『ファイアーエムブレム無双』レビュー。佳作だが調整不足

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始めに

『ファイアーエムブレム無双』レビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
764665良(34)
  • うまくFEと無双が調和している
  • 戦闘とビルド周りが調整不足でじゃんけんがひどい
  • 偏りある参戦キャラ

ゲームフィクションについて

概要

 異界から来た英雄と共に異形の者との戦いに挑むストーリーモード、歴代作品の名場面を再現したマップに挑戦するヒストリーモードがあります。

 歴代作品からは基本的に『暗黒竜と光の剣』『覚醒』『if』の3作品から登場します。歴代キャラクターは本作オリジナル主人公のシオンとリアンを支えます。

ストーリーモード

 オリジナルキャラのシオン王子とリアン王女のどちらかを選択し、異界の魔物たちに襲われた祖国アイトリスの奪還を目指します。 グストン王子のダリオスや、過去作から登場した異界の英雄たちの力を借り、祖国を取り戻すまでが全26ステージで描かれます。

ヒストリーモード

 各FEシリーズに1つずつ用意されたマップでのイベントをこなしながらプレイしていくモードです。さまざまアイテムを入手することができます。

著しい偏り

 無双コラボゲー全般そうなのですが、とにかくシリーズの中での登場キャラクターの偏りがひどく、本作も主要な登場作品は3つくらいです。しかもその3つの中ですらストーリーモード内の扱いも差が大きく、『覚醒』は4章分にかけて原作のダイジェスト、『if』は8章に渡る原作再現の物語、『暗黒竜』はオリジナルストーリーの1章分の中で全員加入、みたいな感じです。お祭りゲーとしてはかなり致命的だと思います。

 ゼルダ無双以降の無双コラボゲーは高水準ですが、いずれもキャラゲーとしては本家無双と比べるとボリューム、クオリティが薄く、アンバランスな印象もします。

ゲームメカニクスについて

戦闘

属性じゃんけん

 基本は『ゼルダ無双(ハイDX)』準拠のようです。ただシュミレーション要素を踏まえてパーティでの共闘要素があります。全体的にFEとジャンル的に重なるエンパシリーズを踏まえたデザインが展開されています。
 FEシリーズの剣は斧に、槍は剣に、斧は槍に強い、の三すくみの属性じゃんけん要素が、今作では「真・三國無双7」(猛将伝DX)みたいな感じに取り入れられています。 ダメージだけでなく、「必殺」攻撃(ゼルダ無双のウィークポイントスマッシュみたいな感じ)の条件にも影響します。
 プレイヤーは強4攻撃を敵将にヒットさせると、スタンゲージを出現させられ、これを減らし切ることで「必殺の一撃」による強力な追撃を行えます。相性有利だと攻撃時に覚醒ゲージが増加し、弱4攻撃でもスタンゲージが出現、またゲージが黄色になって減少率が倍増し、「必殺の一撃」も周囲を巻き込む「必殺の連撃」へと大幅強化されます。

 本作は属性の恩恵が大きい一方で、武器種が剣のユニットばかりで、かなりアンバランスになってしまっています。FEが剣を優遇してきたという理由があるようです。無理にFEのじゃんけんに合わせずとも、武器種と属性を分けたほうが良かったかもしれないと思います。

ファイアーエムブレム無双 風花雪月』では改善します。

共闘。パーティービルド

 プレイヤーが操作するキャラは十字キー上下で素早く切り替え可能です。操作キャラは基本的に1~4人で、自軍のメンバーはマップによって最大8人を自由に選べるものの、そのうちの4人は指示に従うだけで操作は最後までできません。操作していないキャラは、指示に従って行動します。

 戦国無双4(DX)、戦国無双5(無印)、OROCHIシリーズ(1.2[Ul].3[Ul])のアンリミテッドモードに似たデザインです。

覚醒システム

 覚醒ゲージが半分以上で覚醒が使用可能になります。青い薬、本作では3すくみで有利攻撃することなどでゲージがたまっていきます。
 覚醒を使用すると全ての敵に有利状態となり、敵の攻撃でのけぞらなくなり、また時間中は倒れません。

 『4』初出、「真・三國無双7」(猛将伝DX)復活の無双覚醒とにた感じです。とはいえこっちのほうがパラメーター補正が大きいです。

拠点システム

 ステージ上にはいくつもの拠点が存在します。所有する砦の中にいる自分、味方のHPが少しずつ回復していきます。 砦の中には無双シリーズと同様に拠点兵長が一人おり、倒せば拠点を制圧したことになります。
 味方本拠地の拠点か、近くにいる指揮官キャラのどちらかがやられるとゲームオーバーで、このエリアコントロール、戦略的移動も重要な要素となってます。

ダブルシステム

 全体的にOROCHIシリーズシリーズ(1.2[Ul].3[Ul])に近いデザインです。

  後衛となったキャラは操作不能になり付属の控えに回り、前衛の一部ステータス上昇効果のほかにも攻撃で貯まる専用のゲージが出現し、「デュアルアタック」「敵からの攻撃を1回防いぐ」効果が得られます。

 ダブルを組むことでマップ上の戦力が減るため、戦略的な運用が要求されます。

コンパチが多すぎる

 本家無双シリーズもそうですが、本作はとにかくモーション流用まみれです。そもそも本家シリーズもコンパチが多かったところ、7とかでは目に見えてアクションのボリュームが増していたのですが、本家シリーズのように旧シリーズからモーションを流用するのがなかなか難しいため、コンパチだらけになっています。

育成、デッキビルド

武器強化

 武器は敵将を倒す、覚醒状態で一定数の敵を倒す、ヒストリーマップをクリアまたはSランク達成などで入手できます。武器には種類のほかは、特性、品質、武器レベルが定められます。紋章を得ていないと武器レベルが高い物は装備できません。
 特性はゼルダ無双と同様に1個ずつ追加、削除が可能です。

 本作にはキャラ毎に対応する専用武器が多数追加されており、これらは特性スロットが最大6、特定の紋章によって武器攻撃力アップなど伸びしろが高く設定されています。

紋章屋での成長

 敵を倒して入手できる素材と資金を支払い紋章を入手することでキャラの強化を行います。「ゼルダ無双」のバッジみたいな感じです。
 素材は共通ですが、キャラごとに紋章は別です。

レベルアップによる成長、クラスチェンジ

 今作ではレベルアップした際の成長、最終的なステータスは固定になっています。
 レベル15以降では「マスタープルフ」を素材とする飛躍の紋章により「上級職」にクラスチェンジ可能です。ステータスや獲得可能な紋章の数が大幅に上昇し、衣装も変わります。
ファイアーエムブレム無双 風花雪月』と違って自由度は低いです。

支援、絆会話システム

 キャラクター同士の支援度は特定の行動などで上昇し、C・B・Aの3段階まで上昇します。
 支援度が高いほど、デュアル奥義の威力が上がる他、上昇した際にその2キャラのレアな素材をゲットできます。

総評

佳作だが、キャラゲーとしても無双としても荒削り

 トータルでは佳作ですが、キャラゲーとしても無双としても荒削りではあります。続編で解決する問題が多いですが、そっちはそっちで問題作です。

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