良作。『Dying Light』(ダイイングライト)レビュー

テックランド
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始めに

『Dying Light』レビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
764772良(33)

ゲームフィクションについて

あらすじ

 時は2013年。中東の都市国家「ハラン」で、未知のウイルスによる感染症が確認されます。感染者を凶暴なゾンビにするこのウイルスは、瞬く間に市中に蔓延。ゾンビで溢れたハラン市は大混乱に陥ります。防衛省は、市外への感染拡大を阻止するため、ハラン市を隔離壁で囲い封鎖。 ウイルスは「ハランウイルス」と名付けられ、発症とゾンビへの転化を一時的に遅らせる抑制剤「アンティジン」が開発されます。ハラン市ではGRE(世界救済活動会)によるアンティジンを始めとする救援物資の投下が行われるも、防衛省はウイルス根絶のため市の爆破を計画していました。

 主人公のカイル・クレインは、GREにエージェントとして雇われ、GREから盗み出された極秘書類を取り返すことになります。GREによると、その書類は未完成のウイルスの治療法が書かれているもので、盗んだのはカディール・スレイマンという男でした。

ポストアポカリプスもののゾンビホラー。ロメロゾンビだが、S=キング、『ウォーキング=デッド』路線でメロドラマ風 

 本シリーズ(1.2)はポストアポカリプスもののゾンビホラーです。ロメロ以降の、マシスン『地球最後の男』風の吸血鬼の設定をブードゥーゾンビに転用した、感染症で増殖するタイプのゾンビです。ジョージ=A=ロメロ(『ナイト=オブ=ザ=リビングデッド』)監督のゾンビ映画はニューシネマの影響が強く、ドライでシニカルなブラックジョークを特徴としており、それがアルバート=ピュン監督『プレジャー=プラネット』、サム=ライミ監督『死霊のはらわた』シリーズ(1.2.3)、スチュワート=ゴードン監督作品や、ゲームでは『デッドライジング』シリーズ(1.2.3.4)などへと継承されます。

 ロメロ以降のゾンビ作品に『バイオハザード』シリーズがありますが、あれは黒沢清監督『スウィートホーム』ゲーム版が原型で、ドイツ表現主義風のゴシックホラーになっているのに対し、本作はマシスン『地球最後の男』風のポストアポカリプスもので西部劇のような荒野が舞台です。またキング『呪われた街』(吸血鬼ホラー)のような、ウェットでリアリズムベースのメロドラマが特徴で、『ウォーキング=デッド』シリーズに特に近いです。

シナリオは凡庸

 とはいえ本作はシナリオは凡庸です。全体的に、ゲームメカニクスのデザインにおいて、パルクールのオープンワールドをゾンビゲーで展開した部分は斬新ですが、シナリオ含めて、全体的に詰めが甘いです。

ゲームメカニクスについて

パルクールのオープンワールド

 本作はオープンワールドですが、不要な戦闘を避ける必要があります。そのためにパルクール移動が重要です。
 建物のヘリや電柱などを登れます。通常のゾンビは高所に上れないので、高所の移動が重要です。様々なルートを考えることができるので、『アンチャーテッド』シリーズ(1.2.3.4)と違って自由度が高いです。

 ゾンビゲームでパルクールのオープンワールドを展開したのは画期的でした。『デスストランディング』にも似た、オープンワールドにおけるルートデザインの戦略性に魅力があります。

アイテム周りのゲームバランスの悪さ

 本作は移動の戦略性をコンセプトとする一方で、それを中心にするために、他の要素が犠牲にもなってます。

 特にそれが顕著なのがクラフト、アイテムのエコノミー要素周りで、とにかくアイテムの大半が使いにくい上にUIも洗練されておらず、遊びにくいです。戦闘のデメリットを増やすべく武器の調整が図られているので、クラフトとアイテムリソース管理の戦略性が後退しています。

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