始めに
『ライザのアトリエ3 〜終わりの錬金術士と秘密の鍵〜』レビューを書いていきます。ライザのアトリエシリーズ(1.2.3)です。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
8 | 8 | 4 | 7 | 6 | 1 | 良(34) |
- 相変わらず奥深い調合
- ストーリーも(前作に比べれば)そこそこ
- 新システムが煩雑すぎる
ゲームフィクション
あらすじ
『ライザのアトリエ2』から約1年後。クーケン島のライザたちのもとに、近海に謎の群島“カーク群島”が出現した知らせが入ります。クーケン島を救うため、ライザたちは調査へと向かいます。
カーク群島にあった謎の遺跡奥でライザたちが見つけたのは巨大な謎の扉でした。
シナリオは概ね良好
前作はスカスカシナリオでなんのための作品かわかりませんでしたが、本作はキャラゲーとして堂々の完成度だと、シナリオに関しては評価できます。
ライザのアトリエシリーズ(1.2.3)はビルドゥクスロマンとして展開されており、1作目ではまだ十代後半だったライザが本作では二十一歳になっています。他のキャラクターも含めて、その変化などが描かれていきます。伏線も細かく拾ってます。
ゲームメカニクス
新システムの「鍵」
戦闘中、フィールドで秘密の鍵を生成できます。秘密の鍵は「無垢の鍵」か「虚ろの鍵」をベースとして作成できます。
虚ろの鍵は消費アイテムではなく、冒険の度に5回まで使うことができ、拠点に戻る度に回復します。無垢の鍵は消耗品で、虚ろの鍵より強力な鍵を生成できます。
フィールドでは、ランドマークとなるポイントでランドマークパワーが100%となっている時のみ鍵が生成出来ます。
戦闘では、タクティクスレベルが2以上の時に鍵を生成できます。戦闘で鍵生成を行う際には敵1体を選択し、鍵を生成します。特定の対象から一つしか鍵を生成できず、また対象のHPが規定以下でないといけません。
秘密の鍵は4つのうち一つ以上の効果があり、レア度に応じてパフォーマンスが異なります。シンボル効果(装備品。ステータス、ロールに影響)、バースト効果(戦闘中にキーチェンジを行うことで特定の効果)、アドベンチャー効果(フィールドの結界や、サプライポートを開く)、シンセサイズ効果(調合中のとき投入回数や、属性値を補正)の4つです。
流石に複雑すぎる鍵
この鍵なのですが、調整不足という感じでもない(ゲームバランスを悪化させているのでもないため)もののとにかくシステムとして煩雑すぎます。一つ一つの要素が難解というよりはそれが戦闘、探索、調合すべてに渡るギミックとなっているせいで、単純に覚えることが連鎖的に増えすぎている印象です。
シリーズ(1.2.3)の調整の傾向なのですが、システムの複雑性のフォローを難易度の低さで試みている感じで、そのため大抵の人はシステムを理解しないままクリアしてしまいます。
正直1作目の調合からして複雑すぎるくらいなのに、そこに鍵が加わってキャッチアップが困難です。シリーズ(1.2.3)の2の戦闘の調整はかなり好印象を持ったのですが、本作の鍵は既存の遊びの拡大よりもとっつきにくさを拡大しています。
調合
基本
『2』から大きな変化はありません。調合に関してはシリーズ(1.2.3)の1作目から完成されていたものにちょこちょこ要素が増えたり減ったりしてる感じです。
ベースマテリアル環は全て素材を投入しなければならず、品質は投入した素材の品質によって加算されます。『2』のエッセンス、エボルブリンクは廃止されました。
超特性枠
アイテムによっては、超特性を持っていることがあります。調合の際に、超特性枠を解放すると、素材の超特性を引き継げます。
解放できるのは1つのみで、元々超特性を持っていた素材から直接にしか引き継ぐことができません。
リンクコール
全てのベースマテリアル環に材料を投入した状態でリンクコールをできます。これによってベースマテリアル環に投入する素材の種類や属性を変更し、その内容によってマテリアル環も変更します。これで本来の調合で付与できない効果や属性を与えられます。
リンクコールをした素材を投入できるので、超特性の引継ぎに便利です。
秘密の鍵の利用
調合レシピ毎に発現条件が決められており、レシピの発動条件を満たす秘密の鍵を使うことで一定の効果が得られます。加えて鍵のシンセサイズ効果は鍵を利用することで無条件で発動します。
バトルシステム
ほぼ2と変わりません。戦闘参加人数は3人のまま、後衛が2人となった5人編成です。
「キーチェンジ」と「キーメイク」(鍵生成)の二種類のコマンドが追加されました。どちらもタクティクスレベルを1消費します。
キーチェンジは鍵を利用し、一定時間キャラを強化します。その効果は秘密の鍵のバースト効果に依存するのに加え、AP上限が99になり、通常攻撃の攻撃回数が無制限になり、ブレイクゲージが減らなくなります。
戦闘中に仲間キャラが特定の行動を要求するアクションオーダーがシリーズ(1.2.3)恒例ですが、本作では成功でオーダーカウントが溜まり、これを消費してオーダードライブを発動できます。
探索
本作ではフィールドのそれぞれのエリアがオープンワールドとなりました。ジップラインや、スライディング、崖登りなどがアプローチとしてあります。
ファストトラベルの使いにくさと地形の複雑さがストレスですが、それなりのクオリティではあります。イベント量が多いのは嬉しいですが、あまり探索がメインの作品ではないので恩恵も感じにくいです。
総評
なんとも言えないシリーズ
全体的にどれも一長一短あってなんともいえないシリーズ(1.2.3)のです。
戦闘が特に調整不足な1、システムは進化したもののシナリオがスカスカな2、シリーズ(1.2.3)ので調整が足りない部分をそのままにオープンワールドや鍵など調整不足な新要素を盛り込んだ3という感じです。
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