始めに
『Fate/Samurai Remnant』レビューを書いていきます。
独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
6 | 6 | 4 | 7 | 7 | 2 | 良判定(32) |
- キャラゲーとしては優れる
- 独特の世界観とロケーション
- 遊びにくく中途半端な無双と死にゲーのフュージョン
- 敵が面倒
ゲームフィクション
あらすじ
慶安四年(1651年)の江戸。「盈月の儀」が幕を開け、浅草に住む青年・宮本伊織はバトルロワイヤルに巻き込まれます。

時代劇のFate
本作は全体的にキャラゲーとしてのクオリティが高いです。コーエーの歴史ゲーもfateシリーズもともに伝奇ものとしての傾向が強くて類似性があったところ、キャラゲー部分では双方上手くマッチしています。
江戸時代を舞台にFateならでは伝奇要素を巧みに組み込み、さながらfateの原点の山田風太郎作品(『魔界転生』)のような装いです。
マップも実際の地域の特徴を捉えており、水準が高いです。P5Sみたいな感じで、土地の雰囲気をよく演出しています。
ゲームメカニクス
戦闘
方向性
マスターとサーヴァントによる協力バトルです。伊織とセイバーの2人が協力します。海賊無双の3や4みたいに仲間ユニットとの共闘が肝要で、かつ仲間NPCの方が性能が高く、『戦国無双4』(DX)のように任意のタイミングで操作NPC切り替えはできないものの、条件を満たすと操作キャラを変更できるデザインです。DMCシリーズ(1.2.3.4.5)のV操作みたいに、プレイヤーのユニットより従者のユニットのほうが優秀で、それに限定的な操作をしつつ戦う感じです。
全体的にゼルダ無双(ハイDX)以降の無双コラボゲーらしく回避が有用で、P5Sなどと重なります。それに『仁王』シリーズ(1.2)に似たギミックを加えた感じです。
基本アクション
伊織は宮本武蔵直伝の二天一流です。貴石を消費し、特殊技も使えます。また「型」を切り替えられるので、状況に応じて切り替えます。型をある程度使った後で他の型に変更すると、一定時間「残光」によって元の型に応じた強化を得ます。『仁王』シリーズ(1.2)の構えのマイナーチェンジという感じです。
サーヴァントは強力ですが、自動行動です。プレイヤーが特定アクションに成功すると交代ゲージと共鳴ゲージが溜まり、サーヴァントの「共鳴絶技」を使用させたり、一定時間だけサーヴァントを操作できます。
一部の敵は外殻ゲージがあり、これを削り切らないとダメージを与えられません。敵の攻撃後の一定時間内への反撃、サーヴァントの攻撃、ジャスト、共鳴絶技、協力技、魔術などで外郭を削れます。ゼルダ無双(ハイDX)のウィークポイントゲージみたいな感じです。
種々のアプローチ
共鳴絶技は共鳴ゲージを消費して、サーヴァントの特殊技を発動します。戦国5の閃技や風花雪月無双の戦技みたいな感じです。
戦闘中にセイバーに近付いてコマンド入力で協力技ができます。協力技は外殻ゲージ削り、共鳴ゲージ蓄積に有効です。絶技にしても協力技にしても、敵の大半がスーパーアーマー持ちなので、そのノックバック性能が強力です。
また操作キャラは専用ゲージを用いる必殺技を持っています。
調整不足
全体的に死にゲーにも無双にもなりきれず中途半端な印象が拭えません。変に攻めたデザインが失敗しています。
まず上位の怪異とサーヴァントは外殻ゲージをまず削らないといけないので、テンポが悪いです。これを削るのに有効なアプローチがサーヴァントによる共鳴絶技、協力技、宝具(サーヴァントの必殺技)に集中しているので、こればっかりに頼った立ち回りを促されます。あとP5Sのキーパー戦とかDQH2のボス戦もそうなんですが、無双アクションの性質上、上位のユニットをペチペチ殴って倒すのはそもそもあまり楽しくありません。
難易度は下げられるものの、結構難しいです。しかし二周目は引き継ぎ補正が大きく、一気にヌルゲーになります。
総評
そもそもコラボ無双として…
そもそも本作は原作がアクション作品ではない作品とのコラボ無双です。それであれば、殊更攻めたデザインや高難易度は慎むべきと思います。
理想を言えば『海賊無双4』みたいな感じで、無双本来の草刈りに特化した魅力を湛えつつ、ゲーム初心者に親切で、本家にない要素で本家ファンの心も掴み、キャラゲーとして完成度が高い、みたいなデザインがベターと思います。それでようやく原作ファンと無双ファン双方が満足するというか、無双ってこんなに面白いんだ、この原作ってこんな面白いんだと、双方のファンが認識できると思います。
全体的にアクション要素は変な挑戦に失敗している印象です。