始めに
始めに
今日は『テイルズオブアライズ』レビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
7 | 7 | 4 | 6 | 8 | 3 | 優(35) |
- キャラゲーとしてのシリーズの魅力が十分
- グラフィックも優れている
- 後半失速するシナリオ
- ボス戦は調整不足
ゲームフィクションについて
あらすじ
星・ダナに住むダナ人は隣り合うもうひとつの星・レナのことを「死者が住まう地」として崇めていました。300年前、ダナはレナから侵攻を受け、科学や魔法が発達したレナに敗北し、ダナ人はレナ人に支配されました。
ある日、ダナ人の青年・アルフェンはレナ人の少女・シオンと出会います。二人は各地でダナを支配するレナのスルドを倒し、レナの支配からダナ人を解放しようとします。
異文化理解をめぐるドラマ。魅力的な仲間たち
本作は異文化理解を巡るドラマで、全体的にポストコロニアルな主題がみえます。テイルズはシナリオの品質に関してはムラがありますが、今作は王道ファンタジーで後半失速するものの、なかなか見ごたえがあります。テイルズにはゼスティリア、ヴェスペリアなど倫理的にモヤモヤする作品も多いですが、本作にはそういうのがなくて安心して楽しめます。
主人公の仲間たちはみんな魅力的でラブコメも微笑ましくハッピーエンドを迎えるので、見ていて楽しいです。終わりなき支配と隷属の連鎖を乗り切ろうとする主人公たちの奮闘が見どころです。
後半失速するシナリオ
この作品は涙あり笑いありの王道ファンタジーなのですが、後半失速します。よく「茶番おばさん」がネタにされますが、実際あのあたりからシナリオが雑になったと感じます。
「茶番おばさん」とはアウメドラというスルドです。登場する前のエピソードもグダグダなのですが、こいつが出てきて領地の人間を虐殺する流れも説明不足で混乱させられます。またそのときリンウェルという仲間キャラクターはアウメドラが故郷を襲った仇であると悟り攻撃しようとします。するといきなり別の仲間・ロウがその攻撃を自分で受けてアウメドラを庇って、「気持ちはわかるが憎しみはなにも生まない」みたいなことを言って応酬が続くのです。テーマが相互理解なのでロウの主張もわかるのですが、目の前にスルドがいてしかも大量に人を殺した直後で、そいつを攻撃しようとしたリンウェルにいきなりロウの説教が始まるので、流れとしては唐突で不自然です。FF15の「いい加減きりかえらんねえのか」と一緒で、別にすごくおかしいことは言ってないんですが、一連の流れの見せ方として杜撰です。せめてリンウェルがアウメドラへの憎悪を引きずって周りを振り回す描写が事前に描かれていればよかったのでしょうが。
そして、アウメドラのエピソードのしばらく後、二部が始まるのですが、この二部はもっぱらテキストベースで、しかも勧善懲悪で勢いのあった一部と比べて、世界観の謎を淡々と解き明かすミステリー風の内容で、テンポや勢いが削がれています。アバタールチューナーの1と2が印象として近いです。またスルドのような魅力的な悪役も出てこなくなり、敵も神のような抽象的な存在になっていきます。
あとヴォルラーンという「ありえたかもしれない主人公アルフェン」的な悪役が重要キャラクターとしているのですが、こいつも完全にヴェスペリアのザキ(あちらは確信犯的ですが)みたいなネタキャラになっていて、描写が稚拙です。特にこれといった目的もなくアルフェンを逆恨みして嫌がらせしてくるみたいな感じです。
3Dアニメーション
今回は従来のセルアニメーションによる語りが激減し、3Dアニメーションのキャラクターも海外を視野に入れた、等身の高くリアリスティックなものになっています。美麗で温かみもあり、自分はかなり好印象でした。また露出狂みたいなキャラクターも減りました。
ゲームメカニクス
戦闘
AG管理、ジャスト回避、ブーストアタック、CP
今回もテイルズシリーズの戦闘は順当に進化しています。連撃をつなぐためにブーストアタックなどを駆使してAGを管理し、ブーストストライクを決めていきます。
本作は連撃を決めると相手に菱形のゲージがたまっていき、これがマックスになるとブーストストライクを決められます。時間経過、攻撃成功で蓄積するブーストアタックを決めると攻撃のためのAGが溜まるので、連撃を繋げられます。ブーストアタックゲージは仲間NPCにそれぞれあり、各々固有のモーションがあって、カウンター攻撃ができます。カウンターに成功すると一定時間相手をノックアウトさせて硬直させられます。
あと、回復などの一部のアクションはCPを消費します。CPはフィールド探索でも使います。CP回復はアイテムも結構高価で管理が大変です。
ボス戦は調整不足
雑魚戦闘は連撃をつなぐ楽しさが面白いのですが、ボス戦は敵のモーションが優秀でスーパーアーマーもあり硬いのと、こちらの手数がすくないのもあって如何せん単調です。なんというか、『CODE VEIN』と同等かもっとつまらなくしたような感じです。
もうすこし連撃やブーストストライクのカウンターにリターンがあればだいぶ違ったと思います。ボス戦では雑魚戦よりアプローチが減るので単調に感じます。
遊べる内容ですが、ボス戦は改善の余地があります。
総評
シリーズ代表作だが不満も
ストーリーも戦闘も完成度は高いですが、ボス戦は調整不足です。それとやり込み要素も少ないです。とはいえシリーズ代表作です。