始めに
『聖剣伝説 ヴィジョンズ オブ マナ』レビューを書いていきます。
| 独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
| 8 | 8 | 4 | 8 | 6 | 1 | 優(35) |
- 古き良き、理想の聖剣シリーズ
- 前作が好きなら買い
- 探索規模が拡大
- バランスの悪さなど、欠点がそのまま
- ストイックで人を選ぶアクション性
- シナリオが劣化
ゲームフィクション
あらすじ
クィ・ディールと呼ばれる世界はマナの樹から注がれるマナの恩恵を受けています。しかし4年周期に各地域に訪れるフェアリーによって指名される御子をマナの樹の生贄に捧げないと、マナの供給が途絶えて滅んでしまいます。
火の村ティアナではヴァルの幼馴染のヒナが御子になり、ヴァルは彼女を護衛する魂の守り人になります。ヴァルとヒナはマナの樹に向かうものの、他の地域では御子が選ばれないアクシデントが起こっています。

古典的なハイファンタジー
『聖剣伝説』シリーズは元々『ファイナルファンタジー』シリーズの外伝的作品として設定された作品です。FFは2.4.6.7あたりが転機となって、徐々にDQにおけるトマス=マロリー風の中世騎士道物語ベースのハイファンタジー路線から明確に区別された独自の方向性を打ち立てていきます。しかし5くらいまでは結構DQとFFは印象が被る感じでした。本作は『ファイナルファンタジー』シリーズの5あたりまでの、古典的なハイファンタジーの世界になっています。
キャラクターは主人公が総勢5人いて、いずれも魅力的に仕上がっています。ただ全体的に牧歌的で、それほど緻密な伏線、設定回収やサプライズがあるわけではないです。古典的なJRPGの空気をうまく再現している感じです。
それと3リメイクより、全体的にもやもやする部分は増えました。シナリオは、FF10に似ていて無印オマージュで、主人公サイドが巫女をいけにえに世界の調和を守る旅をするみたいな内容ですが、その状況に対する疑問が主人公サイドから全然出てこないのでもやもやはします。
温かみのあるグラフィックとそれを彩るどこか物悲しい音楽
本作は近年だとDQ11(S)のような、温かみのあるグラフィックで、それをどこか物悲しい音楽が彩ります。美麗なCGアニメーションで再現されたキャラクターはみんな愛おしいです。
全体的には3リメイクと重なり、そのマイナーチェンジです。グラフィック、ストーリー、ゲーム性、いずれもそこまで大きな変化はありません。
ゲームメカニクス
探索
システムもほとんど3リメイク準拠ですが、フィールドでの探索におけるアクション性が増しています。
まずマップ自体もセミオープンワールドになり、ほとんどの場所に移動できるようになりました。3リメイクでは一本道でリニアなマップだったので大きな変化です。
2段ジャンプと空中ダッシュがデフォルトで使えるため、移動テンポも3リメイクから向上しています。
また、精霊器を入手すると、固有のギミックに対応した移動が可能になります。

戦闘
3リメイクからそうですが、古き良きARPGといった感じで、『DOOM』(2016)にも似て、極力要素を排したストイックなデザインになっています。
アクションもMP,SPを管理しつつ立ち回り、敵のアクションに合わせて避ける、といったくらいのバリエーションで、パリィ、ジャスト回避、カウンターのような近年のアクションゲームではかなりの割合でデザインされている要素も、3リメイクではほとんど見当たりませんでした。
本作では弾き返しという限られた攻撃に対応するカウンターが追加され、バトルのゲームスピードの向上、空中アクション強化などの追加要素があるものの、3リメイクと大きく遊び心地は変わりません。
面白いですが、ちょっとモーションに癖があるのと、ストイックな内容故、人を選ぶと思います。物足りない人も多いでしょう。
デッキビルド
3リメイクからあるクラスジョブのバリアブルアクション(特技、アビリティ)やスキルのデザインによるデッキビルド要素など、育成の豊富なアプローチは健在です。
本作はエレメントボードというスキルツリーからスキルを獲得し、取得済みスキルから選択したものを装備してデッキビルドする感じで、そのあたりはほとんど3リメイクと変わりません。
ただクラスに関して、3リメイクは直線的な進化をするクラスチェンジでしたが、本作のクラスはFF5のジョブみたいな感じで、任意のクラスを選択でき、それぞれのエレメントボードを開拓し、習得した特技は他のクラスでも使用できる、みたいなデザインです。
クラスごとに対応した属性があります。3リメイクもキャラ格差が酷かったですが、本作もバランスは悪く、キャラの強弱やクラスの強弱が大きく、キャラによってはほとんど使い所のないクラスも多いです。
総評
期待には応えたものの…
正直、悪い意味でもいい意味でも期待を裏切られなかったという印象で、とにかくストーリー面がもやもやしました。
良作ですが、懐古向けで人を選ぶ内容です。
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