始めに
始めに
『Outlast』についてレビューを書いていきます。
| 独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
| 8 | 7 | 3 | 6 | 7 | 1 | 良(34) |
- 独創的なゲーム性
- ロケーションの作り込み
- 似たようなシチュエーションのステージが多い
- 逃げるか隠れるだけなので、攻略自由度が低い
ゲームフィクションについて
あらすじ
フリージャーナリストのマイルズ=アップシャーの元に匿名の人物から内部告発のメールが届きます。内容はマーコフ=コーポレーションという医療会社が運営している精神病院において、非人道的な治療法が行われているというものでした。
早速ハンディカムと共にコロラド州に向かい、山頂にそびえる巨大な隔離施設「マウントマッシブ精神病院」を訪れますが、そこは狂気の支配する地獄でした。
精神病棟からの脱出。ドイツ表現主義。カメラ
本作品はサイコホラーで、精神病棟からの脱出が目的になっています。ヴィーネ監督『カリガリ博士』、黒沢清『CURE』、夢野久作『ドグラ=マグラ』のようなドイツ表現主義タッチのサイコホラーとロケーションやモチーフ的に共通します。
また本作品ではハンディカムカメラというギミックが効果的に用いられていて、恐怖を演出してくれています。映画では『REC/レック』シリーズやゲームでは『零』シリーズなどがカメラを効果的に用いるホラーとして有名ですが、本作はカメラの暗視スコープがゲームの中のガジェットとして導入されています。本作は暗くて通常では視界の効かない場所が多く、そうしたエリアではカメラの暗視スコープを覗き込んで、周囲をよく観察しながら進まなくてはいけません。怖いから見たくない、暗闇に潜む恐ろしいエネミーやNPCなどを否応無しに覗き込まなくてはいけないという演出が優れています。
悪魔ホラー。ニューシネマ、スプラッターホラー以降のホラー
本作は終盤から幽鬼のようなエネミーが登場するなど、悪魔ホラーとしての様相を呈するようになるなど、そうした点でも『REC/レック』シリーズと共通します。
『バイオハザード』シリーズなどと比較すると、本作品は良くも悪くもニューシネマとかスプラッター映画以降のホラー映画という感じです。卓越した新古典主義者たる黒沢清監督『スウィートホーム』のゲーム版が下敷きとなった『バイオハザード』シリーズと比べると、クラシックなドイツ表現主義における怪奇映画のようなウェットで不穏なムードの甘美な味わいを欠いてはいてますので、好みは分かれそうです。
ゲームメカニクスについて
エコノミー(バッテリー管理)、ステルス
本作品の主人公は戦闘能力を持ちません。『バイオハザード7』の序盤よりさらに非力です。また本作品は視界が効かない暗闇のエリアが多く、そこではバッテリーを消費することでカメラの暗視スコープを使用しなくてはなりません。バッテリー管理のエコノミー要素が肝要です。
本作の主人公は戦闘ができないので、隠れるコマンドを入力して特定の場所へ隠れたり視界から逃れるなどして、追跡者を振り払わないといけません。
最初は面白いのですが、ステージの構造がかなりワンパターン(「数箇所あるポイントで扉Aを開けるためにフラグを立てろ」という場面ばかり)なので、後半飽きます。飽きる上にルーティーンがわかってくると恐怖も薄れます。
総評
佳作だが
ホラーとしては佳作なのですが、遊びの引き出しが少ないです。
関連作品、関連おすすめ作品
・『ALIEN: ISOLATION』:一人称で非力な主人公のホラー


