始めに
始めに
今日は『テイルズ オブ ヴェスペリア』のレビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
7 | 7 | 4 | 8 | 7 | 2 | 優(35) |
- キャラゲーとしての魅力
- RPGとしてのボリュームと完成度
- ストーリーがひどい
- ユーリ贔屓
ゲームフィクションについて
あらすじ
帝都ザーフィアスに住むユーリは騎士をやめてブラブラして暮らしていました。ユーリは、下町の水道魔導器から魔核を抜いた泥棒モルディオを追いますが、普段の所業から牢屋に投獄されてしまいます。
脱獄したユーリは、城内でエステリーゼと出会います。彼女は恋人・フレンをさがしていましたが、彼はユーリの親友でした。ユーリは魔核泥棒を追い、そしてエステリーゼをフレンに会わせようとします。

魅力的なキャラクターと後半クソになるドラマ
キャラクターは、いずれも基本的には魅力的です。また等身の低くデフォルメ化されたトゥーン調のキャラクターたちはいずれも愛らしいです。『二ノ国Ⅱ レヴァナントキングダム』などを彷彿とさせる温かみのあるグラフィックです。キャラゲーとしてのシリーズの魅力はバッチリです。
けれども、ドラマは後半雑になり、伏線もなく超展開が連発し、またユーリに対する過剰な贔屓が目につきます。二つの正義を貫く、みたいなテーマも、結局フレンの方には正義がなかったみたいな流れになります。
ゼスティリアのロゼに近いユーリ
ゼスティリアのロゼはメインヒロインでありながら敵を殺しても純粋だから正当化されるというカルトじみた設定でプレイヤーを絶句させましたが、ユーリもそこまでいかないまでも大体路線としては同じです。法で裁けぬ悪党を直接私刑にかけて殺し、お咎めなしです。それどころか公権力のほうが腐敗していたみたいな展開で、すべてがユーリの言動に都合よく進み、ハッピーエンドを迎えます。
つまるところユーリは、全体的にそれが本当に「正義」かどうかといえば首を捻る信念を持ち、行動をとっているものの作中で本人下げイベントがほとんどないため、もやもやします(『美味しんぼ』の山岡、『ブラック=ジャック』のBJ、ラスアス2のアビーとちょっと似てます)。また態度や人当たりも悪いです。私刑にかけられ殺さされたキャラクターは鬼畜ではあるものの、ユーリの姿勢もそう褒められたものではないはずです。
ゲームメカニクスについて
フェイタルストライク、オーバーリミッツ
本作はアビスの戦闘システムがベースです。シンフォニアからの、3Dフィールドでの戦闘です。バランスはかなり悪い(とくにレベルデザインの調整が大味)ですが、爽快感は高くシンプルで遊びやすいです。序盤はできることが少ないのと硬直しやすいため、ガットゥーゾなどのボスにはかなりの苦戦を強いられますが、スキルなどが揃うと敵を一方的にハメ技でボコボコにすることができます。
今回はフェイタルストライクという技があり、相手に対して特定のアクションに連続で成功して術式への耐性を0にできると、これを発動させられます。雑魚なら即死、ボスなら大ダメージを与えられます。FF13シリーズ(1.2.3)や7リメイクシリーズ(1.2.3)にも似たギミックがありますが、これも楽しいです。
またシンフォニアから導入されたオーバーリミットがあります。時間経過、攻撃成功などでオーバーリミッツゲージをためると、オーバーリミットを発動でき、一定時間オーバーリミット状態になって強力な攻撃や秘奥義を発動できます。DMCシリーズ(1.2.3.4.5)のデビルトリガーみたいな感じでしょうか。
全体的に中盤以降はプレイヤーが強すぎてアンバランスなのですが、アライズのボス戦が固いばかりで爽快感がなかったのと比べると、このくらい緩いバランスでも爽快感があっていいのかもしれません。
アンバランスな成長要素とフラグ管理
ただ本作を遊びづらくさせている要素もあります。本作は武器ごとに熟練度があり、これを限界まで高めることで武器固有のスキルを習得できるのですが、ショップで売っている武器がエリアごとに異なっている仕様上、強スキルをうっかり取りこぼす可能性があります。また、いちいち弱い武器でもスキルのために使わないといけないため面倒です。
あと、フラグ管理も面倒で行き先がわからなくなりやすいです。
総評
シリーズでも上位の作品。シナリオは難あり
キャラクター、システム、ゲーム性は質量ともに申し分ないです。シナリオはちょっときついです。