神ゲー。『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』レビュー!!

ソニー
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始めに

始めに

今日は『アンチャーテッド 海賊王と最後の秘宝』についてレビューを書いていきます。

ゲームフィクションについて

あらすじ

 ネイサン=ドレークはトレジャーハンターを引退し、エレナ=フィッシャーと3年前に結婚していました。海底に沈んだ船や荷物を引き上げる海洋サルベージ会社に勤めつつ、幸せに暮らしていました。エレナには危険な冒険はしないとも誓っていました。
 そんなある日、15年前に死んだと思っていた兄・サムが目の前に現れます。ネイトは兄が生きていたことに喜びますが、そんなネイトにサムは過去の脱獄の経緯を伝えます。サムは囚人仲間でマフィアのボス 、ヘクター=アルカサルの手引きで刑務所から脱獄し、その見返りとしてヘンリー・エイヴリーの財宝の分け前を要求され、命を狙われ脅迫されているというのです。そしてネイトに協力を求めにきたのでした。
 ネイトはサムのため、エレナには黙って財宝探索に協力します。

ネイサン=ドレーク最後の(?)冒険

 本作はネイトとサムの兄弟の過去が描かれるなど、『インディ=ジョーンズ/最後の聖戦』を意識したと思しきドラマとなっています。新キャラクターのサムもかなり魅力的に描かれていて、ポッと出キャラであることを忘れさせます。本作で一応、ネイトの物語は完結だそうで、子供の頃から彼の冒険を追ってきた私には感慨深いものがあります。

メロドラマ的傾向が強い

 そもそも本シリーズ(1.2.3.4)のコンセプトとして画期的だったのは、SW4や『インディ=ジョーンズ』シリーズ(1.2.3.4)が志向したアラン=ドワンなどの剣戟映画やシリアルの新古典主義的リブートのさらにパロディをビデオゲームで展開したことでした。SW4やインディはドワン流の剣戟映画における、超越主義・プラグマティズムのアメリカの精神を湛えた喜劇映画のムードや様式を踏まえつつ、そこにベトナム戦争を背景としたポストコロニアルな主題を盛り込み、帝国主義の中での空虚な戦争や対外領土拡張への意図を相対的に描きました。

 本シリーズはSWや『インディ=ジョーンズ』(1.2.3.4)のイズムを継承、ビデオゲームというゲームと映画、小説などとのハイブリッドなメディアにおいて、ゲームメカニクスとゲームフィクションの意味論のすり合わせの中で起こる、ゲームフィクションのデザインとしては不合理な描写に対して合理的な美的意図を与えます。例えば『バイオショック』、FF13、『バイオハザード ヴィレッジ』などと共通するでしょうか(『バイオハザード0』に関する記事も参考までに)。つまりゲームメカニクスの中でのルーティンワーク(大量に用意されたパルクール、銃撃戦、パズルなど)が有するゲームフィクションとしては不自然な描写に「ジャンルのお約束」という形で説明が与えられていると言えます。

 例えば『龍が如く』シリーズ(0,1[].2[極2].3.4.5.6.7.見参.維新)で言いますと、「栄養ドリンク」という表象はその現実世界における特性たる「健康管理に用途を持つ」という部分から、ゲームメカニクスにおいてはHP回復のユニットとして、ゲームフィクションにおいてはコンビニなどで売買されるドリンク製品としての意味づけを与えられています。けれどもよくよく考えると戦闘中に怪我をドリンクで瞬時に癒すというのはゲームフィクションの面から見ると非現実的で不合理なデザインに見えますし、実際よく揶揄の対象です。本シリーズはそうした矛盾に美的意図を与えています。

 話を元に戻します。それで、本シリーズ(1.2.3.4)の一作目はもともとSW4や『インディ=ジョーンズ』シリーズ(1.2.3.4)の源流たるアラン=ドワンの剣戟のようなスカスカな空気がなんとも言えない味わいを出していたのですが、2,3でややメロドラマ要素が強まり、本作もスピルバーグ流の剣戟映画のフォロワーたるゼメキス、ジョー=ジョンストンのようなややウェットなメロドラマが展開されます。なので1作目の空気の方が好きという人は結構いるかもです。『ターミネーター』で言うとメロドラマ的な名作である2より1や3の方が好きと言う人がいるでしょう

ゲームメカニクスについて

順当な進化を遂げたTPS、ステルスアクション、ロープ

 例えば『メタルギアソリッド』シリーズ(1.2.3.4.5)などにも似て、プレイヤーのモーションなどは毎度マイナーチェンジが図られ、ブラッシュアップされています。本作も2から追加されたステルスアクションを継承し、注目度を示すゲージが導入されたほか、一定時間経過で警戒態勢が解除されるようになりました。こうしてステルス要素が強まっています。

 またロープアクションが追加され、アイコンが示された場所にはロープで移動できます。これによってフィールドが縦横に拡大しました。このロープアクションによってパルクールの魅力とシューターとしての魅力が有機的な連環をなしてます。

 ステルスやTPSの調整はいい具合に緩くてカジュアルに遊べるようにデザインされています。革新的な追加要素はないものの、シリーズの積み上げを実感します。

参考文献

・加藤幹郎『映画ジャンル論―ハリウッド的快楽のスタイル』(1996.平凡社)

・松永伸司『ビデオゲームの美学』(2018.慶應義塾大学出版会)

 

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