時代が間に合わなかった凡作。『マスエフェクト3』レビュー

エレクトロニック=アーツ
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始めに

『マスエフェクト3』レビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
774772良(34)
  • 2がいいからそこそこ
  • リソースがカツカツ
  • 尻すぼみすぎる三部作

ゲームフィクションについて

あらすじ

 『マスエフェクト2』の出来事から6か月後の2186年。銀河のコミュニティは5万年毎に全ての有機生命の文明を根絶すると考えられていた合成有機宇宙船の機械種族「リーパー」による侵攻に怯えて暮らしていました。その間にサラリアンが開発しトゥーリアンが配備した遺伝変異ジェノファージによってクローガンは絶滅の危機に瀕していました。

 クォリアンはゲスから彼らの母星を奪還する準備をしており、人類史上主義組織のサーベラスは人間のコロニーを誘拐していたプロセアンである「コレクター」を倒すためのシェパードとの一時的な同盟の後、再編成を行っていました。シェパードはバタリアンスペースのマスリレイを破壊しリーパーの侵攻を遅らせたが、職務を退き地球に駐留していました。

文化人類学SF、ニューウェイブSF

 SWシリーズ(1.2.3.4.5.6.7.8.9)、スタートレックシリーズ、A・E・ヴァン・ヴォークト、フランク・ハーバート、ジーン=ウルフなどのモダニズムSF、ニューウェイブ以降の作品を思わせる文化人類学的手法をこらした内容となっています。文化人類学的手法は特にコンラッド『闇の奥』、T.S.エリオット『荒地』、フォークナー『響きと怒り』などのモダニズム文学以降しばしば小説に見える手法ですが、ニューウェイブSF以降はそれがSFジャンルにも流入しました。

豊富な設定、インタラクティブなドラマ

 前作までの選択の結果が本作へと影響するなど、インタラクティブ性の強いドラマが展開されていきます。クエストの解決方法、種族の存続や和解、仲間の生死等が引き継がれます。
 全ての惑星(探索エリア)や種族には膨大な設定があり、探索を豊かにしています。
 主人公はアバター式で、名前や性別、顔、経歴、コンバットクラスなどを選べます。同社の『Dragon Age』シリーズ(オリ、2、インクイ)と同じです。主人公はナラティブチョイスに応じてモラル値が変動し、性格が模範的で英雄的なパラゴン、冷酷なレネゲイドに変化します。モラル値に応じてボーナスが付いたり、選べる選択肢が変わるといった変化が起きます。

クソゲー?

 このシリーズ(1.2.3)は2が最高傑作で1と3にはネガティブな意見が多いです。自分もそう思います。印象としてはまだ発展途上な1、1のマイナーチェンジに成功しつつボリュームのあるインタラクティブな物語を展開した2、開発期間の短さと、そもそも志の高いもののハード的制約が枷となっている煽りをモロに食らった3、みたいな感じです。

 本作はまずエンディングが3つしかなかったので、これまでのインタラクティブなドラマは何だったのかと叩かれましたが、正直開発陣のやりたいこととハード的制約のなかでできることが釣り合わないキツさを感じました。

 『バルダーズ・ゲート3』がやりたかったけど時代が追いつけなかった感じで『シェンムー』の1.2みたいな感じです。

ゲームメカニクスについて

アドベンチャー要素、インタラクティブ性

 宇宙は移動できず、マップから惑星を選択するエリア制で、『Starfield』と同じです。探索要素は正直今見ると古臭く、メインストーリーに関わらない惑星はほとんどデザインが一様でリソースの使い回しが顕著です。設定が膨大な一方勿体無いです。

 本作の最大の魅力はドラマのインタラクティブ性です。プレイヤーのデザインについては重複するので省略しますが、プレイヤーの選択で縦横に分岐するドラマが本作の醍醐味です。その意味では「デトロイト」や『fallout』シリーズ(1.2.3.4)などと近いといえます。

TPS

前作では、TPSとしてはざっくりした作りでしたが、2と3はTPSとして普通に遊べる作りになっています。とはいえ、戦闘はあまり楽しくないです。

 仲間に指示を出しながら戦います。

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