クソゲーでも神ゲーでもないサンドボックスの佳作。『Starfield』(スターフィールド)レビュー

ベセスダ・ソフトワークス

始めに

 今日は『Starfield』についてレビューを書いていきます。ベセスダ期待の新作でしたが、やや期待は裏切られました。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
664864良(34)
  • サンドボックスとしては面白い
  • FOやスカイリムから色々後退している
  • 劣悪な自動生成マップ

ゲームフィクションについて

あらすじ

 炭鉱の仕事に就いていたある日、採掘場で偶然見つけたアーティファクトに触れたことで主人公は宇宙を巡る旅に出ます。宇宙に散らばったアーティファクトを集め「ユニティ」に辿り着くことを目指します。

 2周目以降はユニティに辿り着き「スターボーン」として生まれ変わり、並行世界の宇宙でもう一度ユニティに辿り着く旅に出るという設定です。

スペースオペラだがいつものベセスダ

 本作品はフォールアウトシリーズ(1.2.3.4)やスカイリム(SP)からジャンルを異にし、『マスエフェクト』シリーズ(1.2.3)を思わせるスペースオペラになりました。

 とはいえ内容はいつものベセスダゲーで、フィールドには膨大な量のテクストとイベントが散りばめられています。探索の中でストーリーを補完し、世界観を解釈していくのが魅力です。ただフォールアウト4に引き続いてプレイヤーのモチベーションがきっちりデザインされているので、その意味でキャラメイクやインタラクティブ性による主人公の性格のデザインの幅は若干限定されてはいます。

 ただもう総評としてベセスダというメーカーはフォールアウト3とスカイリム(SP)でピークを過ぎて、あの感動をずっと超えられないな、という印象です。この作品もModで色々遊びが開発されてはいくでしょうが、ティアキンや『バルダーズ=ゲート3』のようにゲームやRPGの歴史を塗り替える内容かといえばそうでもないでしょう。

ゲームメカニクスについて

オープンワールドではない

 本作品は基本的にはオープンワールドジャンルとしての特性が希薄です。まず本作の探索は『マスエフェクト』シリーズ(1.2.3)やボーダーランズ3のように惑星から惑星へとファストトラベルするデザインで、つまりはエリア制です。惑星もマップがシームレスにつながっている訳ではないので、オープンワールドではありません。

 事前の広告から宇宙を宇宙船で飛び回るオープンワールドを想定した人の期待は裏切られたでしょう。

 あと惑星のエリアの一部は自動生成になっていてこのせいで探索があじけないものになってしまっています。とはいえそれぞれの惑星の主要エリアの作り込みはかなりのものです。また出自などによる分岐、インタラクティブ性のバリエーション、ボリュームも膨大です。

戦闘とデッキビルド

 本作の戦闘は普通のシューターです。フォールアウト3やにはTPSやFPSにコマンド式戦闘の要素を加えた革新的なデザインが組み込まれていましたが、本作は普通のシューティングゲームです。サイパン2077ほどの内容ではありませんが、それでもデッキビルドの幅はあり完成度はぼちぼちです。

『Dead Space 』(2023リメイク)や『DOOM』(2016)のようなゴア表現がFOの売りでしたが、本作はその辺りの演出は地味になってます。

 宇宙船による戦闘もあり、エスコンのような感じでぼちぼちの内容です。とはいえ戦闘周りは本当に平凡で語ることがないです。

クラフト、サンドボックス

 本作のメインディッシュはクラフトで、modに丸投げで劣悪なデザインだったFO4から大幅な改良がなされています。本作のクラフト要素は拠点開発と宇宙船の改造です。

 本作でもFO4のようにさまざまな惑星に拠点を開発し運営することができます。地形に依存しUIも劣悪で自由度が低く思ったようなクラフトができないとってつけたようなヴァニラFO4のクラフトから一転して、洗練された内容のものになっています。それぞれの惑星に異なるバリエーションの資源があるため、拠点開発のバリエーションと自由度が増えています。

 また施設としての宇宙船にもクラフト要素があり豊富な自由度があるため飽きさせません。FO4から目に見えて改善されたクラフト要素ではありますが、とはいえベセスダに期待されているのはオープンワールドの自由度と密度、テクストのボリュームとインタラクティブな介入要素が主な気もするし、クラフトを望んでいない人もいるかもです。

総評

RPG史に残る革新的名作、というほどではないが佳作

 全体的に不満の多かったクラフトが遊びやすく進化して楽しくなりました。一方でオープンワールドからエリア制になって探索がやや窮屈になった印象もあります。やはりベセスダのピークはFO3とスカイリムで、すでにこのメーカーにはゲーム史のレジェンド作品は作れないのかもな、とも思いました。とはいえ総合的には佳作です。

 サイパン2077と比較すると、戦闘や探索は向こうが上ですが周回やクラフト、modによる拡張性のボリュームなどこのゲームにしかない要素もあるので一長一短です

関連作品、関連おすすめ作品

・『マスエフェクト』シリーズ(1.2.3):インタラクティブなスペースオペラ

・『ドラクエビルダーズ』シリーズ(1.2):サンドボックスの佳作。

 

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