始めに
始めに
今日は『ニーア オートマタ』についてレビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
7 | 8 | 3 | 6 | 8 | 3 | 優(35) |
- 基本的なアクションの操作性
- 独特の雰囲気
- 広く浅くのプラチナゲー
ゲームフィクション
あらすじ
西暦5012年。突如として地球にエイリアンが襲来します。人類はエイリアンとその兵器「機械生命体」によって地上を追われ、月への退避します。生き延びた人類はアンドロイド兵士による抵抗軍を結成するも戦線は膠着します。この状況を打破するため、人類は決戦兵器として新型アンドロイド兵士「ヨルハ機体」を開発し、「YoRHa(ヨルハ)部隊」を結成します。
西暦11945年。ヨルハ部隊の隊員「2B」と「9S」は、共同で任務にあたることとなります。
押井守を思わせる象徴主義(リラダン、ボードレール)、転生
本作品は押井守の映画(『スカイクロラ』)を彷彿とさせる、人工物へのフェティシズム、人造人間のモチーフがみられます。押井作品の前史としてのリラダン、ボードレールといった象徴主義の作家のように、人工物の醸すエモーションを捉えています。
押井守は三島由紀夫(『豊饒の海』連作[1.2.3.4])を先立として、「転生」「ループ」のモチーフをしらけ世代の心象として再現しましたが、本作にも同様のモチーフがあります。
廃墟の崇高さ
作品には遊園地や道路など、さまざまな廃墟が出現し、とにかくロケーションのデザインに優れています。廃墟の醸す独特の崇高で甘美で幻想的なイメージが印象的です。
人造人間の実存主義
本作はM=シェリー『フランケンシュタイン』やリドスコ監督『ブレードランナー』的な、人造人間の自己の存在論的定義を巡るドラマになっています。ベタで少し説明不足ですが、そこそこ興味深いです。
形式主義的実験
前作同様、本作も諸々の形式主義的実験に満ちていて、アングラな空気を醸しています。パラジャーノフ監督のフィルムのように、画面の空間デザインが三次元とニ次元を縦横に転換する遊びはなかなか見ごたえがあります。
象徴主義風、オルタナ・アートロック風のBGM
サティやドビュッシーなど象徴主義の手法を取り入れたアートロック、オルタナティブロックの醸す幻想的かつ独創的なムードは本作も印象的です。
ゲームメカニクスについて
プラグインチップ、武器、ポッドのデッキビルド
本作品はプラチナゲームス開発なので、ゲーム部分は安定した作りです。プラグインチップや武器などのデッキビルド要素があります。プラグインチップは様々なパラメーターやモーションの調整などの効果を持つ装備で、決められた容量の中でチップのデッキをデザインします。
チップは有用なのとそうでないのの差は大きく、あまり育成の自由度はありません。
回避主体のアクション
格別深い遊びがあるわけではないですが、地上戦は回避主体でシンプルな操作でスタイリッシュなアクションが楽しめます。
ただプラチナゲームスの作品一般にそうですが、プレイヤーのアクション、モーションのデザインはかなり直感的に気持ちよく動かせるのですが、遊べば遊ぶほど底が浅い部分や至らない部分が目につくというか、良くも悪くも広く浅くなアクションをつくっている印象があります。本作の地上戦も、最初は楽しいですが結構単調で飽きてきます。
空中戦はシューティング
今回の空中戦は基本的には2dのシューティングゲームです。これが結構な部分を占めていて、そこそこのクオリティなんですが、やっぱりできることが少なく単調です。ただ地上戦だけだと退屈するのでいいアクセントにはなっています。
総評
グラフィック、世界観などフィクション部分は独創的な良作
グラフィック、世界観などフィクション部分は独創的な良作です。ゲーム性はいつもの広く浅くなプラチナゲームズです。
関連作品、関連おすすめ作品
・『Stellar Blade』:本作のオマージュ