始めに
『Wo Long: Fallen Dynasty』についてレビューします。自分は仁王シリーズ(1.2)の方が好きです。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
7 | 7 | 4 | 7 | 6 | 3 | 良(34) |
- 奥深い戦闘
- 探索が劣悪
- ハクスラとビルドの縮小
ゲームフィクションについて
あらすじ
本作の舞台となるのは西暦184年、後漢末期の中国。異形の存在である「妖魔」と戦乱の影響によって、長く繁栄してきた漢王朝は滅びつつありました。張角の率いる太平道による「黄巾の乱」が激化する中、主人公は義勇兵として黄巾党討伐に向かった先で謎の少年に出くわします。
三国志チーフの伝奇ロマン。良くも悪くも仁王シリーズを継承
本作品は仁王シリーズ(1.2)から舞台を三国志の世界に移した伝奇ロマンとなっていますが、ストーリーについては良くも悪くも仁王シリーズ(1.2)そのままです。つまりは、設定は面白いものの、全体的にドラマはあっさり気味で、とはいえ燃えるシチュエーションは多く、周回する上でドラマがノイズにならないくらいの感じ、みたいな内容です。
続編に続くような感じですが、あまり今後のストーリーには興味を持てませんでした。
ゲームメカニクスについて
SEKIROライクだがリソース管理面で違い
本作はSEKIROから多大な影響を受けつつ仁王シリーズや独自の要素を加えた感じです。
本作では、化勁と呼ばれるアクションで敵の攻撃をジャストガードすることで、氣勢ゲージを削ることが出来ます。氣勢がマイナス側で振り切れると敵は体勢を崩すので、そこに絶脈という強力な攻撃を叩き込むことで敵の体力を削ります。
こう書くとまんまSEKIROですが、結構違います。氣勢は敵味方共に設定されていて、通常攻撃を当てたり、敵の攻撃に化勁を合わせることでプレイヤーの氣勢がプラス側に振れ、敵の氣勢はマイナス側に振れます。それ以外に氣勢ゲージは仙術や武器に設定された武技を発動することでもマイナス側に振れます。また氣勢攻撃を発動すれば、プラス側に振れた氣勢を全て消費して敵の氣勢を大きく削ることができます。さらに絶脈を決めることが出来れば、氣勢がどれだけマイナス側に振れていたとしても中立に戻せます。また氣勢がプラス側に振れている状態で放つ絶脈は、氣勢を消費してダメージを上乗せすることができます。
つまるところ氣勢はアクションのリソースを兼ねているので、その管理の戦略性の違いがある点でSEKIROと異なります。『Rise of the Ronin』の閃刃にここは継承されます。
大幅に縮小したハクスラとデッキビルドが致命傷
基本的にはウォーロンは仁王シリーズ(1.2)を継承しているので、ハクスラ要素も引き継がれています。しかし、これが大幅に縮小。仁王シリーズ(1.2)から一転、ウォーロンはソウルシリーズ(1.2.3)のように強化素材で段階的に強化するシンプルな仕様となっています。装備についた特殊効果は素材や資金を消費して自由に付け替えが出来、ランダムドロップの収集とデッキビルドの魅力が縮小しました。
これが本当に致命的で、ゲームボリュームの縮小とオリジナリティの減退を引き起こしています。仁王シリーズが革命的だったのはソウルライクでハクスラによるデッキビルドを展開したことでしたが、ここが形骸化したのは本当に致命的でこのせいでSEKIROとうまく差別化できている印象がしません。
アクションは整理されたものの…
本作は仁王シリーズ(1.2)の膨大にあったアクションをかなり整理していて、構えによるバリアブルアクションは廃止され、武器種は豊富にあるものの新たな攻撃モーションを習得することはありません。全体的にプレイヤーの能動的なアプローチを仁王シリーズ(1.2)から縮小し、パリィ中心の戦闘になっています。
このせいでディープなアクションのバリエーションが減って飽きが早いです。
探索要素やエリアデザインのいい加減さは相変わらず
その一方で全体的に悪いところは仁王から引き継いでいます。探索、エリアデザインがソウルシリーズと比べると劣悪で単に意地の悪い配置が目立つのは相変わらずで、あとエネミーのバリエーションが少なく変わり映えがしないです。
あと今作では士気レベルというものがあり、つまるところ戦国無双4(DX)みたいな感じで敵味方に士気が設定され、それで能力補正がかかります。それでプレイヤーはエリアを隈なく探し回り士気ゲージを上げるための旗を設置するポイントを探す必要が生まれました。士気による補正値が大きいことから探索の必要に駆られるのですが、このせいでステージを駆け抜けることが困難になりゲームテンポを落としています。それのみならず、いよいよステージデザインの劣悪さが目につきます。
総評
面白いが凡庸なソウルライクに
全然面白いんですが正直、仁王シリーズの悪いところをそのままに魅力をごっそり削ってSEKIROに寄せた印象で、積極的には評価できないです。
関連作品、関連おすすめ作品
・『スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー』『Sifu』『Lies of P』パリィ主体のソウルライク