牧物シリーズ最高峰だが注意点もあり。『ドラえもん のび太の牧場物語 大自然の王国とみんなの家』レビュー

マーベラス
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始めに

 『ドラえもん のび太の牧場物語 大自然の王国とみんなの家』レビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
884781優(36)
  • ハイクオリティな牧場物語
  • 作業ゲーとしてもアドベンチャーとしても完成されている
  • 元々人を選ぶゲーム

ゲームフィクションについて

あらすじ

 夏休みの夜、天体観測をしていたのび太は、宇宙に興味を持ちます。翌日、ママに怒られたのび太は家を飛び出し、ドラえもんと空き地へ向かうと、そこには同じように親に怒られて空き地にきたしずか、ジャイアン、スネ夫もい。ここでのび太は宇宙へ行くことを提案し、ドラえもんの「宇宙救命ボート」で宇宙に飛びます。

 宇宙船は、イリマ星のクラン王国に到着。降り立った先の森で少年ライトと出会い、牧場を賑やかにしたいという彼の亡父の夢を聞いたのび太たちは、牧場作業を手助けするため町で暮らします。

 そうした中、隣町で草木が枯れているとの噂が流れます。これは、かつて王国を襲った災害「悪魔の息吹」の前触れと似ており、のび太たちは、危機に立ち向かっています。

キャラゲーとして豊かな仕上がりのアドベンチャー

 牧物シリーズやルンファクシリーズ(1.2.3.4[S].5)は、作業ゲーとキャラゲーのアドベンチャーという要素の魅力が根幹ですが、本作はとにかくキャラゲーとしての魅力がしっかりしていて、演出もリッチで豊かです。

 シナリオ自体はすごく伏線があったりするわけではないものの、イベントや原作キャラ、オリジナルキャラの見せ方が充実しています。劇場版ドラえもんを鑑賞しているかのような感動です。

 グラフィックもあたたかみのある細やかなデザインで、癒やされます。このあたりは前作からさらに磨きがかかっています。

公式サイト(外部リンク)より

ゲームメカニクスについて

前作からの改善点

 前作は鉱山一強のバランスで、満足に作業ゲーを享受できない劣悪なデザインでしたが、本作は全体的に調整が行き届いていて、シリーズの魅力がよく発揮されています。

牧物シリーズとドラえもんのフュージョン。アドベンチャー要素

 本作はドラえもんで牧物物語シリーズを展開するというコンセプトなのですが、割りと牧物シリーズの遊びづらさやゲームテンポの悪さがドラえもん要素を取り入れることで解消されています。なんとなく『地下迷宮と魔女の旅団』シリーズ(1.2)を思わせます。

 たとえば牧物シリーズというものは、遊べばわかるのですけれど、とにかく忙しいゲームで、一日のタイムリミットが短いため、規定の体力ゲージの中で農作業や鉱山作業と、アドベンチャーのための住民への挨拶周りなどでとにかく一日中走り回ることになり、結構な部分が移動に割かれます。

 本作ではそこに「どこでもドア」(ファストトラベル)、「人間機関車セット」(高速移動)などが取り入れられることで、移動テンポの悪さ、移動時間の長さが解消されています。

 たしかにこのようなギミック自体に新鮮さはないものの、原作ネタを消化しつつ、牧物のゲーム性を調整する采配には目を見張るものがあります。

全体的に高クオリティだが、あくまでも牧物

 本作はキャラゲーと作業ゲー要素のデザインがカジュアルに洗練されハイクオリティでシリーズ最上位の作品ですが、あくまでも本作は牧物シリーズであって、どう森(無印,おい,街へ.とびだせ,あつ)みたいなまったりスローライフシュミレーターではないです。

 どうぶつの森はRDR2みたいな感じで、概ね無目的にアドベンチャーを漫然と楽しむゲームですが、牧物シリーズの魅力はむしろ『ディアブロ』シリーズ(1.2.3[EC].4)みたいな感じで、簡単なルーティーンワークを効率的にこなしつつエコノミー要素やアドベンチャー要素を進展させていく作業ゲーがコンセプトなので、忙しいです。結局、こういうジャンルを楽しいと思えないといけません。

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・ライザのアトリエシリーズ(1.2.3):エコノミーとクラフトの魅力

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