始めに
今日は『戦国無双5』についてレビューを書いて行きます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
6 | 6 | 4 | 7 | 5 | 1 | 良(29) |
- グラフィックとモーションは明確に洗練された
- 基本的なアクションはそこそこ
- キャラゲーとして大失敗
- なんのためのシリーズ刷新なのか不明
ゲームフィクションについて
特徴
従来のシリーズは真田幸村が主人公格の戦国絵巻でしたが、本作は織田信長と明智光秀中心のストーリーに転換しました。信長、光秀はすでに登場してきましたが、従来作品からイメージを刷新しています。
刷新の路線
戦国無双シリーズはキャラゲーであって一騎当千のアクションの他に、キャラクターの魅力で成り立ってきたシリーズでもあったため、ストーリーの刷新は賛否分かれるでしょう。
ただそもそも論として戦国無双シリーズは三國無双シリーズと比べるとデザインに癖が強く、ゲテモノみたいなキャラクターが多かったところ、本作ではシックで落ち着いたデザインになって三國無双寄りになり、この点は悪くないです。
相変わらずの謎人選とストーリー
本作品はデザインの時点で従来作品とは異なるシックな印象だったので、硬派でリアリスティックな歴史ドラマを展開するのかと思っていたのですが、森蘭丸や真田昌幸(真田丸から)すらリストラされるなど異様なキャスティングは相変わらずで、従来から人気の戦国武将が顔ありで登場しないという不評は多かったですが、本作はそれが一層ひどくなってます。あとなぜか忍者が異様に多いです。
また史実無視の脚色が多く、シリーズは基本伝奇アクションなのでそれ自体は悪いことではないのかもしれませんが、織田に敵対する柴田勝家や従来の忍者・政宗的ジョーカーとなった上杉謙信など、謎な脚色が多いです。またストーリーの黒幕が忍者の百地三太夫であるなど、おそらくは海外受けを狙った忍者ゴリ押しのシナリオが悪目立ちします。
全体として従来からある謎人選をさらにエスカレートさせ、ベタな大河物語の勘所を外した微妙な脚色と、忍者ゴリ押しのアンバランスなストーリーで、シナリオに関してはシリーズワーストクラスです。ステージのボリュームがあるだけにもったいないです。
ゲームメカニクスについて
アクション
PS2版時代の部分を残していた使い回し攻撃モーションが一新され、カクカクもっさりしていたアクションが洗練されたものになりました。また演出も『大神』(絶景版)などを思わせる水墨画タッチの効果を加えたアニメーションの演出が完成されていて、アクションは爽快感あふれるものになっています。
デッキビルド
武器
本作はフィクション部分は劣悪ですが、ゲーム性の部分では4(DX)や4-Ⅱの内容を受け継ぎ洗練させています。
本作では6からの三國無双シリーズのように、全武将が全武器種を使用できるようになりました。武将ごとに得意武器があり、それに固有のモーションがあるデザインです。また武将ごとに武器熟練度があり、熟練度より高いランクの武器を使うことはできません。武器は7つのランクに分けられ、装備技能の数とレベルが高いほどランクが高くなります。
4から好評の「武器錬金」(武器種変更)が続投していて、遊びやすくなっています。
スキルなど
道具とは別に、様々な効果を持つ特殊技の閃技が追加。四つのスロットにセットでき、戦場に使用できます。使える閃技は攻撃技のほかに、攻撃力アップや無双ゲージ回復など、補助的な効果を持つものがあり、道具と違って、閃技は使用後一定時間を経つと再び使えるようになります。似たギミックは無双シリーズでは『ファイアーエムブレム無双 風花雪月』 『ONE PIECE 海賊無双4』にあります。『ディアブロ』シリーズ(1.2.3[EC].4)のスキルと似た感じです。
技能盤は4-Ⅱより継承するスキルツリーです。ステージクリア時にもらえる技能ポイントを消費して技能を習得できます。
総評
一騎当千のアクションとデッキビルドは健在だがキャラゲーとしては
一騎当千のアクションは現行機に合わせてモーションが改善され、デッキビルドの魅力も健在ですが、キャラゲーとしてのデザインが従来より一層迷走していて、4と比べると一長一短で総合点では劣る印象です。無双に望むのは一騎当千のワラワラとアクションだけという人にはおすすめです。無双シリーズの中ではOROCHI3(Ul)に近い枠です。