始めに
始めに
今日は『龍が如く5 夢、叶えし者』についてレビューを書いていきます。シリーズ(0,1[極].2[極2].3.4.5.6.7.8.見参.維新[維新極].北斗.7外伝)の5作目です。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
8 | 7 | 4 | 9 | 7 | 0 | 優(35) |
- アドベンチャーの質と量
- キャラクターの魅力
- シナリオが失速する
- 戦闘バランス
ゲームフィクションについて
あらすじ
東城会六代目会長・堂島大吾は4での一連の事件の後、宿敵である近江連合と五分の盃を交わします。しかし2012年12月、近江七代目が危篤となり、東城会と近江連合の均衡が破れ「東西全面戦争」となります…
焦点化がなされる4人の主人公
本作は4と同様、複数の主人公から構成され、それぞれに焦点化するエピソードが描かれます。本作は前作の谷村がリストラされた一方、品田辰雄が追加され、またシリーズヒロインの澤村遥が4にも登場した秋山駿と共同で主人公となります。新キャラクターの品田辰雄は後の7の春日一番を思わせる人徳の持ち主で、なかなか魅力的です。シナリオは本筋から逸れる印象はありますが、日活無国籍風の喜劇的ドラマで私は好きです。哀川翔の登場もあって、黒沢清監督『勝手にしやがれ!!』シリーズ(1.2.3.4.5.6)を連想しました。
最終章で失速
本作は最終章は世評が振るわず、実際その辺りから興奮が冷めていきますが、それでも熱い男たちの闘いを描くVシネマやチャンピオンの不良漫画的な活劇といった、シリーズに期待される要素は揃っています。渡瀬勝など、新キャラクターも魅力的です。
ただ最終章はMGS2のような、無闇などんでん返しが目立ち、黒幕(ラスボスとは別)の正体に関してはそこそこ伏線などあって面白いんですが、やはり黒幕を嵌める罠が4のラスボスホイホイみたいだったり、ラストワンとなるラスボスも作品のテーマを象徴してはいるものの、唐突な印象がします。あと、主人公ごとのラスボスもマッチングが4と一緒で無理やりです。けれども品田編が終わるまでは熱いドラマが楽しめます。
遙編は…
本作の遥編は賛否両論ですが、私もやや否定的です。まず遥の主体的な葛藤が見られたのは嬉しいことですし、アイドルもののスポ根ドラマとしてはライバルも印象的で安定した内容と言える部分はあります。しかし結末も適当でそこから繋がる6も酷いし、やはり遥という存在を持て余しているのを感じます。あとやっぱりゲームメカニクスの設定も違うことも含めて、作品の中で浮いてます。
ゲームメカニクスについて
箱庭の拡大。4大都市
本作はシリーズの中でも功罪大きい作品です。本作最大の評価点は、箱庭の圧倒的な規模と密度です。本作はなんと移動できる都市が東京、大阪、愛知、北海道の4つに増えました。いずれのロケーションも密度も十分でアドベンチャーとしての楽しみは抜群です。サイドストーリーも、ちょっと本筋と脱線しすぎている印象はしますが、遊びや演出の水準は高いです。
戦闘について
本作の罪の部分は戦闘だと思っています。具体的には敵AIの異常な強さとモーションの強化です。今作以降、極、6などは特に戦闘がアンバランスで遊びづらくなっています。理由は敵が強くなっているのにプレイヤーキャラのモーションの強化や進化が追いつかず、有効なアプローチが減っているからです。
本作において桐生と冴島に関してはシリーズ最強レベルの強さですが、秋山と品田(特に秋山)に関しては、敵の強化に適応できておらず、ワンパターンな立ち回りやハメ技を強いられます。とにかく上位の敵ユニットのガードが硬すぎてほとんどの攻撃を中断させられてしまいます。
サイドストーリーについて
サイドストーリーは桐生のタクシー(ドライブシュミレーション)、遥のアイドル(音ゲーなど)、冴島の狩猟(TPS)、品田の野球(エイムなどの野球ゲーム)があります。ロストジャッジメントにも似て、演出の量、質ともに圧巻です。ストーリーはやや本筋から脱線するものの、内容は充実しています。遊びとしては、どれもまあそこそこです。