良作。『アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝』レビュー

ソニー
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始めに

 『アンチャーテッド エル・ドラドの秘宝』レビューを書いていきます。

ゲームフィクションについて

あらすじ

 トレジャーハンターのネイサン=ドレイク(ネイト)とレポーターのエレナ=フィッシャーは、アドベンチャー番組「アンチャーテッド」の取材でパナマ沖を訪れます。400年もの間海底に沈んでいたフランシス=ドレイク卿の棺を引き揚げたネイトは、その中からドレイク卿の手帳を発見。その直後海賊に襲われるも、駆けつけたネイトの相棒ヴィクター=サリバン(サリー)によって窮地を逃れます。
 ドレイク卿の手帳に記されていたのは「黄金の都」として伝えられる「エル=ドラド」への手がかりです。一攫千金のチャンスに興奮するネイトとサリーは、エレナを置き去りにして南米へ出発。

新古典主義的コンセプト

 本シリーズ(1.2.3.4)のコンセプトとして画期的だったのは、SW4や『インディ=ジョーンズ』シリーズ(1.2.3.4)が志向したアラン=ドワンなどの剣戟映画やシリアルの新古典主義的リブートのさらにパロディをビデオゲームで展開したことでした。SW4やインディはドワン流の剣戟映画における、超越主義・プラグマティズムのアメリカの精神を湛えた喜劇映画のムードや様式を踏まえつつ、そこにベトナム戦争を背景としたポストコロニアルな主題を盛り込み、帝国主義の中での空虚な戦争や対外領土拡張への意図を相対的に描きました。

 本シリーズ(1.2.3.4)はSWや『インディ=ジョーンズ』(1.2.3.4)のイズムを継承、ビデオゲームというゲームと映画、小説などとのハイブリッドなメディアにおいて、ゲームメカニクスとゲームフィクションの意味論のすり合わせの中で起こる、ゲームフィクションのデザインとしては不合理な描写に対して合理的な美的意図を与えます。例えば『バイオショック』、FF13、『バイオハザード ヴィレッジ』などと共通するでしょうか(『バイオハザード0』に関する記事も参考までに)。つまりゲームメカニクスの中でのルーティンワーク(大量に用意されたパルクール、銃撃戦、パズルなど)が有するゲームフィクションとしては不自然な描写に「ジャンルのお約束」という形で説明が与えられていると言えます。

 例えば『龍が如く』シリーズ(0,1[].2[極2].3.4.5.6.7.見参.維新)で言いますと、「栄養ドリンク」という表象はその現実世界における特性たる「健康管理に用途を持つ」という部分から、ゲームメカニクスにおいてはHP回復のユニットとして、ゲームフィクションにおいてはコンビニなどで売買されるドリンク製品としての意味づけを与えられています。けれどもよくよく考えると戦闘中に怪我をドリンクで瞬時に癒すというのはゲームフィクションの面から見ると非現実的で不合理なデザインに見えますし、実際よく揶揄の対象です。本シリーズはそうした矛盾に美的意図を与えています。

絵作りの完成度

 本シリーズはツシマとも通じますが、映画の絵作りによく学んで演出を設計しています。

 特徴的なのがゲームメカニクスに関する情報を伝えるインジケーターの少なさで、ライフゲージもなく、一定時間ノーダメージで回復する仕様です。ダメージはフレームの色彩で示されます。これが作品への没入感を高めます。

シリーズの変遷

 本シリーズ(1.2.3.4)の一作目である本作ははもともとSW4や『インディ=ジョーンズ』シリーズ(1.2.3.4)の源流たるアラン=ドワンの剣戟のようなスカスカな空気がなんとも言えない味わいを出していたのでした。2でややメロドラマ要素が強まり、3が捻った変化球で、4が最後の聖戦のようなファミリーメロドラマになっています。

 それなので、本作にしかない独特のスカスカなムードがあって、ゲーム性は至らないながらも個人的には好印象です。

ゲームメカニクスについて

TPSアドベンチャー

 本作品はTPSアドベンチャーで、ジャンル的には3Dゼルダや『トゥームレイダー』シリーズのような感じです。シリーズを通して戦闘、パルクール、謎解きが4:3:3くらいのボリューム比な印象です。

 謎解きはシリーズを通して導線が丁寧で詰まりにくいです。ただ、それほど機知に富む仕掛けはありません。それと壁登りのパルクールはシリーズを通してボリュームが多いですが、アプローチが少なく一本道でやや退屈です。

アプローチの少ない戦闘

 本作の戦闘はいかんせんアプローチが少なく退屈です。カバーとエイムを繰り返すだけで、ステルスすらありません。シリーズ(1.2.3.4)の2からステルスが追加されます。

 それと敵に当たっているのか死んでいるのか、エフェクトで分かりにくいです。

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