始めに
今日は『アーマード・コアVI ファイアーズオブルビコン』のレビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
8 | 8 | 4 | 8 | 7 | 2 | 優(39) |
- 高水準のビルドゲー、ソウルライク
- アーマードコアとしても名作
- シリーズが復活した
- レベルデザインの変化
ゲームフィクションについて
あらすじ
辺境の惑星ルビコンにて、謎多き新物質「コーラル」が発見されます。新しいエネルギー資源として人類の文明を飛躍的に向上させることが期待されたものの、この物質は惑星と周囲の星々を焼き払う大災害を引き起こします。
それ以降、周辺宙域は厳重に監視され、ルビコンは封鎖惑星となります。大災害を生き残った僅かなルビコンの人々もいました。
大災害から半世紀後。ルビコンでコーラルが再度発見され、星外企業は利権のために秘密裏に侵略を開始し、これに反抗する勢力と衝突を繰り広げ、両者の争いは本格化。
そして独立傭兵たちもまた、その渦中に身を投じようとしていました。
ストーリーはいつものAC
ゲーム性の部分では従来からやや変化しているものの、ストーリーはいつものアーマードコアです。つまるところ、主人公は傭兵で各勢力の抗争に巻き込まれ、作中における行動でどの勢力につくかが決まって行き分岐するドラマです。世界観は謎も多く考察を強いるデザインになっているところは従来と同じで、ソウルシリーズ(1.2.3)と共通です。
黒澤明監督『用心棒』やレオーネ監督のドル箱三部作(1.2.3)のようなニヒルな抗争に巻き込まれる傭兵のドラマが見どころです。
ゲームメカニクスについて
レベルデザインにおける変化と変わらないデッキビルドの魅力
本作品は従来のシリーズから大きな転換をはかったので戸惑う声も多かった模様です。
従来のシリーズはデッキビルドによる攻略の要素が大きく、キャンペーンモードにおけるプレイヤーのアクションスキルはそれほど要求されない感じでした。適切なデッキビルドでミッションを乗り切るところがメインで、死に覚えのようなデザインではなかったのです。とはいえDMCシリーズ(1.2.3.4.5)などのように操作性がやや複雑でうまく動かせるようになるまで時間がかかり、対人を追求するとさらに沼でその点でややライト層には敷居が高い、みたいな印象でした。
本作品はそこからレベルデザインをソウルシリーズ(1.2.3)に寄せ、操作性に関しては従来よりも整理して直感的な操作ができるようになった一方で、アクションゲームとしてかなりボス戦はシビアな難易度になり、パーツ選択によるデッキビルドによる攻略はもちろんのこと、敵のモーションを見極めてアプローチしていく必要が生まれています。
このような変化はありつつ、ソウルシリーズ(1.2.3)や『エルデンリング』とも共通するデッキビルドの魅力はきちんと保たれているので、この作品がファンの期待を裏切っているかというとそんなことはありません。
ACFFという番外作品においてもこのシリーズに通底する魅力はデッキビルドのバリエーションと戦略性であると思われるので、ちゃんとナンバリング作品として胸を張れる内容です。
一方で革新的な変化はない
従来のデッキビルド要素の魅力を引き継ぎつつ、久しぶりの新作でありつつも特に新鮮な追加要素や変化があるわけではありません。この辺りについて何か物足りなく思う人もいるかもしれません。
『仁王』シリーズ(1.2)みたいな感じで、ソウルライクと別ゲーのエッセンスがミックスされてとんでもない化学反応が起こった感じはしないです。