始めに
『アランウェイク2』レビューを書いていきます。『アランウェイク』シリーズ(1[re].2)の2です。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
8 | 6 | 4 | 6 | 9 | 0 | 良(33) |
- 世界観と演出が抜群のデザイン
- 戦闘はやや改善
- 人によっては世界観だけで買い
- いつも通り全体的に遊びづらい
- 探索が面倒
ゲームフィクション
あらすじ
1で闇の世界に捕らわれてしまった主人公ウェイクでしたが、現実世界では2010年から2023年の13年間行方不明になっていました。
ウェイクは未だに闇の世界から逃れようと試みています。現実世界ではサーガ=アンダーソンという女性FBI捜査官がコールドロンレイクで殺人事件の調査をしていると、ウェイクの原稿を発見します。
ホラー、ファンタジー
全体的にスティーブン=キングの小説、デイヴィッド=リンチ監督(『ブルーベルベット』など)の『ツイン・ピークス』や『LOST』に影響されています。
リンチ監督は卓越した古典主義者で、クラシックな表現主義や怪奇映画のスタイルをリファレンスしつつ、独特の幻想的なタッチを展開しています。本作も同様に、クラシックな怪奇映画、表現主義のモードを踏まえるデザインです。
本作もサイレントヒルシリーズ、サイコブレイクシリーズ(1.2)にも引けを取らない演出力です。
前作の続編として
本作は闇の世界を彷徨うアランと現実で事件を追いかけるサーガの二人が主人公です。
二人の主人公それぞれのパートにおいて、アランのいる闇の世界ではファンタジックなドラマが、サーガパートではプロファイルして現実的に事件を分析していくドラマが描かれるという内容です。『ケイゾク』『羊たちの沈黙』のような、プロファイリングを駆使したサーガのドラマは新鮮です。
シナリオも、『ツイン=ピークス』や『羊たちの沈黙』のフォロワーである『ケイゾク』のように、シリアスにもホラーにも完全に振り切れない独特の雰囲気が魅力的です。
ゲームメカニクス
戦闘
TPSですが主人公も、民間人の小説家という設定を踏まえており、モーションの性能が低く、ダッシュも短距離しか維持できません。
戦闘では、登場する敵は銃器だけでは倒せません。まずフラッシュライトなどで光を浴びせて敵の纏う闇のバリアーを壊し、それから銃撃で攻撃します。ライトで敵は怯み、ある程度当てることで「闇」をようやくはらえます。
フラッシュライトの効果は構えなくてもあります。使うとバッテリーを消費するものの、照射をやめるとオート回復します。バッテリーを消費すると瞬間回復できるものの、バッテリーは消耗品です。
武器の中には範囲攻撃の「閃光手榴弾」や「発炎筒」「フレアガン」といったものも用意されています。
ゲーム性はぼちぼち
『アランウェイク』シリーズ(1[re].2)だけではなく、『Control』などリメディというメーカー作品の傾向なのですが、ゲームフィクション部分に重きを置いているデザインで、ゲームとしての遊びのレベルにおいては凡庸だったり、調整不足なものが多いです。
本作も同様に、ベタなホラーTPSといった感じで、固有の遊びに乏しいです。光による戦闘もテンポの低下を招くばかりで、面白くはないです。ただ、前作より凶悪な敵の配置は減って、敵性ユニットに攻撃してくるものとしてこないもののバリエーションを加えるなど、うまく緩急をつけたデザインになっている印象です。
探索
本作は前作のリニアなマップデザインから、準オープンワールドの箱庭探索式で自由度の高いデザインになりました。ただ『Control』もそうだったのですが、視認性が悪かったり導線が不十分だったりして迷いやすく、遊んでいてイライラする時間が多いです。
ただ主人公が二人いて、それぞれの探索パートにジャンルやテイストの違うゲームフィクションの体験が得られるのは魅力的です。
総評
結局いつものリメディーゲー
結局、いつものリメディーゲーで、グラフィックと世界観は光るものはあるものの、ゲームとしては荒削りです。
なので雰囲気が好きなら買いですが、そうでないならスルー推奨です。