始めに
『ライザのアトリエ 〜常闇の女王と秘密の隠れ家〜』レビューを書いていきます。ライザのアトリエシリーズ(1.2.3)です。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
8 | 8 | 4 | 7 | 6 | 1 | 良(34) |
- 奥深い調合
- キャラゲーとして魅力的
- 調合システムが複雑すぎる
- 粗が多い戦闘
ゲームフィクションについて
あらすじ
湖の中に浮かぶ島、クーケン島。そこにあるラーゼンボーデン村が物語の舞台です。村に住むライザは、平凡な少女です。退屈な村の生活に疲れ、仲間と集まっては夢を語ったり、村の外へ出る計画を練ったりしていました。
ある日、ライザたちは立ち入りが禁止されている「島の対岸」へ、探検に出かけます。そこで出会ったのは、錬金術を使う一人の男。その力に魅せられたライザは、彼に弟子入りすることに。
ライザのなつやすみ?
全体的にぼくなつシリーズみたいな感じで、ライザたちの一夏の青春と成長物語みたいな感じになっています。このような成長譚としてのデザインがシリーズ(1.2.3)で共通しており、やっぱり粗い部分も多いですが、そこそこのクオリティのキャラゲーです。
お色気要素は賛否ありそうです。それとシリーズ(1.2.3)で二部作くらいの内容を引き伸ばした感じで2がスカスカシナリオです。
ゲームメカニクスについて
エコノミー
マテリアル環
従来通り、調合は入手済みのレシピに従い素材を消費して行います。
今回は、効果がマテリアル環で連結されたツリーになっています。各ツリーにつき必要属性は1つに固定され、隣り合うマテリアル環はこの属性を一定以上投入しないと解放されない場合があります。
レシピには具体的な素材名が指定されている部分と、同一カテゴリ内なら任意の部分とが有ります。ここから、既存のレシピで材料によって別のアイテムのレシピへ変化することが有り、作れるアイテムが増えていきます。
要するに、マテリアル環で繋がれたツリーを完成させる形で調合がなされ、その材料の自由な裁量から新しいレシピも発見される感じです。
特性システム
特性はアイテムや装備のアビリティで、付加的パラメーターです。
従来の特性合成に代わり、変動レベルと特性枠の有効化が追加されました。
調合時に同じ特性の物を使うことで変動レベルが加算され、その分効果も増加します。
特性枠は、効果を発揮するにはツリー内にある特性枠を解放する効果を取得しないといけません。
この特性を活かす要素にアイテムリビルドがあります。
アイテムリビルド
作成したアイテムにアイテムを投入する「アイテムリビルド」が存在します。これで、通常のアイテム投入回数での領域を超えた効果を引き出せます。素材の質に応じて「ジェム」という専用リソースを消費する必要があり、また錬金レベルによる上限があります。リビルドでは、アイテムレベルが投入した属性値分上昇し、これが錬金レベルを上回る投入はできません。このようなデザインにより、アイテムレベルか品質かのトレードオフの戦略があります。
投入したアイテムの品質は影響せず、品質を優先して作成したあとリビルドで特性を追加できます。また品質の下がる素材しかないマスを無視してリビルドで埋めることで、アイテムレベルを上げて品質を上げられます。
総評
調合に関しての印象はFF12(ZA)と似ています。全体的にクリアまでの難易度が低く、チュートリアルは丁寧ではないものの、自動でできる要素が多いので、初心者でも容易にクリアできる一方、玄人のやり込みにも対応しています。
他方でシステム周りの複雑性は、初心者がキャッチアップするのが難しく、クリアすれば満足な人はシステムを理解しないままクリアしてしまい、システムの複雑性の恩恵が感じられないと思います。
戦闘
リアルタイム
全体的にややFF13に似てます。また調整不足が目立ちます。
リアルタイムの時間経過によってターンが来たキャラから行動し、素早さが高いキャラほど多くのターンが来ます。プレイヤーは1人を操作し、他のメンバーは自動操作です。 メンバーの行動方針は、通常攻撃だけの「パッシブモード」と、スキルを使う「アグレッシブモード」に分けられます。 またターンに合わせて操作キャラを切り替えることもできます。ただ、まずAPを貯めて、タクティクスレベルを上げるのがセオリーなので、アグレッシブモードは使いにくいです。
すべてのキャラクターにはブレイクゲージがあり、攻撃を受けるとゲージが減り、0になると「ブレイク状態」になり、ゲージが回復するまで何もできません。ブレイク状態後、更にブレイクゲージが0になると「ブレイクダウン」になります。ブレイクダウン状態では、行動順の進行が一定時間停止します。
AP
パーティにAPという共通リソースがあり、APを消費して各キャラ固有の戦闘スキルの使用、「タクティクスレベル」(AP上限、通常攻撃回数、アイテム性能上昇)のアップ、および「クイックアクション」(ターン無視行動)が可能です。このAPは通常攻撃で蓄積していきます。タクティクスレベルの恩恵が強力なので、とにかくこれを上げていきます。
パーティメンバーがプレイヤーに特定の行動を頼む「アクションオーダー」に応えると、相手キャラが追加攻撃をしてくれます。ただ、このオーダーはなんと敵の耐性を無視して要求してきます。
敵は弱ると必殺技を使うので、防ぐにはブレイクさせるか倒すほかありません。この時限定でクイックアクションによる特殊なオーダーで、大ダメージを与えられます。
コアクリスタル
使用アイテムは「コアクリスタル」というシステムにより装備欄にセットでき、使っても消滅しません。アイテム使用時はコアチャージという共通リソースを消費します。
コアクリスタルは「コンバート」で任意に回復できます。コンバートは、装備中のアイテム一つを封印し、コアクリスタルを回復します。
控えキャラを利用したコンバートがあるので、アイテム制限はあまり意味も感じられません。
デッキビルド
装備品の付加効果によってキャラクターに「ロール」が付き、攻め・守り・サポートなどに特化させられます。
シリーズ(1.2.3)の中では戦闘難易度が高いですが、結局レベル上げよりも装備を極めるのが最適解です。
総評
戦闘は新要素が不発気味で結局は装備強化してなんとかするのがセオリーなので、あまり完成度は高くありません。そもそもクラフトで装備を生成してデッキビルドする要素がメインなので、普通のターン制でいい気はします。またシリーズ(1.2.3)の2では戦闘はマイナーチェンジに成功し、3はほぼそのままです。
調合と比べて、戦闘は理解しやすいです。
総評
なんとも言えないシリーズ
全体的にどれも一長一短あってなんともいえないシリーズ(1.2.3)です。
戦闘が特に調整不足な1、システムは進化したもののシナリオがスカスカな2、シリーズ(1.2.3)ので調整が足りない部分をそのままにオープンワールドや鍵など調整不足な新要素を盛り込んだ3という感じです。
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