始めに
『真・三國無双8』についてレビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
5 | 4 | 4 | 5 | 5 | 1 | 可(24) |
- 新アクションは悪くない
- マップのグラフィックは悪くない
- オープンワールド化に大失敗
- スカスカのマップ
- ゲームリソースがカツカツ
ゲームフィクション
概要
前作のような勢力ごとに別れたストーリーではなく、5までのような一人の武将ごとのドラマです。ストーリーは全10章以上で、最初から選択できるのは曹操、孫堅、劉備の3名で、条件を満たすごとに使用可能武将が増えていきます。
オープンワールドをいかせていないストーリー
本作はシリーズ初のオープンワールドとなりましたが、全くそのデザインをストーリーにいかせていません。まずストーリーは完全な一本道でif要素がさらに希薄になり、インタラクティブ性が衰退しました。
また、ストーリーが勢力単位ではなくキャラクター単位になっていますが、キャラクター毎に固有のストーリーがあるわけではなく、魏、呉、蜀、晋、黄巾、董卓、呂布、袁紹、左慈、南蛮の十の勢力ごとに異なるストーリーになっているので、同じ勢力のドラマは共通です。なので実質、勢力単位のドラマです。オープンワールドを活かしたインタラクティブな、武将一人一人のドラマが展開されるのかと予想されましたが、見事に裏切ってくれました。
とはいえ、ストーリーの内容に関してはそこまで不満はありませんし(というか本家無双では戦国5みたいなことをしない限り目茶苦茶にはならない説)、基本的にいつも通りでありつつ若干後退した感じです。
ゲームメカニクスについて
探索
オープンワールド(笑)
本作はオープンワールドになっていて、フィールドは広大です。フィールドには様々なスポットが存在するものの、オブジェクトが少ないです。戦闘も、戦場以外ではほとんど発生しないですし、何もない何も起こらない平原を移動するだけの虚無な時間が多いです。
一方で主要都市はオブジェクトが多く、構造も複雑で迷いやすいです。主要エリアの作り込みは結構すごいのでそこは評価します。
全体的に本作は、オープンワールドのマップだけ作って燃え尽きて、ストーリーもアクションもイベントも十分なリソースを割いて作れなくなった印象です。モーションも相当減っています。
エンパもこのオープンワールド化からその廃止という経緯の煽りを食ってリソースがカツカツです。
オープンワールドジャンルと無双ジャンルのすり合わせが不十分
そもそもオープンワールドになったことでシリーズ従来の魅力がそれで上乗せされたような感じが全くしないです。例えばブレワイ、エルデン、MHW(IB)などではオープンワールドになったことで従来シリーズにあった箱庭探索の魅力を継承しつつも発展させた印象がありました。本作にはそれが全くなくて、オープンワールドにしたことが裏目に出てゲームリソースが不足した結果、従来のエリア制にあったテンポよく一騎当千のアクションを楽しめる魅力さえ損なわれてしまっています。マンネリを打破するどころか、ただ単にシリーズが持っていた魅力を喪失し、ファンを裏切る結果になってしまったのがなんともいえないところです。
制作チームにはそもそもこのシリーズがどういう形でファンに愛されてきたのかを今一度考えて、その魅力がオープンワールドジャンルにコミットすることでどう拡大させられるのかについて確かなビジョンを持った上で開発リソースについて考慮をめぐらし、その上でオープンワールドジャンルにチャレンジしてほしいところです。
戦闘(ステートコンボシステム)
本作はチャージ攻撃システムからステートコンボシステムへと移行しました。これは敵や自分の体勢などの状態に応じて攻撃のバリエーションが変化するシステムです。従来のチャージ攻撃システムは要するにコンボのデザインによるアクションで、コマンド入力のみに応じてアクションが出力されました。本作は、それが体勢に依存するようになりました。
正直、無双というジャンルでみんなガチャプレイするだろうし、このせいですごく遊びにくいということはないのですが、乱戦メインとなるジャンルの特徴上、やや狙った攻撃を出しにくいです。とはいえ慣れれば爽快感のあるアクションシステムではあります。
ただ全体的に操作が煩雑になっていて、初心者には不親切です。
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・『ドラゴンクエストヒーローズII 双子の王と予言の終わり』:無双とアドベンチャーのバランスが良好。