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良作だがオープンワールドはグラだけ。『Rise of the Ronin』(ライズオブローニン)レビュー、評価、感想

コーエーテクモ
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始めに

『Rise of the Ronin』レビューを書いていきます。

独創性完成度快適さボリュームフィクションその他判定
774782優判定(35)

オープンワールドとしては凡庸、戦闘は最高という感じです

  • 戦闘がハイクオリティ
  • 遊びやすいデザイン
  • 作りがUBIチック
  • 探索のクオリティ

ゲームフィクション

あらすじ

 19世紀、黒船来航による動乱が巻き起こった幕末。

 プレイヤーは、東北地方の黒洲藩の特殊な兵士「隠し刀」のひとりです。やがてひとりで幕末の世をさまよいます。幕府の打倒を狙う討幕派と、幕府を支持する佐幕派の2派閥の対立に巻き込まれていきます。

幕末舞台の伝奇

 マシュー=ペリーや、坂本龍馬、高杉晋作、福沢諭吉、板垣退助、大久保利通ど、実在の人物が登場する中で物語は展開され、『仁王』シリーズ(1.2)と同様の伝奇風の物語になっています。山田風太郎の明治もの(『明治断頭台』)のような、虚実入り混じるフィクションの世界が魅力です。『アサシンクリード シンジケート』などが好きな人もハマりそうです。

 『仁王』シリーズ(1.2)がハクスラとソウルライクというジャンルも相まってシナリオは淡白だったのに対し、本作は結構ストーリーに力を入れて作っていて、面白いです。

グラフィック

 グラフィックに関してはネガティブな意見もありますが、確かに抜きん出たクオリティではないですが、かなりいいと思います。またこの時代の日本を扱ったオープンワールドも『龍が如く 維新!』などくらいのスケールの箱庭ゲームがちょこちょこあるくらいだったので新鮮です。

ゲームメカニクス

オープンワールド

総評

 正直、チーニンのオープンワールドと聞いて、期待と不安の半々でした。戦闘やアクション周りに関しては定評と実績あるチームではありますが、『仁王』シリーズ(1.2)にしても『ウォーロン』にしても、エリアデザインは劣悪で、探索要素は少しも面白くなかったからです。またコーエーテクモには、三国無双8(無印)の失敗など、オープンワールドでの前科はあっても実績がありません。他方、開発力の高さには信頼しているため、本気でオープンワールドを作ったらどうなるのか、『エルデンリング』レベルのが作れるのではないか、という期待もありました。

 本作に触れて思ったのは、ネガティブな懸念は上回ったものの、ポジティブな期待を上回りはしなかった、ということです。印象として近いのはUBIのオープンワールドゲーム(『Far Cry』シリーズ[1.2.3.4.5.6.pr.nd].『アサクリ』シリーズ[Or.OD.Va])みたいで、ロケーションのグラフィックはしっかりデザインしているものの、ただ広いだけで単調な地形のマップに疎に拠点とイベントがあって、かつその内容のバリエーションが少ない、といった感じです。

内容

 オープンワールドのイベントは「治安改善」、「お尋ね者」などバトル、「飛行訓練」「射撃訓練」などの訓練、そして指定された写真を撮る「写真撮影」やマップに記された猫、社、蔵、名所などの収集のものがあります。

 このアクティビティが本当にUBIルーティーンそのもので、とにかく作業感が強く単調です。一昔前のオープンワールドといった感じで、とはいえブレワイのパラセールみたいな空中飛行や、アイテムの自動取得(『ウィッチャー3』など、これがないためにいろんなオープンワールドでストレスを感じてきたので嬉しい)など、遊びの中身は古いんですが遊びやすさに関しては結構調整が行き届いています。そして戦闘もめちゃくちゃ楽しいから遊べる内容です。

戦闘

 戦闘と育成に関しては、明確に『仁王』シリーズ(1.2)、『ウォーロン』からの積み上げが見えます。正直、ここに関してはあまり心配してなかったですが、実際水準が高いです。

 『ウォーロン』と同じく、パリィが重要なデザインになっており、これは石火と呼ばれます。このパリィはとにかく演出が派手で快感で、ゴア表現の強化も相まってなかなか爽快です。パリィで気力を減らし、致命攻撃に繋げます。このパリィの効果は後述の流派の属性じゃんけんに影響されます。

 また『仁王』シリーズ(1.2)にあった残心(アクション後にコマンド入力で残心をすることで、スタミナ消費を抑える)が、閃刃というアクションになり、残心が消費を抑えるためのツールだったのに対して、閃刃は成功で閃刃ゲージが蓄積し、これを任意のタイミングで消費してスタミナゲージを即回復できるようになりました。この辺りは『ウォーロン』の氣勢を踏まえている感じで、戦略的なゲージ運用が肝要です。

 SEKIROと比べてもビルドデザインのバリエーションの豊富さなど、うまく差別化できています。

デッキビルド

流派

 各武器に流派が設定できるようになりました。天、地、人、忍の4カテゴリーのうちに属する流派が複数あり、この天、地、人、忍のカテゴリーそれぞれに有利武器、不利武器があって、属性じゃんけんが設定されています。

 戦闘中に、天、地、人のスロットにセットされたそれぞれの流派はコマンド入力で変更できます。要するに『仁王』シリーズ(1.2)の上中下の構え(スタイルチェンジによるバリアブルアクション)に、属性じゃんけん要素を加え、またそれぞれのスタイルに任意で流派というアクションのパッケージをセットできるようになっています。

 この流派のお陰で、アクションのバリエーションが豊かになっており、ビルドの幅が広がってます。また石火のタイミングが掴みやすいのと、モーションコンパチについて、流派という形でフィクションの上から合理的デザインに組み込むのはうまい工夫だと思い、『アンチャーテッド』シリーズ(1.2.3.4)を連想しました。

武器、装備

『仁王』シリーズ(1.2)と同様、ディアブロシリーズ(1.2.3[EC].4)的なハクスラ要素があります。ハクスラとオープンワールドのフュージョンだと、『アサクリオデッセイ』などがありますが、あれと同様に、単調な探索にランダムドロップがアクセントになっています。

 とはいえハクスラ装備によるビルドのデザインの幅は『仁王』シリーズ(1.2)より控えめです。

総評

戦闘は完成されているものの、オープンワールドとしては弱い

 戦闘は相変わらずハイクオリティですが、オープンワールドの遊びのデザインは古臭く、グラフィックとマップだけな感じです。

 とはいえこのクオリティでマップをデザインできるなら、もう少し時間をかければオープンワールドもブラッシュアップできるのでは、というポジティブな印象も抱きました。

関連作品、関連おすすめ作品

・『スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー』『Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)』『Sifu』『Lies of P』パリィ主体のソウルライク

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