始めに
始めに
『バイオハザード6』はシリーズ(1{リメイク[HD]}.2[RE2].3[RE3].4[RE4].5.6.7.8.リベ[アンべ].リベ2.0)を代表するクソゲーとして有名です。本作はそんなクソゲーについてレビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
3 | 2 | 3 | 6 | 3 | 0 | 可(17) |
- TPSとしてはそこそこ
- 探索がゴミ
- ストーリーがゴミ
- QTEとかブービートラップ地獄
ゲームフィクションについて
グランドホテル形式
本作はグランドホテル形式で、それこそ『428 封鎖された街で』のような感じで、4つのエピソードに主人公が二人ずつおり、それぞれのシナリオにおいて他の主人公はサブキャラクターとして登場します。それぞれ焦点化される主人公のシナリオを通じて、プレイヤーは断片的なシナリオの構造を解釈していきます。全体的に『バイオハザード リベレーションズ』を踏まえているという印象が顕著で、ハリウッド映画や海外ドラマ風の派手な演出が目立ちます。
シナリオの酷さ
本作はシナリオの作りなど、評判の良かった『バイオハザード リベレーションズ』を意識している印象がありますが、その悪いところだけ真似ていると評価せざるを得ません。すなわち、微妙な海外ドラマ、ハリウッド映画のようなグダグダで大味なシナリオをケバケバしい演出でうんざりするほど飾り立てます。
4つあるエピソードも、シナリオが楽しいのはシェリー編だけです。まずクリス編は、自分のせいで仲間をかつて死なせたトラウマで落ちぶれたクリスが延々とヒステリーを起こし続けて仲間を危機に陥れ、途中でいきなり(実際にはそれまでに心理的葛藤が色々あったのだろうけれど描写がキレてる部分に割かれすぎているのと、復活にいたる心理的経緯が丁寧に描かれないためそう見える)正気に戻るという謎シナリオです。ただのヒスゴリラと化したクリスがブチギレ続けるだけの脚本に苦笑を禁じ得ません。
レオン編はとにかくパートナーのヘレナがキャラクターとして弱いです。外見もモブっぽいし、印象に残らないです。またシナリオにおいても序盤で葛藤が解決してほぼ出番がなくなり、エイダがパートナーのようになってしまいます。あとよくよく考えるとまあまあな戦犯で、その行動で犠牲者を出しているのにお咎めなしという7、ヴィレッジのミアをもっとひどくした感じです。
エイダ編は、4(RE:4)のエイダ編に似た、真相究明編のような感じの隠しエピソードです。このエピソードによってようやくこの茶番じみたシナリオの全貌が明らかになりますが、要するにエイダのストーカーである黒幕に対して嫉妬したもう一人のストーカーじみた黒幕が引き起こした、くだらない痴話喧嘩で世界規模の惨劇が起こったというある意味悪夢のような内容です。
ただシェリー編は良かったです。2やRE:2で少女だったシェリーが逞しく成長し、ウェスカーの息子・ジェイルとイチャイチャしながら駆け抜ける姿はなかなか胸キュンです。シェリーの成長が見られるという点で、ファンには一番嬉しいエピソードで、ジェイルも思いの外魅力的なキャラクターでした。0のような爽やかなバディの絆のドラマで好印象です。
ゲームメカニクスについて
アクション性の向上、UIの変化
本作は4以降のTPS路線で、リベレーションズの仕様を引き継いで、アクション性が増しています。今回はフィジカルコンバットゲージが導入され、体術などはこれを消費して任意のタイミングで発動できるようになりました。またクイックショット、スライディングなど緊急回避アクションが追加され、これは体術のコンボへと繋げられます。また敵の特定の攻撃に対してカウンターを使えるようになりました。
また、ハーブは合成してタブレットにして持つ仕様となるなど、UIが独特になっています。新規アクションの追加もあってできることが増えた半面、操作性に癖があり煩雑な印象も受けます。ただ、TPSとしての操作性、デザインの完成度としてはぼちぼちです。
全体的にこのシリーズはUIに癖が強いのですが、本作はそのシリーズの中でも一際癖が強く、慣れるまでは遊びにくいです。
初見殺しな罠の数々
この作品はよくQTEが批判され、アプデで修正が入ったとはいえQTEがクソなのは事実なんですが、このゲームはQTEがクソだからクソゲーなのではなくて、QTEを筆頭とする初見殺しなブービートラップがありえないくらい散りばめらていて即死するため、それが本作をクソゲーたらしめています。
とにかく「制限時間以内に状況Aをなんとかしないとゲームオーバー」→「導線が不十分で状況Aを構造化できずに困惑しながら死ぬ」、みたいなことが数分おきに起こります。いっそコントのようです。そのため遊んでいて楽しい瞬間というのが本編には皆無です。
育成要素の縮小
本作の成長要素はスキルに一元化されています。驚くことに武器改造、無限武器も含めてです。
BPを消費してスキルを購入してセットするのですが、3つしかスキルをセットできないという謎仕様のため、デッキビルドの楽しみがありません。
劣悪なマップ
5.6を私が嫌う最大の理由は、まずマップが適当なことです。
とにかく一つ一つのエリアのデザインが圧倒的だった従来シリーズから一転、各のロケーションは単なる通過地点になってしまいました。これによってアドベンチャーゲームとしての魅力が4から比べてガックリ落ちています。
遊べるが立ち回りに自由度がないマーセナリーズ
本編と比べるとマーセナリーズは全然遊べる(初見殺し要素がない)内容で楽しいですが、5よりは完成度が劣ります。理由はカウンター一強のバランスです。
今回はカウンター成功のタイムボーナスが多すぎて、敵の攻撃が途切れずに繋がることを祈りながらカウンターを棒立ちで待ってコンボを維持するという奇妙な立ち回りがハイスコアのための最適解になっています(一応、狙わなくてもSランクは取得可能)。そのせいでワンプレイのテンポが悪いです。カウンターは決まると楽しいしRE:4のナイフパリィにつながったとも評価できるのですが、なんとかしてほしかったところ。
総評
クソゲー気味だがギリギリ遊べる
クソゲー気味ですが、マーセナリーズなどはギリギリ遊べます。ただDMC2とかX7に近く、シリーズが方向を模索し見失っている過渡期の作品です。
関連作品、関連おすすめ作品
・『Dead Space (2023)』:ホラーTPS
・『アランウェイク』シリーズ(1[re].2):海外ドラマの影響。ホラー。