアプローチが増え、戦略の幅が広がっています。

 けれども全体的に、システムは3(P),4(G)のマイナーチェンジで、すごく革新的なブラッシュアップがあるわけではないです。

完全版として

 本作品は、完全版としてやっぱりちょっと物足りないです。「瞬殺」やメメントスの仕様改善、ショータイムによる難易度低下によって遊びやすくなっていますが、追加シナリオ、ステージの少なさ、変化の乏しさは少し感じます。

総評

シリーズのマイナーチェンジにして集大成

 シリーズの集大成にして最高傑作です。無印からの追加要素は少ないですが、初見ならこっちがおすすめです。

関連作品、関連おすすめ作品

・『アストラルチェイン』:ジョジョフォロワー。

 

参考文献

石原孝二『精神障害を哲学する:分類から対話へ』

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