良作。『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』レビュー

ソニー
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始めに

『アンチャーテッド 黄金刀と消えた船団』レビューを書いていきます。

ゲームフィクションについて

あらすじ

 主人公ネイトは顔馴染みのトレジャーハンターであるハリー=フリンから、ある話を持ちかけられます。それはトルコのある博物館に展示されている「オイルランプ」を盗むという話でした。さらにハリーは依頼人から拝借した文章を見せ、それはラテン語で書かれたマルコ=ポーロの日記でした。その内容はマルコ=ポーロが率いた船団のうち、詳細な記録のない消えた13隻の船を示唆するもので、ネイトはこのオイルランプに消えた13隻の船の手がかりがあると考えます。

 好奇心の湧いたネイトは、ハリーからパートナーとして紹介された女性トレジャーハンターのクロエ=フレイザーと共に、オイルランプ強奪計画に乗ることを決めます。実はクロエはネイトのかつての恋人でした。

新古典主義的コンセプト

 本シリーズ(1.2.3.4)のコンセプトとして画期的だったのは、SW4や『インディ=ジョーンズ』シリーズ(1.2.3.4)が志向したアラン=ドワンなどの剣戟映画やシリアルの新古典主義的リブートのさらにパロディをビデオゲームで展開したことでした。SW4やインディはドワン流の剣戟映画における、超越主義・プラグマティズムのアメリカの精神を湛えた喜劇映画のムードや様式を踏まえつつ、そこにベトナム戦争を背景としたポストコロニアルな主題を盛り込み、帝国主義の中での空虚な戦争や対外領土拡張への意図を相対的に描きました。

 本シリーズ(1.2.3.4)はSWや『インディ=ジョーンズ』のイズムを継承、ビデオゲームというゲームと映画、小説などとのハイブリッドなメディアにおいて、ゲームメカニクスとゲームフィクションの意味論のすり合わせの中で起こる、ゲームフィクションのデザインとしては不合理な描写に対して合理的な美的意図を与えます。例えば『バイオショック』、FF13、『バイオハザード ヴィレッジ』などと共通するでしょうか(『バイオハザード0』に関する記事も参考までに)。つまりゲームメカニクスの中でのルーティンワーク(大量に用意されたパルクール、銃撃戦、パズルなど)が有するゲームフィクションとしては不自然な描写に「ジャンルのお約束」という形で説明が与えられていると言えます。

 例えば『龍が如く』シリーズ(0,1[].2[極2].3.4.5.6.7.見参.維新)で言いますと、「栄養ドリンク」という表象はその現実世界における特性たる「健康管理に用途を持つ」という部分から、ゲームメカニクスにおいてはHP回復のユニットとして、ゲームフィクションにおいてはコンビニなどで売買されるドリンク製品としての意味づけを与えられています。けれどもよくよく考えると戦闘中に怪我をドリンクで瞬時に癒すというのはゲームフィクションの面から見ると非現実的で不合理なデザインに見えますし、実際よく揶揄の対象です。本シリーズはそうした矛盾に美的意図を与えています。

シリーズの変遷

 本シリーズ(1.2.3.4)の一作目はもともとSW4や『インディ=ジョーンズ』シリーズ(1.2.3.4)の源流たるアラン=ドワンの剣戟のようなスカスカな空気がなんとも言えない味わいを出していたのでした。2でややメロドラマ要素が強まり、3が捻った変化球で、4が最後の聖戦のようなファミリーメロドラマになっています。

ゲームメカニクスについて

TPSアドベンチャー

 本作品はTPSアドベンチャーで、ジャンル的には3Dゼルダや『トゥームレイダー』シリーズのような感じです。シリーズを通して戦闘、パルクール、謎解きが4:3:3くらいのボリューム比な印象です。

 謎解きはシリーズ(1.2.3.4)通して導線が丁寧で詰まりにくいです。ただ、それほど機知に富む仕掛けはありません。それと壁登りのパルクールはシリーズを通してボリュームが多いですが、アプローチが少なく一本道でやや退屈です。シリーズ(1.2.3.4)の中で4ではロープギミックによって、ようやくパルクールとTPS要素がうなくシナジーを発揮した印象があります。

ステルスの追加

 本作からシリーズ(1.2.3.4)の戦闘にステルス要素が追加され、だいぶ戦闘が楽しくなりました。とはいえちょっと遊びが足りないです。見つかると戦闘状態が解除されないので、ステルスが使える場面も限られます。

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