最高傑作気味だが結局はUBIな『FARCRY5』(『ファークライ5』)レビュー

UBIソフト

始めに

『FARCRY 5』レビューを書いていきます。シリーズ(1.2.3.4.5.6.pr.nd)でも面白い部類ではあります。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
774773優(35)
  • 膨大な規模のマップと探索の自由度
  • マップの作り込み
  • 魅力的な悪役
  • ゲームバランスが悪い
  • 私はそんなに気にしていないですが、誘拐が面倒な人が多い
  • シナリオのラストがひどい

ゲームフィクションについて

あらすじ

 本作の舞台は、アメリカのモンタナ州にある「ホープカウンティ(Hope County)」と呼ばれる架空の郡。四方を山に囲われた過疎地域で、西部・東部・北部の三地域に肥沃な大地や山林が広がります。現在、エデンズ・ゲートの支配により混沌としています。教団によって土地の大半が奪われ、地元ラジオ局や郡保安官事務所も買収され、郡の外へ通じる道路は全て封鎖されています。

 主人公はホープカウンティに派遣された新人保安官。カルト教団の司祭ジョセフ・シードを逮捕すべく、ホワイトホース保安官らとホープカウンティを訪れるも教団の抵抗に遭い以後追われる身となります。

カルトとの戦い

 本作は人民寺院を連想させるカルトとの戦いを描きます。このシリーズ(1.2.3.4.5.6.pr.nd)は割りとロケーションや設定、導入は斬新でよくデザインされている印象で、本作も同様です。

 とはいえ、シナリオも序盤からすでにダレるし、キャラクターも(敵以外は)弱く、終盤も煮えきらない終わり方(続編NDに続く)で盛り上がらないのはいつも通りです。とはいえドラッグやカルトで彩られる独特の幻想的なムードはよく表れています。

 それとシナリオが単純に胸糞悪いだけで無理があるテーマです。

結局はUBIソフト的ルーティーン

 本作は結局はUBIソフトのゲームだな、といういつもの印象です。オープンワールドにバリエーション豊富とは言えない似たりよったりのサブイベントがボツボツあって、クエストの内容もあんまりディープなドラマがあるわけでもなく、ルーティーンが出揃うと後は流れ作業になる、というデザインはこのメーカーの宿痾といえます。

 毎度大容量カップ焼きそばみたいな作りで、最初の口当たりはいいものの単調な味付けでボリュームばかりあって、一回食べるともうしばらく食べたくない、みたいなデザインです。

キャラクリ可能に

 本作では主人公のキャラクリができるようになりました。とはいえFPSなので、キャラクリができることの恩恵は皆無に近いです。サイパン2077と近いです。

 できれば、仲間NPCがいるのだから、キャラクリしたユニットを連れ歩いてみたかったです。

ゲームメカニクスについて

オープンワールド

移動

 前作からグラップリングフックを投げ、岩場を直接登れるようになりました。『アサシンクリードオデッセイ』にも通じます(あちらほどどこでも登れるのではありませんが)が、移動は快適かつ自由度も高くて楽しいです。『Just cause3』も連想します。
 自動車やヘリも優秀です。足が豊富にあるため、探索はサクサク進めることができます。「飛行機で地形を把握、ファストトラベルを開拓→そこを起点にイベントを回収する」、みたいなのがセオリーです。

 またタワー開放(マップのアイコン開放のための作業)とミニマップが本作で廃止されました。従来、電波塔やベルタワーを破壊することでマップ上にアイコンを表示させ視界を良くして探索を進めてました。ミニマップには周囲にアイテムのアイコンが表示されたので、探索に有用でした。この2つが廃止されて、手探りで探索するようなデザインになりました。とはいえ、移動のアプローチが豊富なので、特に不自由な印象はしないです。

探索

 とはいえ、オープンワールドのデザイン自体はいつものUBIクオリティです。

 ファストトラベルポイントをエリアコントロールで開放していき、ワンパターンなサブイベントなどを繰り返していくというルーティーンの作業ゲーです。戦闘やアクションなど基本的な部分はしっかりしたデザインですが、飽きさせない工夫が足りてはいません。

 イベントやクエストの一つひとつが薄味です。どれもストーリー性に乏しく、キャラの掘り下げなどをもう少し頑張ってほしいところです。 

 一方でアサクリのオープンワールドシリーズ(Or.OD.Va)と比べると、レベル補正がないために移動の自由度が高く、マップの規模も広大なのでここは本当に素晴らしいです。

戦闘

基本

 FPSでステルスなどがあったり、基本的なシューターとしてのデザインはしっかりしています。

 プライマルから仲間のユニットが追加されました。敵にかみついたり武器を拾ってくれる犬、空爆支援が出来るパイロットなどの仲間がいます。仲間ユニットにはランダムNPCと固定のNPCがあり、ランダムのものは3名、固定のものはイベントを回収することで9人まで仲間にできます。

 仲間が瀕死になると救出してくれることがあって、初心者救済になってます。ただ、これを前提としたかのような敵の馬鹿火力には苦しみます。

 それと仲間はそれほど馬鹿でもないんですが、ただ一部の地形に弱く、また炎上、通電状態のダメージ床をあまり避けようとしないので、すぐ焼死します。

バランスの悪さ

 本作は直感的なアクションには優れつつ、戦闘周りはかなりバランスが悪いです。本作はとにかく敵も味方もやたら高火力で、やるかやられるか、みたいなデザインです。ステルスが刺さる(敵がすぐこちらをロストするため)屋外ではゲリラ戦術でなんとかなるのですが、敵の大量に密集した仲間使用禁止の地下施設などでは、かなりの苦戦を強いられます。それと自動車で逃走しつつ、機銃で反撃を強制されるエリアが異常にしんどいです。『零 濡鴉ノ巫女』みたいな感じで基本的な難易度は高くないんですが、いくつかの環境的要因が重なると急に難しくなります。

 それと敵が異様に多く、とくに目に余るのが屋外で探索していると頻繁に飛行機や自動車で乱入してきて、乱戦になりやすく、探索を阻害するところも欠点です。ただDLC武器でバカバカ敵の乗り物を破壊するのも楽しいのでなんとも言えません。

 NDでは全体的に改善されています。

育成

 育成はパークポイントを消費することでアビリティを獲得できます。UBIソフトの作品全般に言えますが、とにかく育成のデザインに優れていて、成長を実感しやすいです。

 序盤をプレイしていて思う、高所から飛び降りられたらな、しゃがみで早く動けたらな、武器をもっと取れたらな、みたいな感情がスキルの獲得で解消できるので、育成でどんどん戦闘や探索のアプローチが増えていく印象です。

総評

なんだかんだ良作

 佳作ではあります。あまり深く考えずに、疲れずに遊べる作品を求めている人なら合いそうです。なんか批判が多くなってる気がしますが、個人的には今まで遊んだUBIのゲームでは一番ハマりました。

関連作品、関連おすすめ作品

『ラストオブアス』シリーズ(1.2),『バイオハザード リベレーションズ2』,サイコブレイクシリーズ(1.2):資源のエコノミー要素のあるシューター。

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