始めに
始めに
今日は『メタルギアソリッドⅤ』についてレビューを書いていきます。ネタバレを含みますが、シリーズ既プレイの大抵の人はすぐ真相に気付くと思ってのことです。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
6 | 6 | 3 | 8 | 6 | 5 | 良(34) |
- 基本アクションの完成度
- マップも拠点エリアはそこそこ
- 終盤にかけてリソースがカツカツ
ゲームフィクションについて
あらすじ
GZでのマザーベース壊滅から9年後の1984年2月26日。病室で目を覚ました主人公は、自分が9年間も昏睡し片腕をうしなったと知らされます。2週間後、顔の形成手術を行います。
そして手術から48時間後、3月11日。謎の女兵士が病院を襲撃します。主人公を救ったのは、顔に包帯を巻いたイシュメールと名乗る謎の男でした。イシュメールは満足に動けない主人公を助け、病院からの脱出を試みます。

シリーズ最低の蛇足シナリオ
この作品は、ビッグ=ボスの過去を描くという点で3と似ています。本作は、もともとビッグ=ボスが悪に染まるまでを描くという事前広告でした。しかし蓋を開けてみたらなんとびっくり、そもそも主人公はビッグ=ボスではなくその影武者(プレイヤーはみんなすぐ気付くようなつくり)で、ビッグ=ボスと影武者が二人三脚で活動するようになるまでが描かれます。しかも別に本編終了時には悪に堕ちているわけでもありません。また、このことを踏まえると旧メタルギアシリーズ1.2にやや矛盾が生じます。
つまるところ本作は、4で完結したソリッドの物語に、ソリッドの親たるビッグ=ボスは二人いたという謎設定を付け加えるだけの物語で、なぜこんなシナリオになったのか、そもそもナンバリングでやるべき内容なのか(内容的にもPWの続編)疑わしめるものとなっています。
グラフィックは最高。キャラクターもまあ魅力的
本作の主な舞台はアフガニスタンとアフリカで、グラフィックも縦マルチ作品では最高品質です。キャラクターも特に説明もないまま新キャラがサクサク死ぬだけだった4と比べたら魅力的です。『龍が如く6』とかと近いですが、シリーズ(1.2.3.4.5)全体の中ではやや黒歴史でも、それでも印象的なエピソードやキャラクター、燃えるシチュエーションといったシリーズに期待される要素は少なくないです。
とはいえストーリーは消化不良気味で、なんのために出てきたか分からないシリーズキャラクターがちょい役で出るのも変な感じです。
ゲームメカニクスについて
ステルスアクション
このシリーズ(1.2.3.4.5)は毎度シナリオは特に内容が安定しないのですが、プレイヤーのモーションや敵AIなどゲームメカニクスの基本的な要素に関しては、1作目から完成されていた土台の上に着実に進化を積み上げています。初心者フォローのリフレックスモード(発見されたとき、一瞬スローになり、この間に敵をダウンさせられれば警戒態勢への移行を阻止できる)追加、ジャンプ、ダッシュ追加など、マイナーチェンジはいずれも好印象です。
革新的な追加要素があるわけではないですが、TPSゲームの土台に関してはシリーズ(1.2.3.4.5)集大成です。
オープンワールド
空間デザイン
本作は、シリーズ初のオープンワールドになりました。こうして各ミッションにおけるエリアはおよそシームレスにつながったデザインです。とはいえ『ウィッチャー3』みたいな感じで、オープンワールドのエリアが複数ある感じで、すべてのマップがシームレスに繋がってはいないです。
ただオープンワールドといっても、『Just Cause』シリーズ(1.2.3.4)のような感じで、無駄に広いマップの大半にはプレイヤーがアプローチできるオブジェクトはあまりなく(たまに資源があるくらいでランダムイベントもない)、拠点がまばらにあるだけみたいなかんじです。それとマップがかなりリニアなデザインで拠点から拠点の移動がほぼ一本道で冗長です。
しかも移動のアプローチが少なく、なぜか高速移動のための馬がバディ(一つしか選べない)枠のため、扱いにくいです。他のバディは戦闘や探索に特化しているうえに有用なため、馬を選びにくいです。
ステージとミッション
オープンワールド化に関しては失敗しているといえますが、ステージとミッションのつくりこみ自体はかなりのもので、攻略の自由度も高いです。ミッションも、スカスカボリュームだった4と比べると、膨大な量と質です。
ただリソースの使いまわしも目立ちます。任意のサイドオプスなども含めると、メインとフリーのミッションで何度も同じ配置の同じエリアを攻略させられる印象です。サイドオプスはしかも、似たような内容のものばかりです。また2章に入るといよいよゲームリソースが枯渇して、ミッションの大半が1章のステージの縛りプレイ強要という水増しになってます。
全体的なゲームテンポの悪さ
本作のメインストーリーはミッション制なのですが、拠点とミッションの間の移動やロード、演出がとにかく長く、頻繁にあって全体的にゲームテンポが悪く、手持ち無沙汰な時間が長いです。
マザーベース
本作はPWにあったマザーベース管理が追加され、敵NPCの捕獲によるハクスラとワーカープレイスメント要素があります。これもなかなか良好なバランスで好印象です。『アサシンクリード オデッセイ』などとこの辺り近いです。拠点が充実すると散策の楽しみもあって良いです。
ただリソースの収集が結構作業感が強くて面倒です。
総評
ゲームとしては面白いが
ゲームとしては面白いものの、ストーリーが蛇足です。ただ旧作キャラクターの登場などは嬉しかったです。
関連作品、関連おすすめ作品
・『ヒットマン』リブートシリーズ(1.2.3):ステルスゲーム。