始めに
今日は『仁王』についてレビューを書いていきます。今からやるなら2(com)を推奨しますが1も問題なく遊べます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
9 | 7 | 3 | 8 | 6 | 3 | 優判定(36) |
- ソウルとハクスラのフュージョンの独創性
- アクションの完成度
- 全体的に調整不足なエネミー、ステージデザイン
- 探索が劣悪
ゲームフィクションについて
あらすじ
大航海時代の16世紀末。ヨーロッパではイングランドとスペインが覇権を争っていました。劣勢のイングランドでは女王や側近達までも錬金術師や魔術師の力を頼り、彼らは霊石「アムリタ」を戦争に用いるべく私掠船を使って世界各地に眠るアムリタを収集させ、ついにスペインの無敵艦隊を撃破するに至ったものの、その力は公にされていませんでした。
主人公のウィリアムは、幼少の頃からの自らの守護霊「シアーシャ」のアムリタを探知できる能力を借り、海賊としてアムリタ収集で財を成していました。しかし軍事機密に触れてしまい、ロンドン塔へ投獄されます。
1597年、地下牢に収監されていたウィリアムは危機が迫っている事をシアーシャから聞き、脱獄を決意します。しかし錬金術師エドワード=ケリーの襲撃に遭い、脱出には成功したもののシアーシャを奪われます。ウィリアムはシアーシャを取り戻すべくシアーシャの力が残るコンパスを頼りに、日本へたどり着きます。
ウィリアムは、英語を流暢に話す伊賀忍者の服部半蔵と、彼の守護霊である猫又、服部の部下のくノ一のお勝らの力を借りて、エドワード=ケリーを追います。
戦国伝奇アクション
本作品は山田風太郎作品(『魔界転生』)などに代表される伝奇もので、原案の黒澤明作品よりも後続の深作欣二のスーパー歌舞伎風の諸作(『里見八犬伝』)を連想させる内容です。配色や演出もキッチュなケレンに満ちています。
設定は面白いですが、ドラマは結構あっさりしてます。ちょっと説明不足なのですが、周回する際にノイズにならないのでいいと思います。
2との関係
本作と2(時系列的には前)は一見関係がなさそうだったのですが、2(com)の終盤は本作のDLC後の物語になっています。ただ遊んでいなくてもストーリー重視の内容ではないのでさほど引っかかりません。
ゲームメカニクスについて
ソウルライクの名作
2(com)が本作のマイナーチェンジで説明が重複する部分が多いので、やや省きます。ハクスラによるデッキビルドをソウルシリーズで展開し、武技や構え、豊富な武器などの幅広いアプローチでソウルシリーズ(1.2.3)とは異なる境地に至った本作ですが、2(com)よりも調整不足、リソース不足(エネミー、マップ)が顕著です。
2(com)では妖怪技が強力な一方、妖怪化は緊急回避にしか使い所がありませんでした。本作で妖怪化にあたる九十九はアホみたいな強さで、アプデで窮地九十九ビルドは弱体化したものの、九十九ビルドは依然強いです。というかエンドコンテンツではボス2体が同時に出てくるようになるので(続編では連戦に調整されました)、開幕で九十九で一体を倒さないと乗り切れないです。
2との比較や2から入る人に向けて
本作と比較して2(com)はほぼ完全な上位互換となっているゲームメカニクス面のデザインで、1の方が良かった、みたいなところはありません。その一方で、さほど大きな進化があるわけでもないので、2から入ってきた人でも1を遊んで落差に戸惑うことはないとは思います。ボスのデザインも違っているので、その点では1にも独自の要素があります。
ただ、それでも本作で本当に酷かったなと思うのがDLCによるエンドコンテンツの無限獄で奈落獄が108と深部30層なのに対して999層まであり、かつ使い回しダンジョンの探索がいちいち面倒で、加えてボスも後半で同時に2体出てきたり(九十九で開幕一体を捌くのがセオリー)と、投げやりな調整が目立ちます。
総評
2にもそう見劣りしないものの
2にそう見劣りもしない名作ですが、とはいえエンドコンテンツ周りの調整不足は一層目立ちます。
関連作品、関連お勧め作品
・『Wo Long: Fallen Dynasty』:シリーズの派生作品。
・『バイオハザード リベレーションズ アンベールドエディション』,『ボーダーランズ』シリーズ(1.2.3)
・『スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー』『Sifu』『Lies of P』:パリィ主体の他社ソウルライク