クソゲーではないがシリーズは迷走。『ゼノブレイド3』レビュー

任天堂
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始めに

『ゼノブレイド3』レビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
664774良(34)

ややきびしい評価です

  • 相変わらず楽しい探索。オープンワールド
  • 寒い深夜アニメな内容
  • 煩雑さが深さに繋がっていない戦闘

ゲームフィクションについて

あらすじ

 機械技術を発達させた「ケヴェス」、エーテルと呼ばれる技術を扱う「アグヌス」の2つの国家が争う世界、アイオニオン。

 それぞれの国民は人造生命体で、寿命は10年です。周囲が戦う宿命に疑問を持たない中で、失われた命を弔う「おくりびと」の役割も担うケヴェス兵のノアはその生活に苦悩しています。

 ある日、ノア達ケヴェス兵に任務が課せられます。謎のエネルギー装置の破壊でした。そこで現れた巨人の力にノア達は苦戦するものの、謎の男がエネルギー装置を動かしノアはアグヌス兵の少女ミオと融合、その力で切り抜けます。

 ノア達は負傷した例の謎の男の元に駆け寄り、その男から「本当の敵」と戦うべきである事と、「シティー」を目指すよう言われ、そのまま男は死にます。

公式サイト(外部リンク)より。ノア

シリーズについて

 シリーズ(1{DE}.クロス.2.3)一作目が好評をもって受け入れられたのは、割りとコンシューマーの暗黒時代だった第八世代のハード時代にあって、グラフィックではなく、伝統的なJRPGやMMORPGのジャンルを発展させることで、かような斬新かつ画期的で、しかもユーザーが求める作品を展開できるということを今一度再確認させてくれたからでした。P4()と重なり、FF13MGS4とは対照的でした。暗黒時代にあってユーザーやメーカーが見失っていた伝統的な王道RPGのポテンシャルを今一度再認識させてくれた作品でした。

 そんな作品だった一方で、このシリーズ(1{DE}.クロス.2.3)自体は、ゲームメカニクスのデザインが煩雑になっていき、さながらスティングやトライエース作品のような尖った路線へと展開していきました。これはこれで面白いものの、シリーズの原点が評価された部分とは違う方へ進んでいっている印象もします。

またストーリーも王道の少年漫画やジブリ作品のような冒険物語から、深夜アニメ風の萌えゲー路線に転換していきます。

既視感のある設定の多さとキャラの魅力のなさ

 設定は膨大で、シリーズ(1{DE}.クロス.2.3)の1と2を繋ぐ内容になっています。

 主人公達は10年しか生きられず、殺し合いをして命を奪わないと生きられない、みたいなデスゲームっぽいシチュエーションが設定されており、なんか全体的にみたことある深夜アニメの寄せ集めな印象も受けました。

 とにかくキャラクターが弱いです。生の哲学をめぐるスペキュレイティブSF的な要素も薄味だし、悪役もコテコテなキャラクターばっかりで魅力がありません

ゲームメカニクスについて

戦闘

従来からの要素

 このシリーズ(1{DE}.クロス.2.3)はFF12(ZA)と似てMMORPGの影響が顕著です。FF12(ZA)と共通するのはエンカウントの空間デザイン、ヘイトコントロールの重要性です。ただ、リアルタイムのコマンド入力、連携という特定アクションの重要性など、異なるギミックもあります。FF12(ZA)のガンビットのような、NPCのアルゴリズムをデザインする要素はなく、AIのアホさが目に付きます。

 フィールド上を敵がうろついてます。リアルタイム戦闘で、通常攻撃など一部の要素は自動化されています。メンバーから3人を選んでパーティーを組みますが、戦闘中以外ならメンバーは入れ替えられます。そのうちプレイヤーが操作するのは1人で、残りの2人はAIオートで行動します。

 ヘイトが最も多く蓄積されたメンバーを敵は攻撃目標にします。ヘイトが一番高くなっているキャラには赤い印がつきます。背後や側面はダメージが入りやすいです。このようなことがあってヘイト管理と位置取りがシリーズの重要な要素です。

 パーティーゲージという連携技ゲージがあります。最大3ゲージを全消費してチェインアタックを発動できます。本作ではブレイドというユニットの必殺技による攻撃になってます。シリーズ(1{DE}.クロス.2.3)通してチェインアタックは強いです。

ここまでは前からの要素です

新要素、クラス

 2ではシリーズのバトルにおいてコンボの要素が強化されましたが、本作からはクラスによるバリアブルアクションの要素を拡大しました。シリーズ(1{DE}.クロス.2.3)の2からさらにユニットの属性のバリエーションを増やした感じです。

 戦闘は最大7名が参加します。主人公6名にサポートキャラである「ヒーロー」が設定されます。ユニットはそれぞれ「クラス」を持ち、バランスよく配置することが重要です。
 キャラクターのクラスは「アタッカー」「ヒーラー」「ディフェンダー」いずれかです。
クラスは他のクラスへの変更が途中で可能になります。
 クラスのランクを上げることで「マスタースキル」「マスターアーツ」を獲得し、他のクラスでもスキルとアーツを組み合わせてカスタマイズできます。FF5のジョブチェンジのようなデザインです。

煩雑になったものの…

 このシリーズはどんどんシステムが煩雑になっていくのですが、煩雑になる一方でバランスは悪くなっている印象もします。

 とくに本作は複雑で理解しづらいだけで、ただ攻撃をしのいでチェーンアタックすればたいていなんとかなるという劣悪な調整になっています。

 全体的に新しいアプローチがそれぞれうまく噛み合わない印象です。地下迷宮シリーズ(1.2)と一緒で、ルールが複雑になっても戦略性はむしろ低下し、効率的なアプローチが少ないです。

探索

総評

 このシリーズ(1{DE}.クロス.2.3)は探索要素のボリュームとクオリティが高いです。

 本作では「巨神獣」がフィールドとなり、複数の巨神獣を渡っていきます。巨神獣によってそれぞれ環境や景色は異なります。巨神獣の外に広がる雲海に満ち干きがあり、時間によって移動可能なエリアが異なります。

 ビジュアル的にも魅力的で、本作はさながらセミオープンワールドというか、各エリアがオープンワールドのようなデザインになっていて、視界に入るところは概ね移動できます。

フィールドスキル

 クロスから探索のアプローチにフィールドスキルが追加されました。これは特定の地形に対してのアプローチです。ミンサガ(リマスター)のマップアビリティみたいな感じです。
 

 今作ではクエストを進めることで習得するようになりました。前作ではフィールドスキルはエンゲージされているブレイドの分だけしか反映されず、わざわざその度に付け替えなくてはいけなかったので、だいぶ改善された印象です。

総評

一応良作だが

 シリーズ(1{DE}.クロス.2.3)として、正直逼塞感を感じさせます。4が出たらまた難解なゲームメカニクスになるのかという懸念があります。

 探索は新機軸を加えてマイナーチェンジして欲しいですが、戦闘は一旦カジュアルに整理して欲しいです。

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・『オクトパストラベラー』シリーズ(1.2)『STAR OCEAN THE SECOND STORY R』『ライブアライブ』『スーパーマリオRPG』:新古典主義的RPG。

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