始めに
『ゴッド・オブ・ウォー ラグナロク』レビューを書いていきます。シリーズ(1.2.3[re].4.5)の5作目(外伝除く)です。北欧神話編が本作で完結です。
| 独創性 | 完成度 | 快適さ | ボリューム | フィクション | その他 | 判定 |
| 7 | 8 | 4 | 7 | 8 | 5 | 優(39) |
- 全体的に高水準
- 走攻守揃った名作
- 大きな進化や独創性に乏しい
ゲームフィクション
あらすじ
亡妻・フェイの遺灰を撒くためヨトゥンヘイムを目指すなか、オーディンの息子バルドルを倒したクレイトスと息子アトレウス。 バルドルの死はフィンブルの冬を告げ、冬明けと共に9の世界が滅ぶ最終戦争「ラグナロク」が始まるそうです。
己の死を予言されたクレイトスはアトレウスの訓練を施すものの、アトレウスは「ロキ」の役割を独自に模索します。オーディン率いる神々の手が迫る中、クレイトスとアトレウスはラグナロクを目前に運命に立ち向かいます。

実質シリーズリブート。メロドラマに
一応3までとの連続性はあるものの、前作と今作はリブートのような内容になっていて、シナリオの方向性も舞台設定も全然変わっています。
家族の復讐に取り憑かれたクレイトスの終わりなき復讐を描いた従来のシリーズでしたが、これまでの作品はそれこそタランティーノ監督『キル=ビル』シリーズ(1.2)のように、絶え間ない激烈な暴力に彩られた復讐劇でした。ザック=スナイダー監督『300 〈スリーハンドレッド〉』のような、マッチョで誇張的なソードサンダルの現代版でもありました。
前作からクレイトスはかなり性格がまともになって、感情的になりやすい息子・アトレウスを嗜めたり助言したり、父として悩んだり、人助けをしたり、これまでの作品では復讐のためには無関係の人間すら巻き込み時には殺してきた外道ぶりが嘘のようで、さながらフリーザに殺された後のベジータです。従来作品がひたすらバイオレンスを描くマカロニウェスタンめいた復讐劇とするならば、前作と今作は家族の葛藤を描くファミリーメロドラマになっています。
ゲームメカニクス
戦闘
TPSアクション、パートナー
前作からアトレウスというパートナーのNPCを導入した影響によるものか、背後が死角になるTPSのような視点となっていて、見下ろし型のカメラから変化しました。
バトルは印象として『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』と似ていて、ガード不能な危険攻撃を回避しつつ、タイミングよくガードしてパリィを成功させることでカウンターを決めていきます。直感的な操作が可能で爽快感があります。
クレイトスは「リヴァイアサン」「ブレイズ・オブ・カオス」「素手」「ドラウプニル」(新武器)の4種類のバトルスタイルを使用可能で、状況に応じて使い分けます。
パートナーのアトレウスには簡単な指示が出せるので、状況に合わせて適切な指示を出していきます。
武器
リヴァイアサンは前作からあり、氷属性の攻撃です。
ブレイズ・オブ・カオスは前作からある双剣。落ちている石を投げつけ攻撃するようなアクションも追加されました。
ドラウプニルはクレイトスの第3の武器となる槍です。リヴァイアサンよりも遠距離への投擲に優れ、連射にも秀でます。また投擲した穂先は任意で爆発させることが可能で、敵に更なるダメージを与えられる。
レイジゲージを消費して発動するスパルタンレイジは、前作と同じくスーパーアーマーで徒手格闘を行う「逆鱗」の他、体力を回復させる「武勇」、使用中の武器で強撃する「鬼神」、オリュンポスの剣で攻撃する「軌跡」の4種類になりました。
育成
前作よりもスキル拡大や武器パーツの追加よって、デッキビルドの自由度が増えました。武器にはそれぞれ武器パーツとルーンアタックを装備できます。
防具にもレリックというアタッチメントをつけられるようになり、デッキビルドの幅が拡大しています。戦闘がこれによって前作より単調さが緩和されました。
アンチャーテッド風のアドベンチャー
今作は従来からあるパズル要素が増しています。リヴァイアサンと呼ばれる斧がメイン武器としてあり、これをうまく使ってパズルを解いていきます。パズル要素に関してはそこそこのクオリティで『アンチャーテッド』シリーズ(1.2.3.4)のような感じですが、けれども導線が至らない部分もあります。
それと、超人的な身体能力を持っているクレイトスがちょこちょこパズルを解いてルートを開拓していく姿は前作からまあまあシュールです。
この辺り不自然なので、続編があるならクレイトスが強靭な肉体で自由に広大なフィールドを駆け回るオープンワールドがあってほしいです。
総評
ウェルメイドな名作という感じ
前作からそうでしたが、ウェルメイドな名作という感じで、革新的な要素や独創的な要素は抑えめで、このゲームにしかない要素はあまりないです。既存の枠組みのアドベンチャーの中で走攻守揃ったハイクオリティなものを提供してくれている印象です。
関連作品、関連おすすめ作品
・『スター・ウォーズ ジェダイ:フォールン・オーダー』『Wo Long: Fallen Dynasty(ウォーロン フォールン ダイナスティ)』『Sifu』『Lies of P』パリィ主体のソウルライク






