良作。『ファイナルファンタジーⅩ』レビュー!

スクエニ
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始めに

始めに

『ファイナルファンタジーⅩ』についてレビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
873784優(35)

ゲームフィクションについて

あらすじ

 「ザナルカンド」に住むブリッツボールのエースのティーダは、試合中突如現れたシンにより、別世界へ飛ばされます。目を覚ますと、そこは見知らぬ海岸で、そこで出会ったワッカの案内で訪れた村で、召喚士ユウナと出会います。ティーダは、ユウナがシンを倒すための究極召喚を手に入れる為、ザナルカンドへの旅に出ることを知り、ワッカ・ルールー・キマリと同行します。

FF6以降の路線。東洋風ファンタジー、スチームパンク

 FFは2.4.6.7と独自の路線を確立し、ファンタジーやSFの中でもトールキンやニューウェイブ以降の先鋭的なジャンルへと舵を切った印象です。本作品も、東洋、中東風のロケーションの中でスチームパンク風の機械兵器も入り乱れた独特の世界観を設定しています。

 本作品は特にSWシリーズ、『ライオン=キング』、ウォシャウスキー姉妹『マトリックス』シリーズ(1.2.3)、宮崎駿『もののけ姫』、ピーター=ジャクソン『ロード=オブ=ザ=リング』シリーズなどと同様に、一時期流行ったジョセフ=キャンベルの比較神話学や構造主義の影響を窺わせ、各地の神話に共通のモチーフ(「父殺し」「貴種流離譚」「通過儀礼」「生贄」)を作品に導入し、神話の象徴としてドラマを展開しています。

 このような神話の象徴的してフィクションを展開する手法はT.S.エリオット『荒地』、フォークナー『響きと怒り』、ジョイス『ユリシーズ』などにはじまり、国内でも大江健三郎(『万延元年のフットボール』)、三島由紀夫(豊饒の海シリーズ[『春の雪』『奔馬』『暁の寺』『天人五衰』])へと受け継がれました。こうした作品群は神話的象徴という形で神話と特定の対象がなんらかの概念的レベルでの共通性を持って発見される機知に着目するアプローチと言えます。その後、ジョセフ=キャンベルの比較神話学、神話に見られる共通パターンに対してその背景にある原理と歴史的体系に着目した構造的解釈を試みるレヴィ=ストロースの構造主義の知見を踏まえて、クリストファー=ボグラーが脚本術として神話的象徴としての創作メソッドを確立しました。

 本作もそうした流れを汲むものと評価できます。

父殺しと自己の存在論(実存)、宿命的な生贄の風習への叛逆

 本作はティーダという主人公の『オイディプス王』に似た「父殺し」の物語になっています。ティーダという主人公は自分のルーツである父親とその出自について正確なところを知らず、ユウナたちとの旅の途中で父親が何者であったのか、自分はどこからきたのかについて正確なところを知ることとなります。最後の戦い前のやりとりは感動的です。

 自己の存在論(実存)的苦悩のモチーフはFF7.9にも見えましたが、本作もそうした主題を受け継いでいます。宿命的な構造としての究極召喚(生贄)の慣習への叛逆のプロットは、FF12[ZA].FF13シリーズ(1.2.3)などで運命への叛逆の主題として共通します。

ゲームメカニクスについて

ATB廃止。CTBが導入、オーバードライブ、召喚獣

「CTB(カウント・タイム・バトル)」が戦闘システムとして導入され、4.5から確立してきたATBが廃止されました。CTBは画面右上のアイコンで明示された行動順に従って進むバトルシステムで、ATBにおけるターン制のリアルタイム性を撤廃したものになっています。次に行動順がまわってくるまでの待機ターンは、主に素早さのステータスと、そのとき選んだコマンドで変わり、強力な行動ほど長くなりがちです。

 『ペルソナ2』など、似たようなデザインのターン制は多いですし、近年では『龍が如く7』にも見えましたが、本作独自の特徴というのでもなく、ATBというシリーズの個性を無くしてしまったのは物足りなくも思います(10-2では再生)。ただ、DQシリーズなどと近く、カジュアルに遊びやすいです。

 本作はオーバードライブという、7のリミット技のような時間経過で蓄積するゲージを消費して発動する技があります。また召喚獣は味方に代わって戦うユニットとなっていて、単なるスキルではなくなりました。かなり強いです。

育成要素(スフィア盤)は失敗

 本作の育成システムはスフィア盤という独特なシステムが導入されていますが、これは出来が悪いです。キャラごとにすごろくを進め、マスに対して指定のアイテムを消費して発動させることによりマスに設定されたアビリティなどが獲得できるというデザインです。戦闘によってAPを獲得し、APを消費してコマを動かし盤面の道を進めていきます。マスの進行にサイコロのようなランダム要素はなく、APさえ足りれば一度通った道を戻れます。
 スフィア盤は全キャラクター共通ですが、キャラごとに初期位置が異なり、各初期位置を含む範囲が「スフィアロック」という通行止めによって区切られ、当初は他エリアへ移動できません。なのでストーリー終盤手前くらいまではキャラ別にほぼ決まった一本道のルートを進めるのですが、パーティメンバーの1人であるキマリだけは、初期位置の都合上、比較的早期からルート選択の自由度が高くなっています。

 わかりづらいと思いますが、実際(実質ほぼ一本道と気がつくまで)飲み込みづらく、かつ育成自由度もあまりないという劣悪なデザインのスキルツリーになっています。FF8のジャンクションシステムも、初心者が地道にレベルを上げると容易に進行が難しくなるのに、経験者が要領をつかんでルールの裏をかくとバランス崩壊するひどいデザインでしたが、これも結構ひどいです。

総評

ゲームフィクション部分の斬新さ。遊びとしてはぼちぼち

 本作の売りはまずゲームフィクション部分です。RPGとして無難な作りですが、挑戦が滑っていて、ちょっと難易度もカジュアルで低すぎます

 

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