面白いしクソゲーではないが「ぼくなつ」ではないぱちもん、『なつもん! 20世紀の夏休み』レビュー

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始めに

 今日は「なつもん」のレビューを書いていきます。まあ面白いですが、ぼくなつではないです。ミレニアムキッチン綾部和の最新作ですが。

ゲームフィクションについて

あらすじ

 1999年8月、まぼろしサーカス団・団長の息子サトルは、家族や団員と、次の公演場所であるよもぎ町にやってきました。9月には別の町へ移動するので、夏休みの1ヵ月を「よもぎ町」で過ごす事になります。よもぎ町にある宿「明日葉荘」でお世話になります。

ぼくなつ感はあまりない

 正直、本作はシチュエーションこそぼくなつシリーズと共通しますが、ぼくなつとはかなり異なるものです。なぜこうなったかというとまあ答えは明白で、そもそもなぜぼくなつがもう発売されないかというところに集約されるでしょう。

 ぼくなつは国内でニッチなニーズがあるだけで海外受けがかなり悪いです。それはシリーズの土着的でリアリスティックなニュアンスが海外の人にはピンと来にくいからだろうと思います。そのあたりに本作のぼくなつからの転換の理由があって、土着的な要素を極力排してグローバルスタンダードのアニメーションに演出や世界観を寄せています。これによって『学校の怪談』シリーズ(1.2.3.4)のような、ぼくなつ特有の生々しくどこか薄気味悪くも懐かしいムードやニュアンスは損なわれています。

グラフィックが…

 本作はブレワイと比較されますが、ブレワイと比べてもグラフィックのデザインが貧弱です。とにかく空白が多く、ぼくなつとのギャップもすごいです。ぼくなつの背景の描き込みなど圧倒的でしたが、本作はグラフィック周りの演出が貧弱です。オブジェクトが少ないなりの工夫が全然足りていません。

グラ筆頭に、ほぼあらゆる点でブレワイに少し劣っているのが残念です。

キャラクターも…

 本作品はキャラクターも弱いです。掘り下げも圧倒的に足りません。あとストーリーも現実離れしすぎてなんだかしっくりこない内容になってしまっています。ただ会話のセンスとかはちょこちょこ好きです。

 また日本狼とか強盗犯の隠し財産とか、ありそうでなさそうでありそうなぎりぎりのラインにあって、子供時代の妄想を代弁してくれるようなネタが減っている印象です。

全体的に中途半端

 印象として、ぼくなつを海外うけするようにグローバルスタンダードのオープンワールド、箱庭探索ゲームに寄せてしまった結果、ゲームフィクションにあったシリーズ固有の魅力が損なわれ、ベタなオープンワールドゲームの範疇に落ち着いてしまった感じです。ぼくなつにしかなかったものが損なわれて、普通の箱庭探索ゲームになっていて、例えば『龍が如く』シリーズ(0,1[].2[極2].3.4.5.6.7.見参.維新)のようなエリアの設定のデザインの密度や個性に欠いています。

ゲームメカニクスについて

オープンワールド化,ステッカー,イベント,収集

 ぼくなつシリーズは『バイオハザード』の初期作品(1.2.3.リメイク1.0)のようなクォータービュー固定カメラのエリア制でしたが、本作はおよそ全エリアが3Dでデザインされシームレスにつながったオープンワールドになっています。

 本作のオープンワールドとしてのデザインは流石になかなか優れていて、探索は楽しいです。崖などを登るときはステッカーゲージを消費するのでクエストをこなしたりしてステッカーゲージを増やして移動可能エリアを拡大することが必要です。ブレワイと似たデザインでしょうか。

 イベントも膨大にあり、テクストをもれなく回収して行こうとするとかなりの長丁場になります。収集要素も化石、昆虫、魚と膨大にあります。

 戦闘がない作品ですが探索のクオリティは十分なもので、収集要素はどうぶつの森シリーズ(無印,おい,街へ.とびだせ,あつ)などと印象が被っています。

けれどもぼくなつシリーズの続編としては…

 ただ思ったのが、オープンワールドになったことでぼくなつシリーズ従来の魅力がそれで上乗せされたような感じはしないです。例えばブレワイエルデン、MHW(IB)などではオープンワールドになったことで従来シリーズにあった箱庭探索の魅力を継承しつつも発展させた印象がありました。

 一方、ぼくなつシリーズは従来、テクストとイベントを回収するのがアドベンチャーゲームとしての魅力の主軸だったのですが、その要素がオープンワールドによって特別拡大した印象はしないです。MGS5とかFF15みたいな低水準なオープンワールドというのではないですが、三國無双8に感じた印象と近く、そもそもこのシリーズがそれほど地形利用のオープンワールドと相性のいいコンセプトではなかったかもしれないと感じました。オープンワールドにするとしても『ウィッチャー3』や『フォールアウト』シリーズ(1.2.3.4)みたいにテクストとイベント量、分岐とかNPCの行動デザインとかを一層パワーアップさせる形のオープンワールドの方が理想で、ブレワイを手本としたのはちょっとズレてる印象もしました。個人的には『マスエフェクト』シリーズ(1.2.3)や「デトロイト」のような大規模にインタラクティブな夏休みの物語を見たかったです。

 あと一般的なオープンワールドと違いファストトラベルがない、バス停からバス停の移動はいちいち演出が面倒、そうした点でリアリティ重視なのかと思いつつマントで空を飛べたりするなど、全体的に遊びやすさ(ゲームメカニクスデザインの合理性)とゲームフィクション部分のすり合わせの調整がうまくいってない感じです。

釣りがつまらない。虫相撲のような看板的ミニゲームがない

 本作はミニゲームがつまらないです。釣りはワンボタンでタイミング良くコマンド入力するくらいのもので遊びに乏しいです。虫相撲がなくなっているのですが、あれのような本作を代表する濃いミニゲームがなくなっています。

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