始めに
『アストラルチェイン』レビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
8 | 8 | 4 | 7 | 6 | 3 | 優(36) |
- 深くカジュアルな遊び
- 豊富なアプローチ
- 世界観やストーリーがベタで盛り上がらない
- ストーリーの歯切れが悪い
- 周回のノイズの多さ
ゲームフィクションについて
あらすじ
隕石の落下で異界とつながった地球はゲートから現れる「キメラ」と呼ばれる異形生物によって汚染され、災厄を逃れた人々は巨大な人工島「アーク」に移り住みます。主人公が所属する特殊部隊「ネウロン」はキメラやその影響を受けて人間から変異した「偏移体」から人々を守るために戦います。

プラチナ版特撮。ジョジョシリーズ
物語はニチアサ特撮風味の王道な勧善懲悪路線です。
主人公はキメラを殲滅しつつ、アーク各地に発生しているアストラル界に通ずる「ゲート」を破壊し、アストラル界での探索や人命救助にあたります。
また主人公は双子の男女の選択制で、選ばなかった方は主人公の弟か妹の「アキラ=ハワード」として登場します。ここは『アサクリオデッセイ』みたいな感じです。
ニチアサ特撮は小林靖子脚本作品(『仮面ライダー龍騎』『仮面ライダー電王』)を中心にジョジョシリーズ(1.2.3.4.5.6.7.8)の影響が顕著ですが、本作もジョジョからの影響が見えます。
レギオン
異形生物キメラに対抗するためにキメラを基に作られた生体兵器がレギオンで、主人公のパートナーとなります。ジョジョシリーズ(1.2.3.4.5.6.7.8)のスタンドの影響が顕著で、これを使役して戦います。
タイトルの「アストラルチェイン」でレギオンと主人公は繋がれ、このチェインも戦闘のアプローチです。
シナリオはいまいち
シナリオはいまいちで、ラストも未完です。
『ベヨネッタ』シリーズ(1.2.3)と比べると設定もベタだし、全体的にフィクション部分の作りがいまいちで、パッとしない印象を受けます。特撮テイストはあっても、最後まで歯切れが悪く、勧善懲悪の活劇としての爽快感もありません。設定はコテコテなんだけど、ストーリーは井上敏樹脚本(『仮面ライダー555』『仮面ライダーアギト』)みたいに水っぽい引き伸ばしサスペンスでテンポが悪いです。
ジョジョシリーズ(1.2.3.4.5.6.7.8)のフォロワーの『ペルソナ』シリーズのように、ほろ苦くも熱い青春ジュブナイルとして個性を確立できているわけでもなく、本作ならではの魅力に乏しいです。
ゲームメカニクスについて
戦闘
アストラルチェイン
レギオンはオートで戦闘してくれるものの、レギオンと主人公は「アストラルチェイン」と呼ばれる鎖で繋がっています。なのでレギオンは鎖の範囲しか移動できません。
アストラルチェインから派生するアクションとして、アストラルチェインで囲めば敵を拘束できる「チェインバインド」を発動できます。また突進に対して、鎖で転倒させる「チェイントラップ」もあります。レギオンのいる位置まで飛べる「チェインジャンプ」は、戦闘や探索で便利です。
レギオン
本作で仲間になるレギオンは、いずれも個性的で、うまく能力バランスの調整に成功しています。基本的に普段探索や移動で使うのはソードレギオンで、環境ギミックに応じて他のユニットを使う感じです。戦闘ではそれぞれ強みがあってどれも強いです。
最初はソードレギオン一強のバランスに思えて、いつものプラチナの調整不足かと思いましたが、他のアロー、アーム、ビースト、アックスのレギオンもいずれも戦闘で強みがあることに気が付き、DMCシリーズ(1.2.3.4.5)のような豊富なアプローチを楽しめました。
プラチナゲームズ作品では『ベヨネッタ』シリーズ(1.2.3)など、直感的な操作性にすぐれつつ、高難易度ややり込み要素の調整やレベルデザインが大味で周回すると粗が目立つ作品が多いです。それと効率的なアプローチやビルドが限定的で、後半マンネリするのもこのメーカーのゲームの宿痾です。しかし本作は遊びとして深く、ゲームバランスがよく調整されています。
エクスバトン
主人公及び持つ警棒、銃、大剣の複合兵装です。
連続攻撃中タイミングよくコマンド入力で、レギオンとの同時攻撃「シンクアタック」が発動します。
探索
探索要素は主に事件現場での捜査と、アストラル界での謎解きアクション要素があります。捜査でもアストラル界での謎解きでも、レギオンとアストラルチェインをうまく使う必要があります。
捜査パートでは、エリアを探索し、聞き込みや痕跡を調査して情報を集め、推理を展開していきます。レギオンは一般人に見えないので、盗聴に利用できます。
探索パートは既存の遊びの域を出るものではなく、及第点といった感じです。
総評
戦闘が圧巻だが他が物足りない
戦闘に関してはプラチナゲーの最高傑作の一つです。ただフィクション部分の作りがいまいちです。
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