神ゲーすぎる。『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』レビュー

任天堂
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始めに

『ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム』レビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
91051085優上(47)
  • オープンワールドの革命
  • このジャンルの完成形
  • ストーリー重視の人、クリアが目的の人には向かない

ゲームフィクションについて

あらすじ

 前作での厄災ガノン討伐から数年後。リンクとゼルダはハイラル城の地下で突如発生した「瘴気」の調査に向かい、そこでゾナウ文明の遺構を発見します。さらに奥へ進むとミイラと化したガノンドロフが謎の右手に封印されていました。直後、封印が解けたガノンドロフが瘴気を放ち、瘴気がゼルダへ向かうもリンクがマスターソードでそれを阻止、マスターソードは朽ちリンクの右腕は蝕まれます。その後ガノンドロフはハイラル城を空高く持ち上げ、地割れにリンクとゼルダは落下。ゼルダは封印が解けた際に拾い上げた謎の秘石とともに突然の輝きの中へ姿を消し、リンクは謎の右手に引き上げられたところで辺りが光に包まれます。

前作の続きだが…

本作はブレワイの続編ですが、前作を踏まえる内容が比較的少ないです。なので前作を遊んでいなくても楽しめます。

 逆に前作からの繋がりがなくてがっかりする人もいるかもです。

トゥーン調で美麗なグラフィック

 ハード的制約があるためオブジェクトは少ないものの、トゥーン調のグラフィックは愛らしく美麗です。『テイルズ オブ ヴェスペリア』『二ノ国Ⅱ レヴァナントキングダム』のような温かみのあるグラフィックとなっています。上田文人作品(ICO、ワンダトリコ)のような、温かくもどこか不気味で儚い世界が描かれています。

ハイファンタジー

 ストーリーはこのシリーズらしいベーシックなハイファンタジーで、特に秀でたプロットの構造があるわけでも分岐があるわけでもないですが、キャラクターは魅力的です。

 とはいえ『ウィッチャー3』『サイバーパンク2077』『フォールアウト4』のようなインタラクティブなストーリー、テクストボリュームをオープンワールドジャンルに期待すると肩透かしを喰らいます。物語は副次的です。

ゲームメカニクスについて

オープンワールド

前作からの魅力

 この作品の魅力はなんといってもそのオープンワールドのデザインにあるでしょう。この作品はフィールド全体がシームレスにつながった3D空間としてデザインされたオープンワールドなのですが、特徴はその地形デザインの完成度の高さです。この作品は『ウィッチャー3』『サイバーパンク2077』などのようにフィールドに膨大な量のテクストとイベントがある作品とは異なり、物語的な要素は少ないものの、フィールドには圧倒的な量の遊びが満ちています。マップはあらゆる部分がデザインし尽くされているため、歩けば歩くほど新たな発見や感動があって、オープンワールドというものの本質がここにあります。「ふんばりゲージ」が設定され、これを消費することでほぼあらゆるフィールドの地形を移動することができるのですが、これが探索に圧倒的な自由度と快楽をもたらします。

 またこのゲームは『エルデンリング』『モンスターハンターワールド』(IB)と近いですが、『ゼルダの伝説』というシリーズの伝統の歴史の中でオープンワールドを築き上げたということが最大の魅力だと思います。従来のゼルダの伝説はもう少し小規模な箱庭の探索ゲームで、謎解きと探索を主な特徴としていました。そうした『ゼルダの伝説』という歴史を踏まえたところで、『ゼルダの伝説』論、オープンワールドジャンル論として第一級のアンサーとなったのが本作と言えるでしょう。

マップデザインの変容

 前作のマップに、天変地異により空島が浮いているという形で空が加わりました。また、世界に大穴が空いており、その先にある地底世界も舞台になります。
 こうして縦方向にマップが拡大しました。大体三倍前後スケールが拡大しています。

新たなアプローチ

クラフト

 本作は種々のアプローチが追加されました。特に移動、地形へのアプローチ、クラフトのためのギミックが拡大した印象です。

 ウルトラハンドはオブジェクトを持ち上げたり、自由に動かしたりできるものです。前作のマグネキャッチを大幅強化した感じです。またオブジェクトを別のオブジェクトに接着したり、分解できます。これによりマイクラやビルダーズシリーズ(1.2)などのサンドボックスジャンルのようなクラフトの魅力が生まれました。

ブループリントはウルトラハンドで過去に作ったものを再現する能力です。

 スクラビルドは装備中の武器や盾に、素材やオブジェクト、別の武器などを接着、合体できる能力です。 これで武器や盾の耐久度、性能や特殊効果を付与できます。 前作では武器と戦闘周りのアプローチが少なかったところ、これでテコ入れがなされました。

移動

 トーレルーフはリンクの頭上の、ある程度までの高さの天井をすり抜け、地形を貫通しその上の地面に登れる能力です。 これにより縦方向への移動が容易になってます。

 モドレコはオブジェクトを指定し、そのオブジェクトを逆移動させる能力です。 新たな移動ルートを作り出すことができます。
 

総評

箱庭探索ゲームの頂点だが…

 『ヒットマン』リブート三部作(1.2.3)などのような箱庭探索ゲームのトップランカーですが、とはいえゲームのデザイン上、マイクラやビルダーズシリーズ(1.2)などのサンドボックスジャンルのような、明確な正解は少ない中プレイヤーが無数に用意されたアプローチに能動的かつ主体的にコミットするジャンルが好きでないと合わないです。これは前作と同じです。

 それとアサクリのオープンワールドRPG(Or.OD.Va)路線が合わないシリーズファンがいるのと似ていて、ピンとこないゼルダシリーズファンも一定数いるでしょう。

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