神ゲー。『ダークソウル3』レビュー

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始めに

始めに

『ダークソウル3』についてレビューを書いていきます。

ゲームフィクションについて

あらすじ

 ロスリックと呼ばれる王国には、世界の根源であるはじまりの火を継いだ「薪の王」の亡骸が流れ着きます。ある時、はじまりの火が陰ったことで、生死の境があいまいになり、死んでいた薪の王たちが蘇ります。彼らは火継ぎの使命を投げ出し、自身の故郷に篭ります。時を同じくして蘇った『火の無い灰』と呼ばれる不死人(主人公)。この不死人には薪の王を玉座に連れ戻し、火継ぎを行わせる使命が課せられます。

『金枝篇』の影響。火の神話(プロメテウス、スルト)、太陽の神話、人間の起源

 『ダークソウル』シリーズ(1.2.3)三作目である本作品も前作までと世界観を共有し、時系列的に後の出来事を描きます。さまざまな神話のエッセンスを取り入れた作品になってますが、本作品は特にフレイザー『金枝篇』からの影響が顕著です。フレイザー『金枝篇』といえば、ネミの森の司祭殺しの儀式の風習に関して、比較神話学、文化人類学的考察を進め、その実践の背後にある合理性、合理性に基づく慣習のデザインに対して合理的解釈を考えたものです。要約すると、ネミの森の司祭殺しは自然の生命の転生サイクル、生命の活力の維持のために、前任者である森の司祭の力が損なわれる前に次の王に誰かが成り代わる必要があるから、という発想からそのような儀礼が形成されたとの解釈がなされています。

 本作も同様に、主人公は「薪の王」を殺して火を維持することで世界の秩序を維持するべく役割を主人公は課されています。

ゴシック小説。コンラッド『闇の奥』、T=S=エリオット『荒地』

 フレイザー『金枝篇』はまた、モダニズム文学に影響したことで知られています。例えばT=S=エリオットは、コンラッド『闇の奥』の非線形の語りに影響を受けつつ、『金枝篇』をベースに独特の非線形の語り口を構想しました。コンラッドの『闇の奥』では、作中に登場するさまざまなエージェントの視点や語りを通じて、断片的に特定の対象について記述され、読者はそれについて解釈を与えていきます。

 同様に本作品はプレイヤーの鏡像、身体的延長たる不死人を操作して、焦点化されるプレイヤーキャラクターの視点から物語世界内の断片的情報を収集し、それに解釈を与えていきます。

ゲームメカニクスについて

シリーズ集大成。最も安定した内容。

 本作はシリーズ集大成です。『ダークソウル2』のクズ調整の数々、『Bloodborne』のクソボス祭りを乗り越え、本作はシリーズのマイナーチェンジに成功しています。プレイヤーの能力、ステージやエネミーデザイン、マッチング周りなど、調整不足でまともに遊べなかった2の不評な部分をすべてと言っていいくらいリニューアルし(というかをなかったことにして1をマイナーチェンジした感じ)、遊びやすくなっています。

 基本的な部分は1作目から共通ですが、魔法がFPというポイントを消費して発動する形式になるなど、全体的にパラメーターのデザインがスマートになりました。また『Bloodborne』を前提に、以前よりもプレイヤーキャラクターの動きが機敏で軽快に立ち回れるようになるなどの変化が見えます。また『エルデンリング』にも受け継がれる、武器固有の「戦技」のシステムもここに始まっています。

安定してはいるものの、挑戦がない。またシリーズの良さが一部喪失

 本作品の不幸な部分はシリーズ(1.2.3)においては集大成で最高傑作ではあっても、『Bloodborne』(今では『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』『エルデンリング』もあります)が先に発売されていたことで、すでにこのシリーズから発展した新しいアグレッシブな挑戦を経験されてしまっているが故に、1.2の不評な部分を丁寧に削ぎ落とした本作のささやかな挑戦があまりありがたみを感じられにくいかもしれないというところです。本作は結構スルメゲーのような感じで、周回するとフロムの全ソウルライクの中でもトップクラスの完成度を誇っていて、噛めば噛むほど味のある作品ですが、ちょっと華がない作品です。

 また、1.2と比べ、敵の周回での配置変化がない、ステージ攻略手順が一本道になってしまっている、といった好評だった部分が縮小されてもいます。他にもシリーズ恒例の産廃武器の存在、武器種のバランス、育成リソース収集の煩雑さなどの調整不足はちょこちょこあるけれど、まあ許容範囲です。

 ソウルシリーズは本作でのマンネリ化を踏まえて自由度を大規模に拡張して『エルデンリング』という作品に転生したといえますが、『エルデンリング』に触れた後でも本作の堅実なデザインは新鮮な感動をプレイヤーに提供してくれます。

関連作品、関連おすすめ作品

・『スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー』『Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)』『Sifu』『Lies of P』パリィ主体のソウルライク

 

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