始めに
『黒神話:悟空』レビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
7 | 7 | 4 | 7 | 7 | 3 | 優(35) |
- 圧倒的グラフィック
- ボスのバリエーション
- 戦闘も育成も微妙
- 独創的遊びに乏しいうえにあって当然の要素もわりかしない
ゲームフィクション
あらすじ
取経の旅を終え、闘戦勝仏となった斉天大聖・孫悟空。
しかし、彼を仏として天界に控えさせたい神仏と、故郷に戻りたい悟空との間に軋轢が生じ、天界騒動の様な対立となります。
再び二郎真君と争うものの、頭に再び緊箍児が現れ、その隙に一撃を受けて下界へと落とされ、花果山の大岩と成り果て、生涯を終えます。
それから時は流れます。 孫悟空は死の間際に自身の神力を5つの宝具に宿し三界に飛び散らせており、それらを集めれば斉天大聖復活はなると長老猿は言います。
長老猿は若き名もなき猿 「天命人」を宝具集めに出します。
説明不足で分かりにくいシナリオ
本作は全体的に、シナリオが分かりにくいです。なぜかというと『西遊記』という題材が日本人には一部くらいしか知られてない上に、本作は『西遊記』の内容を前提として進むため、単純に意味がわからない展開が多いです。
外国人が『仁王』シリーズ(1.2)を遊ぶような気持ちを味わえます。
圧倒的グラフィック
本作はUnreal Engine5を採用していて、グラフィックは圧倒的です。フォトリアル風のグラフィックで、現実と見紛えんばかりの美しさです。
他方で新しいハードやエンジンのスペックのインパクトに特化したクオリティで、遊びの部分などはいまいちです。
ゲームメカニクス
戦闘
基本アクション
全体的にソウルライクといえる内容です。あとリブート『ゴッド・オブ・ウォー』にも似ています。
スタミナゲージを管理しつつ攻撃し、敵の攻撃はローリングで回避する感じです。
武器は「如意棒」のみです。またカウンターのアプローチに乏しく、パリィやガードアクションもなく、ジャスト回避が重要です。
全体的に、痒いところに手が届かず、アプローチが少ないのに加えて、基本アクションのモーションの癖が強いです。いくつかアプローチがあるものの、使える場面が少なく、基本はロリと如意棒で殴るだけです。
法術と借身術
本作には敵を一定時間硬直させる「定身術」、自らの身体を石に変える「金剛術」、分身を生む「分身術」など法術があります。
法術は発動に必要となる「法力」の消費量が多く、回復のアプローチも少ないです。またクールダウンも長く、使いにくいです。そもそも法術は種類が少ない上にサポート効果が主です。
また「借身術」という術もあり、特定の敵を倒すことで得られる「魂魄」を装備することで妖魔の力で攻撃します。この術を扱うには「真気」という攻撃ヒットで溜まるゲージが必要です。ゲージはなかなか溜まらず、消費も多いので、使いにくいです。また、一度に装備可能な魂魄はひとつだけです。
棍勢ゲージ管理
「棍勢」とは通常攻撃などで溜まるゲージで、これを消費して「重棍」を発動します。高威力かつモーションキャンセル力が高いです。
このため重棍で隙をつくり、術のサポートでこの隙を延長したり火力を高めたりして攻撃を叩き込むのが有効な戦術になっています。このためこの「重棍」がかなり有効なアプローチになっています。
この根勢管理はちょっと楽しいです。
敵ユニット
本作の最良の部分はボスデザインです。
とにかく質と量が圧巻で、デザイン、モーション、BGM、独自ギミックなど、作り込みが圧倒的です。モデルは使い回しもあるものの、モーションはコンパチがほとんどありません。
惜しむらくは、『西遊記』が日本ではややマイナーで、細かい演出などがピンときにくいです。
とはいえ量を踏まえると、ここだけは本家ソウルシリーズを上回ります。
デッキビルド
スキル、スキルツリー
本作は「スキルツリー」システムが導入されています。しかし、このツリーはパラメーター補正がほとんどで、スキルを獲得してできることが増えるようになるという要素はほぼないです。
また本作には「劈」、「立」、「刺」という3つの攻撃スタイルがあり、これを自由にツリーで選べるものの、それぞれほとんど変わらず重棍のモーションが変化するくらいです。
スキルによる攻略の自由度はほとんどないです。
装備
基本的に本作の武器モーション自体はひとつですが、装備品はバリエーションがあり、パラメーターや特殊効果が異なります。
しかし武器の強化はできません。「武器鍛造」という、性能の異なる別の武器へと鍛造する機能はあるものの、これは別の装備になります。
防具はなぜか強化できます。また、ハクスラでよくある同種を複数装備することで得られる「揃え効果」があります。防具のほうが武器より自由度が高いです。
とはいえスキルも装備も、ほとんどそれでできることは増えないです。
総評
全体的に惜しい
ホライゾンシリーズ(1.2)なんかと似ていて、全体的に優等生的で、新ハードやエンジンによる表現に特化した内容です。あとホライゾンシリーズ(1.2)よりもクセが強く、わかりやすい単調さや欠点が多いです。
ソウルライクでは、『Lies of P』みたいな感じで、全体的に高水準でありつつ、ソウルライクとしての独創性や完成度、深い遊びに突き抜けられない歯がゆさがある内容です。
関連作品、関連おすすめ作品
・『スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー』『Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)』『Sifu』『Lies of P』パリィ主体のソウルライク