クセの強いクソゲーから丸くなった優等生。『サイコブレイク2』レビュー

ベセスダ・ソフトワークス
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始めに

『サイコブレイク2』レビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
684770良(34)
  • TPSとしての高い完成度
  • 前作の遊びにくさを解消
  • 前作の魅力だった演出や罠、地形ギミックがパワーダウン
  • 器用貧乏な優等生になった感じ

ゲームフィクションについて

あらすじ

 前回のビーコン精神病院の事件から3年。セバスチャンは再び酒に溺れていました。職も同僚も家族も失い、人々の精神を接続した装置「STEM」での出来事も信用されず、同僚殺害を疑われて精神鑑定にまでかけられていました。
 そこへかつての同僚・キッドマンが現れます。死んだはずの娘リリーは生きており、組織「メビウス」に拉致されて仮想現実システムのコアとして利用されているそうです。解放したければ、またあの精神世界STEMの中へ入り込むしかないと告げられ、再びSTEMに飛び込みます。

アマゾン(外部リンク)より

なんとも言えないシリーズ

 本作はゲームメカニクスの面では2のほうが遥かに上なんですが、ゲームフィクション部分、つまるところストーリー、アートワーク、演出、雰囲気はのほうが上で、そのため結構評価が別れやすいです。

精神ホラー

 本作はドイツ表現主義映画、ラブクラフト、デヴィッド=リンチ(『ブルーベルベット』)作品のような精神分析や骨相学とかを前提とした内的世界を描くホラーで、その点で『サイレントヒル』シリーズとモードを共有します。

演出面ではパワーダウン

 TPSとしてはカジュアルに遊びやすくなった一方で、1の独特の演出とか雰囲気とか、そうしたものが2では損なわれてしまって、そのために本作はフィクション部分はサイレントヒルシリーズの、ゲームメカニクス部分はラストオブアスシリーズ(1.2)の下位互換のように見えてしまっています。

 前作の演出はサイレントヒルシリーズにも引けを取らなかったので、全体的に前作の良さを発展継承できなかったつらさがあります。

ゲームメカニクスについて

リソース管理のTPS

 このシリーズはTPSとしてはかなり『ラストオブアス』シリーズ(1.2)に似ています。主な異なる点は、ステージに置かれたトラップの存在でしょうか。

 主人公のセバスチャンのステータスはグリーンジェルというリソースを消費することで強化できます。
 ただ本作では道中に様々な罠が設置されていたり、ステージごとに特色のある仕掛けがあって、プレイヤーにとって危険ですが、うまく活用すればアイテム消費を抑えて敵を倒せます。また、設置されたトラップは解体が可能で、成功すればトラップパーツというリソースを入手できます。このトラップという要素が本作の独特な要素です。

前作からのTPSとしての変化

 前作ではカスみたいなブービートラップ地獄でしたが、即死系のトラップが減ったことで理不尽な初見殺し要素は減りました。

 その一方、このトラップという要素はこのシリーズのオリジナル要素を担う部分だったのですが、これが大幅に縮小したことで、本作固有の魅力が損なわれました。正直、トラップやエリアギミックはマイナーチェンジで化けそうだったのに、ただ即死系のがごっそり減っただけで、ボリュームダウンしています。

 育成要素はステルスも強化されていたり、武器も調整されてたり、全体的に有効なアプローチが増えていることも相まって成長を実感しやすく楽しくなりました。

 シューターとしてはカジュアルになった一方で、シリーズの固有の要素だったトラップのギミックを発展的に継承できていないです。

エリア制から箱庭へ

 前作ではリニアなエリア制でしたが、本作は箱庭、オープンワールドのマップデザインで、シームレスにマップが繋がってます。『トゥームレイダー』リブート三部作(1.2.3)の2作目以降みたいな感じです。

 とはいえ『ニーア オートマタ』みたいな感じで、オープンワールドとしては規模や遊びに乏しいです。

関連作品、関連おすすめ作品

・『トゥームレイダー』リブート三部作(1.2.3),『ラストオブアス』シリーズ(1.2),『バイオハザード リベレーションズ2』:サバイバルTPS、リソース管理。

 

 

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