始めに
『無双OROCHI3 Ultimate』についてレビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
6 | 6 | 4 | 7 | 5 | 0 | 良(28) |
- 新アクションのクオリティ
- グラフィックと演出強化
- 劣悪なゲームバランス
- ハクスラの劣化
ゲームフィクションについて
あらすじ
絶大な力を秘めた八つの「腕輪」。それを巡り、英雄たちはそれぞれの信念をもってぶつかります。
やがてその裏にオリュンポスの神であるゼウスの影が見えます。かつて遠呂智と戦った異世界を、再び創り出した目的はなんでしょうか。
シリーズ最低のストーリー
エコ贔屓
本作のメインストーリーはシリーズ(と言っても三作ですが)最低です。そもそもこのシリーズにストーリーを気にしないという層も多いかもしれませんが、とはいえキャラゲーとしての魅力が無双の魅力でもあります。
どうひどいのかというと2(Ul)と比較すると分かりやすくて、2(Ul)ではベタながらもキャラクター一人一人の見せ場がはっきりしていて、盛り上がる展開が多かったものでした。本作は「趙雲」「真田幸村」「曹丕」「石田三成」「関銀屏」「織田信長」「井伊直虎」「呂布」の8人が途中で神格化の力を得てパワーアップする展開があるのですが、とにかくこの8人がプッシュされすぎです。「趙雲」「真田幸村」「石田三成」「織田信長」「呂布」あたりは歴史的な影響力、世間的な知名度、人気、シリーズにおける立ち位置を踏まえたらもっともな人選ですが、「曹丕」「関銀屏」「井伊直虎」はかなり謎人選で(人気投票基準らしいですが)すし、特に直虎なんて戦国シリーズでも露骨なエロ要素(巨乳、露出)、あざとさ(自虐)からかなり人を選ぶキャラクターな気がしていますが、こういうゴリ押しをされるとさらにヘイトが溜まりそうです。この8人の出番が多すぎて他のキャラが目立てなくなっています。
ワンパターンでグダグダ
それと2(Ul)では武将が敵になる理由は洗脳などが多かったですが、本作では「実は裏切る機会を探っていた」という動機で加入する展開が何かの通過儀礼のように繰り返されます。 あと2(Ul)は基本的にシリアスで、絶望的な状況から立て直して団結していく熱さがありましたが、本作はギャグとシリアスのバランスが中途半端でグダグダです。
印象としては戦国5(無印)と近くて、基本的なアクションの魅力を特定キャラゴリ押しのグダグダ展開、キャラゲーとしての勘所を外したストーリーが相殺しています。
ゲームメカニクスについて
新アクション
神術
2(Ul)の武将それぞれ固有のアクション「タイプアクション」が廃止。新しく「神器」という装備が全16種類存在し、それぞれ武将ごとに割り振られていましたが、Ultimateでは持ち替え可能に。この神器を使って行うアクションが神術で、使用には神術ゲージを消費します。「通常神術」「チャージ神術」「固有神術」「騎乗神術」と4種類とチーム全員で発動する「合体神術」があります。神術ゲージは基本的に時間経過で自動回復し、無双ゲージなどよりも格段に回復速度が早いため使いやすいです。
覚醒
「神力の雫」を使用することで、一定時間、『真・三國無双』のキャラは「覚醒」と、戦国無双キャラは「無双極意」という強化状態になることができます。この時、無双ゲージが溜まっていれば三國・戦国武将はそれぞれ「覚醒乱舞」「無双奥義・皆伝」という大技が使用出来ます。また先述した趙雲、真田幸村、曹丕、石田三成、関銀屏、織田信長、井伊直虎、呂布は「神力の雫」を使用すると「神格化」という強化形態になります。
三國無双7(猛将伝DX)など従来からある無双覚醒などのパワーアップバージョンです。
チャージ神術や固有神術は、ヒット数に応じて威力が上昇するため、ヒット数を稼いだ方がより強力な攻撃が行なえます。
劣悪なバランス
無双シリーズはそもそもゲームバランスが悪く、バランスブレイカーが多いのは恒例ですが、とはいえ本作の調整は極端すぎます。旧モーションが大幅にナーフされた一方、神術と神速攻撃、吸生攻撃(武器属性)、武器属性全般が圧倒的に強くて、そのせいでとにかく立ち回りが単調です。
神速攻撃の圧倒的な威力のせいで戦国シリーズキャラが全体としては強いですが、神術が壊れているキャラが多いので戦国シリーズのメンツばかり強いというのでもないです。大体なぜかストーリーで異様にプッシュされる直虎がそこまで強くはないくらいです。4(DX)からの神速攻撃は雑魚狩りで強すぎてシリーズを通してナーフされ続けるアクションですが、本作は4(DX)よりも神速が強く、浮かせば武将にも通ります。これだけ取っても本作のバランス調整の異様さがわかると思います。
印象として神術などの新規要素がアホみたいに強いので、従来のアクション、モーションの楽しさが殺されて、大味な内容になっていて、アプローチが減った印象です。無双シリーズにつきもののバランスの悪さはファンも受け入れてはいるでしょうが、本作は度が過ぎます。『ベヨネッタ3』と近いです。
Ultimateではさらに各種属性の上限値が+20になったことでさらに属性攻撃が壊れています。
劣化したインフィニットモード
2ulで好評だったアンリミテッドモードがインフィニットモードとして超絶劣化して帰ってきました。このモードはとにかく探索要素が劣悪です。アンリミテッドモードと異なり、敵が点在し操作武将が接近しないと行動を起こさないため、三国無双8みたいな虚無な移動の長く面倒なゲームになっています。
またアンリミテッドモードでは操作武将の交代を行った時、マップの当該地点にいる武将に操作権が移るため、方針を「探索」にすることで分業してエリアをカバーできましたが、インフィニットモードでは、操作武将と交代先の武将の位置を入れ替える(操作権が移るキャラがこちらへワープしてくる)仕様で、なので操作キャラクターでわざわざミッション地点へ行かないとダメです。これも探索のテンポを削いでます。