始めに
『ロックマンX8』レビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
8 | 7 | 4 | 8 | 6 | 1 | 良(34) |
- システム、特にデッキビルド周りがシリーズ集大成
- 迷走から復活した感じ
- 劣悪で凶悪なステージデザイン
- ギミックステージばかり
ゲームフィクションについて
あらすじ
レプリロイドの騒乱による荒廃に歯止めがきかない地球を見限った人類は、生存の途を「宇宙」へ求めます。その計画は、軌道エレベータ=ヤコブの完成により本格的に始動。開拓のために多くのレプリロイドが、衛星ムーンへと送られます。
本計画のために新たに誕生した「新世代型レプリロイド」は、DNAを利用することで誰にでも変身できる性能を備えていました。それは、あの「シグマ」のDNAもです。
またしても勃発するイレギュラー群の反乱。エックスはゼロやアクセルと共に宇宙へと向かいます。
シリーズの特徴
本家ロックマンシリーズの未来の世界を舞台に、「レプリロイド」と呼ばれるロボット同士の戦いを描く作品です。主人公は、ロックマンシリーズのライト博士が封印したロボット「エックス」です。
本家とちがってシリアスな内容で、映画『ブレードランナー』の影響が顕著というか、割りとそのまんまです。
シリーズの迷走
本作に関しては評判がいいものの、Xシリーズ(1[無印,イレ].2.3.4.5.6.7.8)は5から7まで長く迷走します。ストーリーもグダグダになっていきます。8は5~7と比べるとだいぶ安定しました。
MGSシリーズ(1.2.3.4.5)に似てますが、シグマという黒幕の陰謀ネタでシリーズを引き伸ばすので、一個一個の作品で完結せずまとまりが悪くなり、しかもワンパターンなサスペンスになっていきます。
これなら本家ロックマンシリーズ(1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11)のほうが全然いいと思いました。
グラフィック
本作の3Dモデルはドット絵と違って、かなりモデリングのクオリティが低いです。正直、今遊ぶとかなりげんなりします。
とはいえキャラクターは魅力的です。アクセルもぽっと出のキャラクターで認知度が低いですが、好きです。
ゲームメカニクスについて
シリーズの基本アクション復活
操作性やテンポが『X7』から軽快になり、まともに遊べるようになりました。
本作はシリーズ最高傑作ではないと思いますが、『シン=ゴジラ』などと似て、『ロックマンX』シリーズシリーズ(1[無印,イレ].2.3.4.5.6.7.8)論としては一級のアンサーで、全体的に調整不足はあるものの、シリーズシリーズ(1[無印,イレ].2.3.4.5.6.7.8)集大成としては満点に近い、みたいな内容です。
集大成といいうるのはもっぱら各ユニットの差別化の成功とダブルヒーローシステムや育成要素の整理によるデッキビルド要素の完成によります。
ダブルヒーローシステム
プレイヤーチェンジによるチームプレイが行える「ダブルヒーローシステム」が前作より継承。本作で追加されたアタックゲージが満タンになるとパートナーと「ダブルアタック」が使用できます。
前作のアクセルはエックスと戦闘における能力的に差別化できてませんでしたが、本作のアクセルは全方位への連射に優れる強力なユニットで、ホバリングなど移動性能も高いです。
基本的にはエックス、ゼロ、アクセルより2体を選んでステージ攻略します。ステージの地形やユニットに適応的なデッキビルドが要求されます。シリーズ(1[無印,イレ].2.3.4.5.6.7.8)の5から導入されたステージごとのユニット選択システムがここに完成します。
デッキビルド
ラボラトリーシステム
3人のキャラクターのパワーアップシステムについて。
シリーズ(1[無印,イレ].2.3.4.5.6.7.8)で段階を経て強化され、6で飛躍的に拡大をされたデッキビルド要素が本作で完成されます。5.6.7は、ライフアップなどの強化は入手したキャラクターしか行えず、アイテムの総数も決まっていましたが、今回はラボラトリーシステムで全てのキャラクターをそれぞれ最大まで強化できる様になりました。強化のためのリソースが無限に入手できるようになったのです。
ラボラトリーでは、メタルを収集し消費することでパーツプログラムを開拓していきます。パーツプログラムによる育成は、任意のパーツを選択、取捨選択してセットするデザインではなくて、線形の成長で、最終強化段階は固定みたいな感じです。パーツの自由度はシリーズ(1[無印,イレ].2.3.4.5.6.7.8)の6が一番高い印象です。
アーマーシステム
エックスは「ニュートラルアーマー」と呼ばれる基本アーマーに、様々な効果を持った「パーツプログラム」を組み合わせてデッキビルドができるという、6のデッキビルド要素を整理したデザインになりました。ヘルメスやイカロスといったアーマーパーツ8つから選んで4部位にセットする感じです。
シリーズ(1[無印,イレ].2.3.4.5.6.7.8)の過去作ではアーマーはアーマー単位で選択する感じなので、アーマーによるデッキビルドのバリエーションが増えました。
ステージ
本作はギミック重視のステージばかりで、ここが不評です。小部屋単位の小ミッションや、強制スクロール、パズルステージ等のギミックエリアばっかりで、自由な立ち回りが疎外されています。このせいでプレイヤーのスキルの向上を感じにくいです。特に不評なのがドクラーゲンステージで、リニアなマップかつどうすればいいのか説明不足かつ視認性もアクション性も最悪で、ひどいです。
このためシリーズ(1[無印,イレ].2.3.4.5.6.7.8)のX2のようなリプレイ性に欠いており、一回やると十分なステージが多いです。
それと、全体的にプレイアブルキャラクターの性能が向上しているのにあわせて、ステージも6と似たような意地の悪いデザインが多いです。即死罠など、初見殺し要素もかなり多いと思います。棘の多さもそうですが、普通に横や下にスクロールしていくとそこに穴が開いてて即死、みたいなのはマジで頭にきます。
総評
シリーズ集大成だが…
シリーズ(1[無印,イレ].2.3.4.5.6.7.8)集大成(ユニット間の調整、デッキビルド周り)ですが、完成度はちょっと危ないです。
とはいえ基本アクション周りでイレハン、ロックマンロックマンを準備した点でも立派です。8のシステムで1~4のような洗練されたステージを遊びたかったです。
関連作品、関連おすすめ作品
・『Cuphead』『Dead Cells』『Hollow Knight』『ブラッドステインド:リチュアル・オブ・ザ・ナイト』:横スクロールの名作。