始めに
始めに
今日は『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』についてレビューを書いていきます。
- ソウルライクの傑作
- 直感的で洗練されたアクション
- モーションが素直でなれると簡単すぎる
- ビルドがないからやり込みや自由度が不十分
ゲームフィクションについて
あらすじ
戦国時代末期の日本のある国にて。「剣聖」葦名一心による国盗りから二十余年の時が経ち、葦名の国は斜陽にありました。一心は病に伏せり、強大な内府軍が攻め入ります。一心の孫・葦名弦一郎は、この危機を乗り越えるべく、不死の力「竜胤」を狙い、その御子・九郎を捕らえます。
九郎の臣の忍び「狼」は、井戸底で無為に生きていました。文が落とされ、主の在所を知らされます。忍びの掟に従い、狼は立ち上がります。
伝奇アクション。三隅研次のような剣戟
この作品は、戦国日本を舞台にする伝奇となっています。『仁王』シリーズ(1.2)が深作欣二(『里見八犬伝』)などスーパー歌舞伎風のバロックなケレン、『Ghost of Tsushima』が黒澤明、小林正樹風の詩的リアリズムを範とするのに対し、本作は大映の三隅研次の剣戟のような、シャープでロマンティックな陰影による絵作りを志向しています。本作はそれこそ大映の巨匠・溝口健二のフィルムのような、甘美なムードに満ちています。
割と明快なドラマ
ソウルシリーズなど、フロムゲーといえばゴシックロマン調で迂回した断片的な語りが特徴で、本作もその傾向はありつつ、割と明快なプロットがあります。それゆえ、要所要所でドラマティックな感動があり、終盤の展開も胸を打ちます。
ゲームメカニクスについて
体幹ゲージ、カウンター(ジャストガード、見切り、踏みつけ)
本作品はソウルシリーズ(1.2.3)と一部ゲーム性を引き継いでいますが、全く新しい体験を創造してくれています。ソウルシリーズ同様、体力ゲージ以外に、体幹ゲージという特定アクションによって増減するゲージがあり、これをなくならせることで、忍殺攻撃をすることができます。忍殺以外では相手の体力ゲージを0にすることはできず、またボスは大抵2〜3の体力ゲージを持っています。
こうしたデザインによって従来受け身に立ち回らずを得なかったソウルシリーズですが、かなり主体的な戦術が取れるようになりました。ジャストガードに成功すると弾きとなり、相手の体幹ゲージを減らしつつ、こちらの体幹ゲージの消費も0になります。また、危険攻撃は突きは見切りコマンドの入力、下段はジャンプからの踏み付けで回避し、体幹ゲージを減らせます。攻撃がガードされても相手の体幹ゲージが減るので、攻撃のリターンは大きいです。
こうして、攻め続け剣戟を続けながら、弾き、見切り、ジャンプで敵の攻撃を主体的に捌いて体幹ゲージを削り、忍殺で攻め落とすという、本作に特徴的なデザインが生まれています。
忍具、回生、竜咳
プレイヤーは忍具という強力なツールを使えます。これはプレイヤーの回避行動や攻撃行動をサポートしてくれます。ただ性能はばらつきがあります。
死んでも、回生ゲージを消費することで何度か蘇ることができます。これによって難易度が緩和されています。ソウルシリーズと比べると、装備のデザインによるデッキビルド要素が希薄で、プレイヤーのスキルにほとんど委ねられているので、その調整でしょうか。
竜咳という、プレイヤーが死ぬと各地の味方NPCが病気で苦しみ出すという謎システムがあります。死ぬとみんな苦しみ出すので嫌な気分になりますが、特にこれといったデメリットはありません。また回復させるのも容易です。これがあるのでまあまあイライラします。
総評
画期的なタイトル。新たなソウルの境地
ソウルライクの歴史に新たな1ページを加えた作品です。ゲームメカニクスのデザインが秀逸です。
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