始めに
『ベヨネッタ』レビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
8 | 8 | 3 | 6 | 7 | 3 | 優(35) |
- 完成度の高いアクション
- 魅力的キャラクター
- QTE地獄
ゲームフィクションについて
あらすじ
ヨーロッパの辺境ヴィグリッド。そこには魔界と月の力を操るアンブラの魔女と、天界と太陽の力を操るルーメンの賢者と呼ばれる一族がいました。双方は「歴史の観測者の力を得る」とされる秘宝世界の目をそれぞれ所有していたものの、お互いに不可侵の掟を課すことで世界秩序の均衡を保っていました。
しかし、神の復活を望む「一人の賢者」によって抗争が勃発し、均衡は崩れます。100年にも及ぶ戦いの末、抗争自体は魔女の勝利に終わったものの、魔女の力を恐れた人間によって魔女狩りが行われた結果、魔女と賢者の一族は滅び、彼らは歴史から姿を消します。
それから500年後。20年前に棺から魔女ベヨネッタが蘇ります。自身が魔女であること以外は思い出せないまま、突如舞い込んだ情報に導かれヴィグリッドへとたどり着きます。
魅力的なキャラクターと演出
DMCシリーズ(1.2.3.4.5)の生みの親である神谷英樹が関わっているのもあり、チャンドラー『長いお別れ』などのノワール、ジョン=ウー(『フェイス/オフ』)やツイ=ハークといった香港ノワール、クウェンティン=タランティーノ映画(『パルプ=フィクション』『キル=ビル』シリーズ[1.2])、平野耕太、広江礼威のアクション漫画のようなキザなセリフ回しと誇張的でアクションのケレンで魅せてくれる演出は健在です。キャラクターも主人公のベヨネッタを始め、いずれも魅力的です。
スラップスティックコメディ
本作は2とちがってスラップスティックなコメディになっています。2とはテイストが違っていて、無心で楽しめる本作を推す人も多いです。3もシリアス寄りでしたが劣悪なデザインです。
ゲームメカニクスについて
ウィッチタイム.UC
ジャスト回避成功で一定時間相手がスローになるウィッチタイムシステムがシリーズの特徴です。このシステムはブレワイ、アサクリオデッセイなど多くのフォロワーを産みましたが、カジュアルな操作で爽快感を味わえます。
また2よりもウィッチタイムが使いやすいため、やり込むと1のほうが好きという人も結構いて、一長一短です。3は新システムのせいでやや別ゲーになっており賛否両論です。
QTEと別ゲー要素がゴミ
本作で一番ひどいのはQTEです。即死QTEがかなり多く、そのせいでかなりストレス要素です。このシリーズ(1.2.3)はどれも一長一短で、とはいえウィッチタイムが一番楽しいのは本作なので、本作を最高傑作に上げる人も多いですが、自分の中ではこのQTEがかなりマイナスで評価を下げています。
それと別ゲー要素のクオリティも抜きん出て低いです。
DMCと比較
本作はDMCシリーズとしばしば比較されますが、結構触れた印象は違います。まずDMCシリーズの方が、『ベヨネッタ』シリーズ(1.2.3)よりも遥かに難しいです。難しい、というのは単にクリアが難しいというのではなく、そもそもプレイアブルキャラクターをそれなりに扱いこなすこと自体が難しいです。『ベヨネッタ』シリーズでは(『ダークソウル』シリーズ[1.2.3]にも似て)ジャスト回避のタイミングさえわかれば結構他の操作はなんとかなるものの、DMCは画面で気にしなくてはいけないエネミーや攻撃の数が多すぎる上、操作自体も異様に煩雑で忙しいため、気持ちよく動かせるようになるまで時間がかかります。DMCは基本、サンオブスパーダ以下の難易度なら素人がガチャプレイでざっくり遊んでも楽しめますが、それではやはりDMC本来の操作や立ち回りを習得したとは言えないでしょう。
一方で、プラチナゲームズ作品(『ニーア オートマタ』)にはいずれもそうですが、アクション要素は直感的な操作でカジュアルに初心者も楽しめるようになっていますし、『ベヨネッタ』シリーズ(1.2.3)でもプレイヤーキャラクターをそれなりに扱えるようになります。上級者のやり込みにも対応しますが、一方で周回すると大味な調整や演出も目立ちます。
総評としては操作を覚えるまでが大変ですが、昔からのゲーム小僧のニーズに応えてくれるコアでディープなアクションを提供してくれるのがDMC、間口が広く直感的に爽快感のあるアクションを楽しめるが、やり込むとDMCの方が面白くなってくる『ベヨネッタ』、みたいな感じです。
関連作品、関連おすすめ作品
・『アサシン クリード オデッセイ』『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』『ゼルダ無双 厄災の黙示録』:ウィッチタイムのフォロワー
・『Hi-Fi RUSH』(ハイファイラッシュ):避けゲー。