始めに
始めに
『バイオハザード4』のリメイクが圧倒的な好評をもって迎えられています。この名作について、私もレビューを書いていきたいと思います。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
8 | 8 | 4 | 8 | 8 | 5 | 優判定(41) |
- オリジナルを超える内容
- リプレイ性の高さ
- 全体的に原作と若干キャラが違うので、違和感を抱きやすい
ゲームフィクションについて
あらすじ
ラクーンシティ壊滅から6年後の2004年。アメリカ政府のエージェントとして活躍していたレオン=S=ケネディは、大統領の娘、アシュリー・グラハムが拉致された為、その捜索任務に就きます。女性オペレーターのイングリッド・ハニガンのサポートの元、拉致された場所と思われるスペインの片田舎へ潜入し…

ドラマ、キャラクターの原作との違い
原作のレオンはキザでクールでDMCシリーズ(1.2.3.4.5)のダンテのようでしたが、今作のレオンはRE:2の性格と容姿がベースで、フレッシュで正義漢な印象が強くなっています。原作ではルイスとレオンという色男二人の絡みが印象的でしたが、今回はレオンが熱血で堅い性格になり、ツンデレレオンと色っぽいルイスの漫才が印象的になっています。
また、エイダも妖婦っぽい感じが抑えめで、人間らしい性格になっており、DLCではエイダの苦悩が描かれています。アシェリーも原作より性格が丸くなって落ち着き、ルイスに対しても気遣うような発言が増えました。原作のアシェリーは性格がキツすぎて苦手だったので、いい改変だと思います。
ルイスはキャラクター性は変わらず、出番が増えてドラマが掘り下げられました。共闘するシチュエーションも増え、さらに魅力が増しました。クラウザーは大幅に改変され、同僚から上官に設定が変わりました。原作のクラウザーはレオンに嫉妬しているような印象でしたが、今回はレオンに自分を止めて欲しいと思っているかのようで、レオンへのかなりの思い入れようです。さながらコッチェフ監督『ランボー』です。これは好みの分かれる改変かもしれません。
村長は原作とほとんど変わらないです。サラザールは老けた子供のような容姿から、小柄な中年の貴族のようなルックスに変わりました。また、性格もさらに邪悪になっています。クラウザーの出番が増えた代わりに、サドラーは出番が減りました。原作ではただの私利私欲に塗れた教祖でしたが、今回はプラーガの狂信者になっています。
全体的に原作より描写が厚く丁寧になり、ルイスのドラマなど、特に感動を生みます。ただレオンとエイダは原作の方が漫画みたいなキャラで好きでした。
原作再現は完璧!オミットされた要素もRE:2と違って少ない
今回のキャンペーンはボリュームもあって、原作再現も完璧です。U3(エイダ編で復活)とか走る像とか、オミットされた要素もありますが、ボリュームはほとんど原作通りで、結構な部分が削られたRE:2と比べると完璧に近いリメイクです。ロケーションのクオリティも素晴らしく、非の打ち所がありません。
ゲームメカニクスについて
原作との違い。ナイフパリィ、ステルスキル、ナイフ追撃
今回新しく加えられた要素がナイフパリィです。敵の攻撃にタイミング良くナイフを構えることで、攻撃を無効にできます。またジャストパリィに成功すると、体術を決めることができます。ナイフは耐久度が設定されるようになり、修理可能なナイフと使い捨てのナイフがあります。
またナイフによるステルスキルや、ダウン状態の敵に強力なナイフ追撃ができるようになりました。これによって相手をダウンさせられる閃光弾が大幅に強化されています。
全体的に、プレイヤーも敵もモーションやパラメーターが上方調整されていて、序盤から敵の攻撃もかなり苛烈になっています。『エルデンリング』なんかと近いでしょうか。
印象としてはRE:2やヴィレッジのマイナーチェンジ
全体的な TPSのデザインの印象としてはRE:2やヴィレッジのマイナーチェンジバージョンといったところです。
もっともRE:2に関しては、RE:4とはTPSとしての操作性は似ていてもリソース管理や配置暗記などパズルのような趣向のゲームで方向性が異なるため、RE:4の後で遊んでも問題なく楽しめますが、ヴィレッジは全体的にRE:4の下位互換のような印象となってしまっているので、後から遊ぶときついかもです。
バイオハザードとしてはどうか
0に関する記事でも少し書いたのですが、『バイオハザード』シリーズは一作目からデザインが完成されていたため、新たな挑戦と「シリーズらしさ」の調和に悩み続けた歴史があったと言えます。その最大のターニングポイントは、TPSに路線変更した『バイオハザード4』だったと言えるでしょう。これによってアクション性が増し、プレイヤーのエイム力が求められるようにはなりましたが、空間デザインを変更したことで、シリーズに固有の雰囲気や演出は若干薄まった節もあります。
私個人としては『バイオハザード4』はアリ、『バイオハザード5』は番外編としてならアリ、『バイオハザード6』はTPSとして一応遊べる水準だけど、バイオハザードとしては完全にナシ、です。私が思う『バイオハザード』らしさは、ゴシックな装いとリソース管理、不確実情報の探索要素、パズル要素です。シリーズの下敷きとなった黒沢清監督『スウィートホーム』ゲーム版から継承する古典主義建築の演出するゴシックなムードが好きなので、4がムードはあっても怖くないのは構わないのです。けれどもシリーズの甘美なムードが損なわれ、探索要素も縮小した5と6は、バイオハザードとしては物足りない印象で、ベタな通俗TPSになってしまったなと切なく思いました。
マーセナリーズ、エイダ編
2023年6月14日現在、マーセナリーズは無料DLCとして実装されましたが、エイダ編はありません(9月配信)。
マーセナリーズは今回、レオン、ルイス、ハンク、クラウザーの4キャラクターです。それぞれ固有の体術、ナイフなどのモーションがある他、バレットラッシュというものが実装され、時間経過、撃破でゲージを貯めると強力なアクションが発動できるようになりました。アップデートでウェスカー、エイダが追加されました。
マーセナリーズは面白いですが、かなり簡単で大味な印象も受けます。またボリュームも少なすぎます。『バイオハザード5』のような本編以上の作り込みは見込めません。
総評
RE:2を超える極上のリメイク
原作を忠実に再現しつつほぼあらゆる部分で凌駕し、RE:2以上の極上のリメイクになっています。おすすめ。
関連作品、関連おすすめ作品
・『Dead Space (2023)』:ホラーTPS